グロービス特別セミナー
逆境から生まれた“奇跡の酒・獺祭(だっさい)”
~ピンチはチャンス! 小さな酒蔵だからできた挑戦 Part2/2(対談)
純米大吟醸の販売量で日本一、アメリカやヨーロッパなど、世界24の国と地域へ輸出拡大を果たし、奇跡の酒と呼ばれている日本酒「獺祭」。製造元の旭酒造は、山口県の山奥にある小さな酒蔵会社だった。桜井博志社長は34歳で売り上げが落ち込んでいた酒蔵を継ぎ、そこから「獺祭」を生み、新市場を獲得、奇跡の回復を果たした。改革を牽引してきた桜井氏が語る逆境をチャンスに変える秘訣、変革の心得、リーダーとしての自らの信念についてグロービスの田久保と語る(視聴時間40分21秒)
スピーカー
桜井 博志氏
旭酒造 代表取締役社長
田久保 善彦
グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長
【ポイント】
・今より良い酒にならなければならない。「良い」がどの方向かはわからないがやってみる、そこに獺祭の価値があると思う
・酒をつくるための決まった技術があると、みんな同じものが出来上がる。勘と経験ではなく、データを集め試行する。データと試行の先に“飛躍”したものが出来る
・社員は30数年で入れ替わってきたが、それでよかったと思う。必要な時期に必要な社員がいたと思う
・経営者は「自分で育つ」しかない、育てることはできない
・自分が欲しい数字を欲しい時に使うために、自分でデータ入力している。スピード感を大事にしている
・旭酒造にとって一番大事なことは「おいしいお酒をお客様に届ける」こと。おいしいお酒をつくる、というのはよくあるが、届けようとしないところが多い。酒をつくって届ければ、結果として会社が繁栄し、社員や経営者が幸せになり、もちろんお客様も幸せになる
・旭酒造のやり方はオープンにしているが、他は真似できないと思う。米は山田錦のみ、それ以外の米を使わないので周りから除外されたりもする。普通の酒蔵はそういうリスクはとらないので、結果的に真似はできない
・欧米のブランドメーカーは、100注文が来ても99しか出さず、マーケットを枯渇状態にしてブランド価値を高めている。同様に国内の酒蔵は幻の酒を目指していたりするが、日本的なブランドのつくり方は違うと思う。きちんとお客様に供給し、お客様の満足の上でつくっていくやり方にチャレンジしている
・実社会は温かく、皆さんのことが好きである。実社会の評価は学校の評価とは違うから敗者復活すればよい。社会を信頼してやっていけばよい
(肩書きは2015年9月11日登壇当時のもの)