この季節、テレビや新聞では「雇用形態の変化」「勤務形態の多様化」「IT化」などが影響して職場でのストレスが増加、新入社員の「5月病」が多発している、という報道が見られるようになる。
5月病とは、ゴールデンウィーク明けに出社拒否などを伴ったうつ状態等に陥ることである。最近では、2カ月程度の入社研修明けに見られるので「6月病」と呼ばれることもある。
筆者は40年以上、メンタルヘルスの専門家として「うつ社員」と向き合い、「30万人」のストレスチェックを継続してきた。その経験から得た、環境適応のハイリスク期間を乗り越え、より良く適応するための7カ条を下記に紹介する。特に、新入社員の皆さんに読んでいただきたい。
【5月病にならないためのメンタルヘルス7カ条】
(1)窮屈な制度やルールだとしても、ときには、己の「我」を削り、環境に合わせる努力をすることも必要だ
(2)職場には様々な人がいる。これには吉川栄治の「衆人皆我師」コーピング(対処)が効果的だ。良い上司や先輩からは「やるべきこと」を学び、悪い人からはやっていけないこと学ぶ。それを日記に書いておくこと
(3)「ケチナノミヤに通わない」こと。メンタル不全の兆候は「欠勤、遅刻、泣く、能率低下、ミス多発、やめたい」に気づくこと。頭文字をとって「ケチナノミヤ」と言う。ここに通わないことだ
(4)腹が減っては戦はできぬ。「朝ご飯」を食べること
(5)1日7時間は寝ること。睡眠時間とメンタル不全発症には相関あり
(6)変化の時ほど、心と体のチェックを忘れないこと
(7)志を持つこと。入社時には、坂本竜馬、西郷隆盛、吉田松陰などの変革者の書に触れて、自分の「志」を高めよう。心が強くなります
昔の軍隊では、新兵が上官に「軍靴が足に合わない」と言うと、「馬鹿者、足を靴に合わせろ」と怒鳴られたという。こんなことを企業の上司が言ったらパワハラだが、我慢して履いているうちに「靴の皮が伸びて足になじんでいく」ということもある。時には忍耐も必要であることを付け加えておく。