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2040年までに896の自治体が消滅する!? 人口減少時代に地域が生き残る道

投稿日:2015/06/20更新日:2019/04/09

野村総研・増田寛也氏×衆議院議員・古川康氏×IGPI・冨山和彦氏×BCG・秋池玲子氏
G1サミット2015
第9部 分科会B「人口減少社会における地域の方向性~地方分権と道州制~」

「2040年までに896の自治体が消滅する」--増田寛也氏による発表、いわゆる「増田レポート」は、各界を震撼させた。2008年をピークに人口は減少に転じ、日本は本格的な人口減少社会に突入する。その中で、豊かさや利便性を維持していくために、国土や都市計画も大幅な見直しに迫られている。人口急減と東京一極集中を回避し、医療や交通、教育といった生活インフラを守っていくために、どのようなグランドデザインが必要なのか。国や自治体、企業に、どのような打ち手が求められているのか(視聴時間1時間18分7秒)。

冨山 和彦氏
株式会社経営共創基盤(IGPI) 代表取締役CEO
古川 康氏
衆議院議員
増田 寛也氏
野村総合研究所 顧問
東京大学公共政策大学院 客員教授
秋池 玲子氏(モデレーター)
ボストンコンサルティンググループ
シニア・パートナー&マネージング・ディレクター

【ポイント】
・東京一極集中によって、効率的に経済をまわすという日本のモデルが破綻し、人が枯渇する。地方はさらに人口を減らした。東京での結婚・出産・子育ては非常に難しくなる。女性の社会参画の推進、出生率が高まる社会への切り替えができるかどうか、今の東京一極集中モデルの是非が問われている。これらを世の中に問題提起するため、昨年日本創成会議から提出した資料が、「消滅可能性都市」であり「人口指標」。1799の自治体があれば、1799通りの解決法があるはず(増田氏)

・「増田レポート」の衝撃は、49.8パーセントもの市町村が消滅する可能性を明言したことと、市町村単位であるため自分にとって身近なものとして感じられたこと、アクションが可能な単位に細分化されたこと(秋池氏)

・「増田レポート」の効果は、わが国の社会全体の問題だという問題意識を共有できるようになったこと。もう少し希望をもつため、社会のシステムを考えるところにやっときた。地方出身の議員が3割と少ない中で、都会選出の議員の共感を得ていくような作業が求められている(古川氏)

・地方で出生率が下がる最大の要因は、賃金の安さ。生産性が低くて賃金が上がらず、子供が作れない。一方の大都会は過密都市。過疎と過密の組み合わせをどうリアジャストするかが根本的な課題。地方で実際に残るのは、サービス型の産業。集積し効率を必要とするため、896都市全てを維持することはできない。取得再分配しようという議論と、スマートに撤退しネットワーク型で収斂する方向に分かれていくはず。上手に集約させることは、政治の責任としてやらねばならない(冨山氏)

・消滅可能性都市896の自治体の文化や伝統は残るが、機能・サービスが問題になる。その全部を支えるかどうか。今こそ東京の容積率を上げて効率性を高め、出生率を上げるといった議論もあるが、高齢化のリスクは克服できない。やはり地方に分散していくべきだが、行政には限界がある。ある程度集積がある場所のサービス産業で生産性を向上するため、人材をいかに集めるか。最終的には、民間企業の生産性をより上げる形で、東京の成長力を損なわず、眠れる地方の活力を出すことが解決策(増田氏)

・地域を成長させようと外から人を呼ぶ場合、家族ごと移り住める快適な環境づくりを、地域を作り上げる意味でも行うべき。空き家の活用も、実際には難しいケースが圧倒的。
人材流動性の少なさがこれまでの地方の良さだったかもしれないが、これからは、外部からの「風の人」が本当に住みたくなる環境を用意し、「土の人」と一緒に新しい風土を作り上げてもらうようにしなければならない(古川氏)

・岩手では、「優秀な人ほど早く東京に行け」と言う。一方で同じように、地元で支えることを称揚しなければ人材が枯渇する。地元に根づいて支える「土の人」をどれだけ意識して強化するか。これから一人っ子同士の結婚で空き家が増え、不動産が不良資産化する。除却費用も出ず、空き家を必ず抱える。東京ではもう少しで65歳以上が4割以上になる。こういった人口減少の問題を「見える化」することで、人口減少による社会変化を一般国民に伝えること、鳥瞰的に見ることが大事(増田氏)

・地方の会社の事業再生に、東京で定年退職された方が来ると、相性がある。人材を送るだけではなく、失敗や成功の経験、地域での苦労の経験などを共有し、受け入れ側も受け入れられる側もそれぞれに意識を高めることが大事(秋池氏)

・潰れた会社の経験がある人は上から目線ではなく一所懸命で、地方で活躍する。また東京で雇用し、地方に送り込むなど何らかの出向転籍モデルを国側が作りサポートする必要がある。空き家は、すべて市場経済の限界。これを撤退するインセンティブは資本主義社会でははたらかない。撤退コストをどう負担するか、政治が真正面から議論をはじめるべき(冨山氏)

・空き家の問題点の一つは、更地の固定資産税が、建物がある土地の固定資産税より高くなること。補助金の仕組みもあるが、それを使わない人もいる。これはいかにも平等ではない。また、登記が整理されていないケースが多く、地方創生の流れの中で特措法を作り、整理していただきたい(古川氏)

・地域共同体がいきわたっているところほど、登記をしていない。震災が起こり、相続が一気に相続が起こると、細分化する。4代遡らねばならないことも多かった。首都直下で大地震が起こると、登記の面で大変な混乱が起こる。土地関係の整理に時間がかかり東京の機能が損なわれないよう、登記と地籍調査を推進すると同時に、簡便なまとめ方を編み出す必要がある(増田氏)

・人口10万から40万という中核都市に人口を集約・収斂させて活性化し、年収1人あたり400万を現実にする。東京と比べて子どもはつくりやすく、豊かな生活が送れる。田舎暮らしはすばらしいかもしれないが、夫婦で年収200~300万では、子どもはつくれない。現実を直視した議論をすべき(冨山氏)

・また、大企業の本社機能の地方移転を税制で応援する内容が、今回の税制改正の中に盛り込まれている。これは初めてのことで、どこまで機能するかわからないが、その実際・問題点などを経営者のみなさんに教えていただきたい。また最近ロボットに注目している。ロボットによって地方のサービス産業の生産性を上げ、給料を上げようと考えている(古川氏)

・これまでそれぞれの地域で独自に努力してきた結果が、驚くべき人口減少。解決策は、拠点的なところに雇用を集めていくこと。これは切り捨てではなく、選択と集中。そのために、首長が今まで以上に合意形成に向けて汗をかくことが必要。また、これまでの商業施設中心の町づくりから、大学・病院・介護施設を拠点とした町づくりへの方向転換を。たくさんの町づくりのパターンから移住者が選択可能となることが、地域の魅力を高める。
若い人が意思決定層に入り込むことが、地域の立ち直りのために必要(増田氏)

(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの)

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