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週休3日制で加速する学びの自己責任化

投稿日:2016/10/20更新日:2019/04/09

週休3日制による企業・従業員への影響

Yahoo! JAPANが、近い将来と断りを入れながらも、週休3日制を導入すると発表して話題になっている。ビジネスパーソンにとって、この1日は極めて大きな意味を持つ。学び方の根本的な見直しを迫るからである。

まず、企業の視点で考えてほしい。従業員一人ひとりの休日を増やしつつ、これまでと同じ業務量をこなそうとすれば、キー要因2つに変更を加えなければならない。(1)1人ひとりの生産性を上げる、(2)従業員数を増やす――である。
労働時間が減ったことを理由にその分給与を減額するという考え方もあるだろうが、従業員にとっては減収、会社にとっては生産価値の減少に直結してしまうので、必ずしも前向きなオプションとは言えないと思う。

OJT(On-the-Job Training)の時間が減ることによる弊害

(1)と(2)では、やはり(1)生産性の向上がカギだろう。「欧米に比べて低い!」と言われてきた日本においては、生産性を抜本的に改善するチャンス到来かもしれない。

そもそも、生産性はその人の能力や経験によって左右される。これまで多くの日本企業では仕事の遂行能力は「仕事を通じて身につける」という方法が取られてきた。いわゆるOJT(On-the-Job Training)の名の下に、人材育成は実務の現場に任されてきたのである。体系的な人材育成プログラムにまで手が回らなかったという側面も無きにしもあらずだが、確かに実践から学ぶことは多い。
ところが週休3日になると、仕事・職場で学ぶチャンスが減る。単純計算で5分の4、つまり20%減である。言い方を変えれば、週休3日制が導入されると、あなたのOJTによる学び時間は20%減ってしまうのである。

さて、ここが分かれ道である。

週休3日、あなたはどう使う?

週休3日を「休息」や「遊び」に使うのも良いだろう。OFFとONを切り分けるという考え方だ。休日は英気を養う時間として割り切って思いっきり楽しむことで、今まで以上に集中的、効率的に仕事をバリバリこなせる。一つの極である。

一方、「OJT学び時間20%減」を補うために増えた休日を使うという人たちも出て来るだろう。すなわち、学びの時間が「会社」から「個人」への転嫁が進み、「学びの自己責任化」という流れが生じるのではないだろうか。

生産性は、業務の進め方(仕組み)の工夫と個人の能力・スキルの向上の掛け算によってアップする。増えた休日を使って自己研鑽に努めれば「個の力」を大いに上げることができるだろう。人的ネットワークを拡げるために、社外の勉強会に参加する。語学を究める。公認会計士、中小企業診断士など資格取得を目指す。あるいは、手前味噌だがグロービス経営大学院で経営やリーダーシップを学ぶなど、いろいろなオプションがある。

あなたは、「遊び派」「学び派」、どちらだろうか。

脅かすわけではないが、これはけっこう重大な選択である。何を選んでも自由だ。投入時間、投入資金も自分で決められる。どのような結果を目指すのかも自分次第。もしかしたら、これからの人生を大きく変える選択になるかもしれない。

週休3日制の議論を、「働き方改革」の視点だけでなく、「学び方改革」の視点から眺めてみるのも有益だと思う。

  • 佐藤 剛

    グロービス経営大学院 教員

    慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士後期課程修了(経営学博士)専門は組織行動学。1993年長野大学産業社会学部社会学科専任講師、助教授、そして同大学産業社会学部産業情報学科教授を経て、2006年よりグロービス経営大学院大学に所属。 中小企業大学校「中小企業診断士養成課程」講師。 主な著作としては『イノベーション創発論 セイコーエプソン・機器デザインセンターの挑戦』(単著、慶應義塾大学出版会、2008年)、『MBA 組織と人材マネジメント』(監修・著、ダイヤモンド社、2007年)、『組織自律力』(単著、慶應義塾大学出版会、2006年)、『組織マネジメント戦略』(共著、有斐閣、2005年)がある。経営情報学会会員、日本経営行動科学学会会員。

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