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企業は「LGBT」施策にどう取り組めばよいのか?

投稿日:2016/08/27更新日:2019/04/09

本記事は、グロービス社内で行われた勉強会「LGBTの方の企業におけるインクルージョン」の内容を書き起こしたものです。前回の記事はこちら。(全2回)

「LGBT」をめぐる国際的な動き

福永玄弥氏(以下、敬称略): 続いて国際社会のお話をしたい。まず、研究の動向について。アカデミアの中では、特に1990年代頃から「クィア・スタディーズ」と呼ばれるような研究領域が発展していった。これは、私たちの生きる社会が異性愛を中心に構造化された社会であるという点を、批判的に問うような研究領域と言える。これは、元を辿れば1970年代に勃興したフェミニズムの影響を、学問的にも運動の分野でも強く受けたものだ。従って、日本で企業ダイバーシティといった議論になると、女性に続いて「LGBT」の話になるのは不思議な話ではないと思う。

アメリカでは2015年、すべての州で同性婚が保障された。これは日本でも大きなニュースになったのでご存知の方が多いかもしれない。このときは、「ニ者間の性愛に基づくコミットメントが、その両者の性的指向に関わらず等しい道徳的価値を持つ」ことを理由として、同性婚を禁じる州法に違憲判決が下された。そうしてすべての州で同性婚が保障されたという流れになる。

続いて、台湾について少し踏み込んでお話ししたい。台湾では今年5月、蔡英文が民進党の代表として台湾初の女性総統に就任した。蔡英文は去年行われたLGBTパレードで、「私は同性婚を支持します」という声明を発表している。これには相当なインパクトがあった。彼女がその声明を出した日は、総統選に向けた選挙活動が最も盛りあがっていた時期だったからだ。つまり、同性婚を支持するスタンスを表明しても、選挙の妨げにはならないどころか、「進歩的」であるとして評価される社会であるということが言える。これは日本と大きく違うと思う。

では、台湾のこれまでの歩みとはどんなものだったのか。今、「アジアのLGBT先進国」と紹介されることも多い台湾では、2004年、「ジェンダー平等教育法」という法律が制定された。この法律が興味深い。小学校から大学までの全教育課程で、「性別だけでなく性的指向や性自認を理由とした差別的待遇はダメです」と、明確に打ち出している。罰則規定もあり、たとえば生徒間で「ホモ」「オカマ」といった言葉のいじめがあった場合、「それは性的ないじめである」としたうえで、加害生徒には最も重い処分として退学処分から、最も軽い処分で「ジェンダー平等教育」の受講などの処分が下される。

あるいは、公立私立を問わず、すべての学校に「ジェンダー平等教育委員会」という委員会を設置して、ジェンダー平等を実現するための教育を義務教育として位置づけている。そんな風に、台湾では性的指向や性自認を含むジェンダー平等のあり方を教育でも教えている。その背景を元にして冒頭でお見せしたような入試問題などが出題され、「皆、これは答えられるよね」という状況が生まれている。

もう1つ、台湾では2008年に「ジェンダー労働平等法」が成立している。これも、就労に関して性別だけでなく性的指向や性自認を含む性差別を禁止した法律だ。具体的に言うと、「雇用主は求職者の募集や採用、配置、人事考課、転勤、人事研修、福利厚生、給与、離職、解雇に及んで、性別や性的指向による差別的待遇を行ってはならない」と、明示的に書かれている。日本の状況とは相当大きなギャップがあるため、台湾に進出した日系企業がこの法律に違反してしまうような事例が報告されている。

たとえば、これは性的指向と直接関わらないけれども、ある日系企業がFacebookに「女性清掃員募集」との記事を掲載したことがある。それで「なぜ女性なのか? それはジェンダー差別でしょう」ということで台湾労働局から罰金が課されてしまった。また、生理休暇を取得した従業員に皆勤の賞与を与えなかった企業も「ジェンダー差別だ」ということで罰金を課されている。さらに、本人やパートナーの妊娠で休暇を取得した女性または男性従業員に年末賞与を与えなかった日系企業も、ジェンダー差別とされた。そんな風に、台湾に進出した日系企業がジェンダー差別を次々犯してしまっているとの事例が報告されている。やはり日本企業や日本で働いている人たちがジェンダーに関してあまり敏感ではない、はっきり言ってしまえば、相当鈍感であることの裏返しだと思う。

LGBTに対する日本の動き

続いて、日本の話をしたい。政治動向に限定して駆け足でご説明すると、重要な事例として1991~97年にかけて行われた裁判がある。府中青年の家(現・東京都青年の家)事件と言われるものだ。91年、ある同性愛者の当事者団体が、東京都府中市にある青年の家を利用しようとしたところ、いろいろな問題が起こって、結果として利用を拒否されてしまった。同性愛者であるため「青少年に混乱を与えかねない」との理由からだ。これに対し、その当事者団体が東京都を相手取って裁判を起こし、最終的には97年の二審判決で当事者団体の全面勝訴に終わった。

そこで当時の判決文から一部引用したい。すごく大事な文章だと思う。「行政当局としては、その職務を行うについて、少数者である同性愛者をも視野に入れた、肌理(きめ)の細かな配慮が必要であり、同性愛者の権利、利益を十分に擁護することが要請されているものというべきであって、無関心であったり知識がないということは公権力の行使に当たる者として許されないことである」。こういう、かなり画期的な判決が出されている。行政として、無知や関心がないことを理由に同性愛者を差別してはいけないというような判決が、97年にすでに出されている。

その後、2003年には「性同一性障害者特例法」が制定されて、一定の条件を満たしたトランスジェンダーの戸籍上の性別の変更が認められるようになった。また、2013年には大阪の淀川区が「LGBTを支援します」との宣言を出しているし、2014年には沖縄の那覇市が「性の多様性を尊重する都市」宣言をした。そして、昨年2015年には東京の渋谷区が同性パートナーも婚姻に準ずる関係であると認める条例をつくり、東京の世田谷区、三重の伊賀市、兵庫の宝塚市も、同様の条例を制定している。横浜市や札幌市も同様の取り組みを検討している状態だ。そんな風に、今は各自治体で「同性パートナーを含むLGBTを支援していきましょう」といった動きが活発になってきた。

こういう状況を受け、2016年には自民党が、「LGBT理解促進法」というものを用意していて、今は、このままいけばそれが恐らく成立するであろうという状況にある。また、超党派の議員で「LGBT差別を禁止する差別禁止法をつくろう」という動きもある。さらに、今年中には「男女雇用機会均等法」の対象に性的指向や性自認を含めることも検討されている。このようにして、日本でもLGBTがもはや見過ごすことのできない人権問題ということで、政党の差異を問わない動きがみられる。

LGBTに対して企業が取り組むべきことは?

これらを踏まえて、企業に一体何ができるのか、なぜLGBTに対応したほうが良いのか、という話をしたい。特に2000年代後半から、日本でも企業がLGBTに関心を持つケースが見られるようになってきた。その背景は何かというと、1つは間違いなくグローバル社会の要請。今はLGBTへの対応が国際社会において無視してはならない人権課題だと認知されつつある。従って、日本企業もなんらかの対応をしなければいけないという視点が1つ。また、従業員への対応という側面もある。従業員にLGBT当事者がいるというのは、もう当たり前だと思って欲しい。従って、自社従業員に何かしら特別な対応を行うことで、当事者の離職防止や生産性向上を図っていく。それで、LGBT当事者の新規採用等を積極的に行うといったことも期待できる。

冒頭で「日本のLGBT当事者は職場でどんな困難を抱えているか」という話を少ししたけれども、こんなデータもある。たとえば、求職時に困難を感じているレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの人たちの割合は全体の40%。トランスジェンダーの人たちは同69%と、さらに多くの割合で求職時に困難を抱えるとの調査結果がある。先ほどお話した通り、リクルートスーツによる男女分けや名前の問題があるからだ。また、トランスジェンダーのうち、27%が排泄障害の問題を抱えている。自分の望むトイレを利用することができず、職場ではなるべくトイレに行くことを我慢したり、職場を出て公共トイレに駆け込んだりしているとの事例もある。また、解雇、昇進差別、いじめやからかいに遭ってしまうというケースもある。そうした領域での対応が期待できると思う。

また、企業としては顧客と投資家への対応も大きな要素になると思う。CSR、法律順守という点はもちろん、最近では「LGBT市場」というものがメディアで取りあげられるようになってきた。「LGBT」を対象としたマーケットに向けた、商品やサービスの開発・構築に対する関心が高まっている。たとえば「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」は2012年、それぞれLGBT市場は日本における一大マーケットであるといったテーマで特集を組んでいる。「週刊ダイヤモンド」はその市場規模が国内で5.7兆円に達すると書いている。「プレジデント」でも同様の特集が2014年に組まれている。そのようにして、ビジネス雑誌をはじめとしたメディアが「LGBTマーケット」に関心を持ちはじめていった。

「LGBT市場」に対する関心の一例をご紹介したい。博報堂DYグループは今年、「LGBT総合研究所」を立ちあげ、そこでLGBT当事者とそうでない人たちの両方を対象に調査を行った。で、その調査結果を見てみると、LGBT当事者と非当事者とのあいだには、海外旅行やペット関連、あるいは国内旅行や芸術鑑賞への月間支出額に顕著な差が見られたという。たとえば、LGBTの人たちは海外旅行に1ヶ月で平均およそ2万円を支出するのに対し、非当事者は同7000円しか支出していないといった結果が報告されている。

CSRに関しても見てみたい。東洋経済新報社が行っているCSR調査のデータをあげると、この調査項目には「LGBTに対する基本方針、つまり権利の尊重や差別の禁止を規則として謳っているものは社内にありますか?」という質問がある。その調査に対して、「あり」と答えた企業は173社で全体の20.6%。「これから作成する予定です」と答えた企業が33社で3.9%。「ありません」と答えた企業が563社67.1%で圧倒的に多かった。しかし、それでもCSRに敏感な企業ほど「LGBT」への対応をすでにはじめているか、対応を検討中という結果が多かった。

では、企業として具体的に何ができるのか。まず、従業員あるいは将来従業員になるであろう人たちに対する支援や制度の拡充があると思う。もう1つは、商品開発を含む対外的なサービスに関する意識改革が挙げられる。

まず従業員の支援体制について考えてと、たとえば人事や産業カウンセラー、あるいは採用担当や相談窓口が「LGBT」に関する適切な知識を持つことや、そのために研修を受けることが求められる。そのうえで、従業員に向けて産業カウンセラーや人事担当が、「LGBT当事者の人たちのご相談にも乗ることができます」と明示する。そして、実際に相談を受けたとして高度に専門的内容であれば、地域の当事者団体ほか、適切な支援をしてくれるところへきちんと紹介するといったサポートができるだろう。

一方、制度的には差別禁止の規定を導入することができる。また、そうした規定がすでにある企業であれば、そこに「性別」に加えて「性的指向」や「性自認」も項目として入れる。また、経営層による「LGBT支援」の宣言も方法としてはあると思うし、併せて福利厚生の改善も行っていく必要がある。あるいはセクハラやパワハラ、メンタルヘルスに関する施策のなかに、同性間やトランスジェンダーへのセクハラやパワハラも導入していくことが大切である。

それから、人事研修、職場内ネットワーク、社内の啓発キャンペーンなどを通じた意識改革も重要だと思う。さらに、対外的には、当事者団体や「LGBT」に関するイベントなどに企業として支援するというアプローチもある。最近、こうした動きは日本でかなり増えてきたし、もちろん東アジア各国でも同様のケースが数多く見られるようになってきた。加えて、商品やサービスの見直しも求められる。「自社商品やサービスのターゲットが異性愛の人たち中心になっていませんか?」と。あるいは「トランスジェンダーの人たちを排除するような商品・サービスになっていないか」ということを、改めて見ていくことも大切になるだろう。

そこで、企業サービスの見直しの事例を1つご紹介しよう。台湾のマクドナルドが今年放映した、「マックカフェ」のCMだ。


【カフェで対面する父と息子。息子がドリンクのカップに「我喜歡男生」と書いて自身がゲイであることを父親に伝えると、一旦席を外す父親。しかし、父親は戻ってきたのち、息子が書いたカップに「接受你」の3文字を足し、「我【接受你】喜歡男生(自分はゲイであるお前を受け入れ、応援する)」という文章にして息子に応える】

台湾では同性パートナーを対象にしたこのようなCMがしばしば放送されているし、視聴者もいちいち驚いたりしない。言ってみれば、大手のグローバルカンパニーが、「ゲイフレンドリー」であることを打ち出したCMを放送する時代になってきたのだ。ただ、この「マックカフェ」CMを放映したときは、台湾でも保守的な団体から「マクドナルドのような大企業が同性愛に対してフレンドリーなCMを放送するとは何事か」といったクレームがそれなりにきたことも耳にしている。

従って、企業が何らかのアクションをとおして「LGBTフレンドリー」な施策に取り組む際は、それに対してバックラッシュが来ることも予測しなければいけないのだと思う。なので、少しバックラッシュが来たことで「あ、自分たちは間違ったことをしてしまったのかな」と迷うぐらいなら、はじめからやらないほうがいい。「やるのなら、最後まで責任を持ってやってください」と。

ここで日本の話に戻りたい。たとえばLGBTフレンドリーな企業に認定証を発行する取り組みが、「オンザグラウンドプロジェクト」という民間団体によって行われている。それをお薦めしているという話ではないけれども、同団体がWebサイトに掲載しているチェックリストは使えるかもしれない。例を挙げると、「採用ポリシーや倫理規定に、LGBTに対する差別的な発言・行動を禁止する規定を追加していますか?」「WebサイトにLGBTに関する取り組みが記載されていますか?」「同性パートナーがいる方も、異性配偶者がいる方と同じ福利厚生の待遇を受けられるようになっていますか?」といった項目がある。そして、それらをクリアした企業に、「あなたたちはLGBTフレンドリーな企業です」という認定証を出している。

日本に足場のある企業による、具体的な取り組みもいくつか紹介したい。たとえばラッシュ。当事者団体への協賛を積極的に行う一方、関連商品の販売も行っている。たとえば、「GAY IS OK」(商品名は「愛する権利」)と刻まれた石鹸をつくって販売したりしている。また採用ポリシーも改訂し、「年齢・国籍・人種・障がいの有無・宗教・性的指向や性自認等によって差別をしない採用活動をします」と謳っている。さらに、「東京レインボープライド」という日本最大規模のLGBTイベントの冊子に広告を掲載するなど、かなり積極的な取り組みをしている。

JPモルガン証券も、たとえば「ドメスティックパートナー向け福利厚生制度」ということで、同性パートナーも福利厚生を利用できるようにしている。また、「誰でもトイレ」をオフィスに設置して、トランスジェンダーにもフレンドリーな施策を打ち出している。大手の携帯キャリアであるドコモ、ソフトバンク、そしてKDDIの3社も、同性パートナーを家族割引の対象に拡大したサービスをすでに開始している。この辺りはJALやANAも同様だ。同性パートナーを家族に含めるサービスを展開している。このほか、今年の「東京レインボープライド」の会場には、たとえばチェリオやタワーレコードや金融系の企業まで多様な企業がブースを出店して、「私たちこういったLGBTフレンドリーな取り組みを行っています」といったことをアピールしていた。

最後に日本IBMの取り組みをいくつか紹介したい。1つ目は「同性パートナー登録制度」。同性パートナーがいる社員もパートナーのための福利厚生を利用できるということで、特別有給休暇や休職といった各種制度を用意している。また、本社の全フロアに「多目的トイレ(誰でもトイレ)」を設置して、トランスジェンダーの社員のトイレへのアクセスの権利を保障している。

今回調べたところ、同社で「LGBT」に対する取り組みを長らく担ってきたのは、2016年から同社最高顧問に就任した下野雅承さんという方だった。下野さんは、「週刊ダイヤモンド」の記事でこんな話をしている。「手探りの状態から始めて、社内の当事者と実際に会って話ができるようになるまでには数年間を要しました。……プライバシーの秘密は絶対に守らなければなりません。例えば、直接顔を合わせて会合は開けなかったことから……就業時間外にLGBT当事者とのクローズドな電話会議の場を設定することにしました」と。いろいろな悩みを抱えつつ、そういうところからスタートして、自分でも勉強を続けながら、少しずつ社内のLGBT当事者と信頼関係を築いて今に至るというお話だった。こうした取り組みから言えることは、「LGBT」に対する取り組みは一朝一夕にできるものでなく、相当な時間やコストを要するということだと思う。

話をまとめよう。今日は様々な観点から話を進めてきたが、要するに「LGBTとは、人権の問題」であることが前提になる。最初の質問に戻ると、もし皆さんの周りの友人や家族、あるいは親戚のなかにLGBTであることをカミングアウトしている人がいなかったとしても、それは周囲に存在しないということでない。恐らく、カミングアウトしていないのだろうと思う。つまり、皆さんが信頼するに足ると思われていないか、あるいはジェンダーに対してかなり鈍感な人だろうと思われている可能性が高い。

また、「LGBT」は国際社会において、当事者運動の高まりや学術領域の展開などを通して、各国で人権課題として台頭してきた。そして、企業に関して言うと、「LGBT」に対する支援体制や制度の整備、あるいは意識向上によって、従業員や顧客・投資家への対応、グローバル社会へのキャッチアップが可能になる。ただし、かなり敏感な問題でもあるため、安易で安直な取り組みはしないで欲しいという点は強調したい。

今日からできることは何?

最後に、「あなたが今日からできること」というお話をしたい。これは会社員としてではなく、個人としてできることだ。まず、皆さんの周囲…、ご本人がそうかもしれないけれども、周囲にも当事者がいる可能性は、常にある。どんな場面でもそれを意識して欲しい。そのなかでジェンダーに関して敏感になればなるほど、当事者は皆さんを信頼してくれると思う。具体的には、たとえば新人の「男性」が入社してきた際、「彼女はいるの?」という訊き方はしない。そもそもそのような質問じたいがハラスメントであるし、異性愛を前提とした表現は使うべきではない。「恋人やパートナーはいるの?」など、ジェンダーに中立的というか、中性的な表現を使う。そんな風にして、普段の言葉遣いに注意して欲しい。

それから、人の性を見かけで判断しない。男性的な格好をしているからと言って、その人が自身を男性であると認識しているとは限らない。「勝手に決めないでください」と。それから、他者の差別的な言動があったときは、ぜひ一緒に戦ってください。私たちの社会は、みなさんが想像している以上に同性愛者やトランスジェンダーに対する嫌悪的な表現や不愉快な表現で溢れている。たとえば、男同士で親しくしているとき、「お前、ホモかよ(笑)」といったことを簡単に言ってしまう。でも、そこで「なんでそんな差別的な言い方するの?」という風に言って、一緒に戦って欲しい。大変だけれど、そういう戦いに当事者は普段から巻き込まれているので。そこで誰かが助けを差し伸べてくれると、かなりラクになる。

そして、「アライ」である意思表示をするという方法もある。「アライ」とは、「当事者ではないけれどもサポートします」という「仲間」を指す言葉。たとえばLGBTや性的少数者の人たちはレインボーカラーのグッズを身に付けていることが多い。そこで、たとえば学校の職員室にレインボーフラッグやレインボーカラーのものを何かしら置いて、「私たちはいつでも、あなたたちを受け入れますよ」というサインを出す。職場で机の上にレインボーカラーのものを置いて、「フレンドリーですよ」といったことを態度で表すこともできると思う。

ただ、その場合は当事者が普段味わっているような差別的な言動を皆さんも受ける可能性がある。そのリスクまで背負うことにも留意していただきつつ、皆さんにできることからぜひ始めてみて欲しい(会場拍手)。
 

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