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ドローンを試すなら地方だ

投稿日:2015/08/13更新日:2019/04/09

ベンチャー×地域の“破壊的”イノベーションが日本を変える[4]

高島: これまで地方に人口を移す、または増やすという議論が主でしたが、人口が少ないからこそ、ドローンや自動運転などの先進技術・製品や革新的な教育を、地方というフィールドを使って試していくことも可能だと思うんです。

小泉: 僕がこれから期待しているのはドローンです。ドローンの持っている可能性と、官邸を含めた政府機関のセキュリティの問題は、切り離して考えなくてはいけない問題だと思っています。

今、日本にはさまざまなドローンがありますが、ドローンの心臓部であるオートパイロットまで純国産でつくることができるのは、日本では千葉大学の野波健蔵教授ぐらいです。その野波教授のドローンは、今、福島の第一原発でも使われています。

「野波先生のドローンをさらに進化させて、社会の中に落とし込むためには、どんな実証の場が必要なのか?」。そう野並先生に聞いたとき、「10キロ四方を自由に使わせてもらいたい」という言葉があったんです。

10キロ四方は都会では取れません。そこで、目をつけたのは、地方にある国有林です。結果、ドローンの国家戦略特区として、秋田県の仙北市が指定されました。

国有林であれば、ドローンが下に落ちてもリスクはない。さらに、実験をする技術者側からすると、10キロ四方の平坦な土地よりも、勾配のある場所などいろいろなところで電波が届くかどうかとか、そういったこともやりたいと。だから、国有林は技術者にとってもドローンの実験場として格好の場なんですよ。

こうしたことから、今回の官邸の事件を受けて、僕はむしろ仙北市におけるドローン実証フィールドの価値が高まったと思っています。

僕がこれからやりたいと思っていることのひとつが、自動走行です。

ただ、自動走行にはさまざまなリスクがありますから、そうしたリスクを許容してくれる自治体が出てくれば、技術を試せるようになる。こういった現場をぜひつくりたい。それは都市よりも地方がいい。

たとえば、具体的な課題として出てきているのが、自動走行車が、夜にテールランプの「赤」と信号機の「赤」を区別できない可能性があるということ。自動走行車は人が見る景色ではなく、車のデータセンサーやレーザーを認識して動くものですから。

僕は、その話を聞いたとき、「それ、信号がない場所があればどうでしょう」と言いました。自動走行車だけで隔離されるフィールドが確保できれば、自動走行車同士が通信をし、運転を制御し合うような、IoTの世界の実現に向けての実験ができる。

つまり、隔離されて信号がない環境があり、実験のリスクも許容してくれるような自治体が日本に出てくれば、グーグルに対してであろうと、アップルに対してであろうと、技術を試せる場所として日本の地方を世界に売り込むことができる。

さらに、今、自動走行に関わるコンピュータのプロの人材獲得戦争がシリコンバレーで起こっていますが、日本ですぐに実走できる環境ができれば、そういった人材も誘致できる可能性もあります。

日本の地方へ行けば、「信号がひとつもない」といった自治体があります。こういった地方の側面をぜひ生かしていきたいですよね。

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高島: 今のお話に付け加えると、以前、ある企業の人とお話をしていたときに「自動走行がやりたい」と話していたので、「人が少ないところがいいでしょうから、福岡は無理ですかねえ」とお答えをしたところ、「いやいや、福岡のような、港湾エリアでやりたい」と聞いたことがあります。つまり、過疎でない地方でもチャンスはある、と。

だから、実際にどういうニーズがあるのか、企業と自治体の間のコミュニケーションを改善することがやはり何よりも重要だと痛感しました。

 さて、これからは、皆さんとの全体討議に移りたいと思います。質問でも意見でもいいです。はい、どうぞ。

質問者: 新日本有限責任監査法人CSR推進部長の大久保和孝と申します。私も全国各地の地域創生の支援をしており、経済同友会の道州制委員会にも入っております。

大企業は「地方創生」の号令をかけながらも、その取り組みは、所詮、CSR(企業の社会貢献活動)の域を出ず、まともなビジネスチャンスにはならない側面があります。

どうすれば、大企業が活動している地方でシリコンバレーのような産業連携化が図られ、地域全体の産業が大きくなっていくきっかけができるのかと疑問に思っています。何かアイデアやヒントを頂けたらと思い、質問させていただきました。

小泉: 被災地関連でも起きていることですよね。

震災から4年経って、震災支援をしている企業のCSRの部門の方々が、企業の中で肩身の狭い思いをし始めています。「いつまでやるの?」という目があったり、ビジネスとして成り立っていないために「本当にこれって、うちの会社がやるべきことなのか?」と言われたりする中で苦しんでいます。

僕が思うには、企業の役割は、儲けてもらうこと。儲けることで、その地域に税金を納め、雇用をつくり、地域を豊かにしていくことです。

これを割り切って実践しているのが、前出の徳島県の神山町ですね。「『町のために』なんていう思いはいらないから、とにかくビジネスが成り立つようにやってください」というような受け入れ環境をつくっています。

ぜひ企業には地方で儲けてほしい。結局、儲からなければ、その支援には持続性はないですから。

→ベンチャー×地域の“破壊的”イノベーションが日本を変える[5]は8月14日公開予定

※開催日:2015年4月29日

講演者

  • 小泉 進次郎

    衆議院議員 元環境大臣

    1981年神奈川県横須賀市生まれ。関東学院大学経済学部卒業後、2006年米国コロンビア大学院政治学部修士号取得。米国戦略国際問題研究所 (CSIS)研究員を経て、衆議院議員小泉純一郎氏秘書を務めた後、2009年8月衆議院議員初当選し現在4期目。 2011年、自民党青年局長に就任。2013年に内閣府大臣政務官 兼 復興大臣政務官に就任し、東日本大震災からの復興に全力を尽くす。2015年、自民党農林部会長として農政改革に取り組む。2018年10月、自民党厚生労働部会長として人生100年時代に向けた新たな社会保障の実現に取り組む。 2019年9月、環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣(原子力防災)に就任。2020年9月、環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣(原子力防災)に再任。2021年11月、自民党 総務会長代理に就任。
  • 重松 大輔

    株式会社スペースマーケット 代表取締役社長

    1976年千葉県生まれ。千葉東高校、早稲田大学法学部卒。2000年、東日本電信電話()入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。2006年、()フォトクリエイトに参画。一貫して新規事業、広報、採用に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。20137月、同社にて東証マザーズ上場を経験。 20141月、()スペースマーケットを創業。2016年シェアリングエコノミーの普及と業界の健全な発展を目指すシェアリングエコノミー協会を設立し代表理事(現在は理事)に就任。201912月東証マザーズ(証券コード4487)に上場。

  • 山野 智久

    アソビュー株式会社 代表執行役員CEO 代表取締役

    明治大学法学部卒。2011年アソビュー(株)創業。レジャー×DXをテーマに、遊びの予約サイト「アソビュー!」、観光・レジャー・文化施設向けバーティカルSaaS「ウラカタシリーズ」を展開。観光庁アドバイザリーボード、経済同友会観光再生戦略委員会委員長。一般社団法人 日本車いすラグビー連盟 理事。著書「弱者の戦術」(ダイヤモンド社)

コントリビューター

  • 鈴木 康友

    静岡県知事

    1957年静岡県浜松市生まれ。1980年慶應義塾大学法学部を卒業後、松下政経塾に入塾(第1期生)し1985年に同塾卒塾。2000年から2005年まで衆議院議員を2期、その後2007年5月から2023年4月まで浜松市長を4期務める。2024年5月静岡県知事就任。

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