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東京の未来 オリンピックのその先、私たちは何を変え、どんな街にするのか

投稿日:2015/06/30更新日:2019/04/09

カフェ・カンパニー社長・楠本修二郎氏×建築家・森俊子氏×森ビル副社長・森浩生氏×A.T.カーニー・梅澤高明氏
G1サミット2015
第13部 分科会B「2020年 NeXTOKYO~東京のグランドデザインを考える~」

東京を世界一魅力的な都市に変えよう--前回G1サミットの参加メンバーを中心に設立された「NeXTOKYO」。都市間競争が国の優劣を左右する時代、2020年とその後に向けて、どのような東京をリデザインしていくのか。文化やクリエイティビティをキーワードに、固有の魅力を活かし、世界と価値を共創する都市づくりに向けて、チームNeXTOKYOが未来の東京を提言する(視聴時間1時間14分28秒)。

楠本 修二郎氏
カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長
森 俊子氏
Toshiko Mori Architect PLLC 建築事務所
創立者CEO
ハーバード大学院 教授 
森 浩生氏
森ビル株式会社 取締役副社長執行役員
梅澤 高明氏(モデレーター)
A.T.カーニー株式会社 日本法人会長
パートナー(ニューヨークオフィス)

【ポイント】
・1964年の第18回東京オリンピックは、1940年に企画された幻のオリンピック抜きには考えられない。1924年の関東大震災から6年がたった頃、東京はオリンピック開催を構想。1936年に開催が決定し、安田講堂などを設計した岸田日出刀東大教授に企画を依頼したが、戦局のためやむなく中止。それ以降も、東京は長い間オリンピックのビジョンを保持していた(森俊子氏)

・戦後50年ごろ再びオリンピックの機運が高まり、岸田教授によるビジョンのもと、競技場は片山光生が設計、丹下健三が代々木競技場を設計するなど、チームワークをもってあたった。丹下健三をリーダーとする「メタボリズム」という世界的なムーブメントもその頃に生まれた。1960年には東京デザイン会を開催。世界中の建築家を招き、日本の未来を見せようというユニークな動きとなった(森俊子氏)

・モダニズムは桂離宮などの日本の伝統建築が影響を与え、西洋へ発信したもの。その後、若手の日本建築家が日本独特のものを作ろうと幅を広げた。今に残るすばらしい歴史と文化遺産が生まれたころといってよい(森俊子氏)

・当時は、人口増加・高度成長期を迎えるさなか。菊竹清訓や黒川紀章、丹下健三といった建築家が都市のありかたをどのようにデザインするかを提唱したもの。彼らが将来を見すえた設計をしていたことを記憶しておくべき(森浩生氏)

・森ビルでは、2008年から世界の都市ランキング(グローバル・パワー・シティ・インデックス)を開始。7つの分野でのポイント制で、東京は2008年から連続で4位。2012年に1位がNYからロンドンに変わった。これは、ロンドンオリンピックの一過性の盛り上がりではない。その後ロンドンは3年続けて1位の座を保持。われわれが2020年の東京オリンピックに向けてしっかり都市基盤を整備すれば、順位を上げ、維持できる可能性がある。東京の弱みは海外との交流。(森浩生氏)

・代々木体育館、武道館などといった街づくりは、50年後まで生きてきた。オリンピックの2020年を考えることは、2070年までをみんなでデザインするということ。人口増加時の建築物から東京は構築されている。現在、人口減少型の社会の中でどうすればよいか。人によりそっている感覚、「フィット感のある街づくり」、ヒューマンタッチな設計、「クリエイティブ」の力でどれだけ情報発信力を上げていくかが重要(楠本氏)

・「世界から人材・資本が集まり 世界と共創する」がNexTOKYOの目指すもの。フィットネス、クリエイティブ、インフォメーションの3つの理念で東京を再構築していきたい(梅澤氏)

・「フィットネス」の一例は、皇居から明治神宮、神宮外苑、代々木公園など緑地を繋げたグリーンネットワークを作ることで、ランナーなどにとってとても魅力的な都市をつくる。
「クリエイティブ」の柱では、渋谷・原宿のファッション、秋葉原のサブカル、六本木のアート、台場のスポーツ、浅草領国日本橋の伝統文化などのエッジをさらにとぎすますことで、観光客にとってよりわかりやすい聖地を作り、その周りにクリエイティブ産業の集積を構築していく(梅澤氏)

・「インフォメーション」は、翻訳や乗り換えナビ、レストラン・ホテル検索のような機能を、多言語対応で観光客に提供するなどの取り組み。無料でダウンロードしたアプリからこうした機能に自動でつながれば、東京という大変複雑な街が魅力的なラビリンスに変貌するのでは(梅澤氏)

・これからの5年で実現できれば、魅力的な都市づくり、新産業のプラットフォームになる。そのために次の5つを提案し、法案化を見すえて対応していただいている。1:世界のクリエイティブ人材の誘致、2:自動走行、3:市街地レースの開催、4:町のにぎわい創出(空地の活用、「ダンス規制」の緩和など)、5:民泊の仕組み整備(2020年に向けてピークを迎える宿泊需要を効率的にさばくため)(梅澤氏)

・ダンス規制は、青少年の健全育成とドラッグと近所迷惑が問題なだけであとは大人が何をしようと問題がない。人材の誘致に関しては、ビザの問題。クリエイティブ人材・起業予定の人材という枠組みで入国・滞在しやすくする。自動走行に関しては、レベル4(人がいない状態)の実験をするため、地方創成とからめていくつか特区に指定。東京という人の多い街でどう実現するか(平氏)

・イノベーションによっては、今までの規制やルールでは対応しきれないケースが生じる。そうしたときに、周辺の規制緩和と責任の所在の明記、他の方法によってリスクを担保する措置もあわせて行うのが政治家の手腕。政策のレベルで、各省庁をすりあわせた合理的なやり方で進まねばならない(平氏)

・東京が今もっている資産をいかしていくかというリユースの概念も大切だが、もう一度ヒューマンに戻る課程でクリエイティブを発揮することも大事。生き生きとして観光インバウンドも増えている町にはマルシェがある。週末になると恒常的に道路が封鎖され、マルシェに変わる風景。そんな、国の内外を問わず食を大事にしていく場所の創出をしていきたい(楠本氏)

・メタボリズムの高度成長期に再開発されたビルを再々開発するのが今。ライフスタイルも都市の構造も、東京の位置づけも変わった中でどういう町をつくるかが問われている。われわれがしっかり将来を見すえ、この都市がどうあるべきかを考えることが鍵。あらゆる人に対して魅力ある街をどうつくるかが、ソフトの部分も含めて大事(森浩生氏)

・フォーブスの「世界でいちばん影響のある都市ランキング」で東京が弱いのはダイバーシティ。だが、日本文化はもともと多様性と応用性をもっており、中でも建築家は多大な影響力を持ってきた。60年代には使われていたその日本の資産が、今現在は活用されていないのがもったいない。

・もう2つめの資産は、日本の地方都市。東京と日帰りできる場所にあることを活用し、2020年に地方都市の個性の強さを発揮してもらいたい。3つ目に、60年代の建物は東京や地方都市の基礎となる文化遺産だが、今は壊されかけて危機にある。政府が規制し、民間が守れるようなシステムをつくっていただきたい(森俊子氏)

・表参道の同潤会アパートは、耐震構造的にはとても危険だった。再開発で取り壊すことになったが、反対運動がおこった。そこで、かつての設計図を取り寄せ、同じ材料で同じものを今の技術で一棟復元した。そういう方法もある(森浩生氏)

・シドニーから始まったオリンピックの流れで、アボリジニーとの共生(シドニー)や、ネイティブアメリカンとの融合(バンクーバー)、エンターテイメントの本場(ロンドン)といったプレゼンが非常に印象に残った。日本をどのようにオリンピックで表現するかは日本国民に対してもわかりやすい演出。町のあり方とプレゼンテーションでストーリーを作ることが大事(楠本氏)

(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの)

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