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地方発ベンチャーは情報格差をどう埋めるべき?

投稿日:2015/05/15更新日:2019/04/09

地域発ベンチャー大国・日本をつくる[5]

高野:では、Q&Aに移りたい。(20:41)

会場(奥田浩美氏:株式会社ウィズグループ代表取締役):東京でスタートアップのサポートをしているが、東京ではエコシステムづくり自体がビジネスになっている面がある。スタートアップのピッチをする場をつくったり、サロンをつくったり、飲食店をつくったり等々…。直接的なファンドではないにせよ、そうした周囲の環境デザインのような部分で何か考えていらっしゃること、あるいは何か着手されていることはあるだろうか。(21:00)

吉川:今言われたような状況にするのがベストだと思う。ただ、大阪の場合はその辺のコンセンサスがまだ取れていなかったから自治体が動き始めた。そこで、「横連携プラットフォームが重要だ」というメッセージを出していったわけだ。そのうえで、自治体としては今後どんどん身を引いていきたい。結局、自治体では難しい。僕も1年半働いて思ったけれど、限界がたくさんある。だから東京のように民間で育てていくほうが良いと思う。だから大阪に来てください(会場笑)。

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会場(瀬尾傑氏:講談社「現代ビジネス」編集長):今日は大阪のお話が多かったけれども、和歌山や奈良といった関西の他の地域についてはどうお考えだろう。情報は大阪より少ないかもしれないし、集まる場所も少ないかもしれないが。

谷井:答えがないまま喋るけれども(会場笑)、県という単位で考えてしまうことが良くないと思う。京都、大阪、神戸、和歌山、奈良、そして滋賀ぐらいまで、だいたい一つの経済圏だ。和歌山に住んでいて大阪で働いている人は大勢いらっしゃるし、滋賀に住んでいて京都で働いている人、神戸から京都へ働きに行く人も大勢いる。だから経済圏という意味では同一で、京阪神ぐらいまでは出てきてくださいという(会場笑)、そんな感じじゃないか。あと、恐らく自治体さんごとにいろいろな取り組みをしていらっしゃると思うので、それはぜひ情報共有をしていただければと思う。

吉川:情報共有しなければいけないなと思う。私たちは大阪市直営で600㎡ほどの場所を借りているけれども、こちらはグランフロントというところで大阪駅から3~5分ぐらい。京都から30分で、和歌山からでも1時間前後だ。私は東京に住んでいた頃、八王子から東京駅で1時間半ほどかけて通勤していた。これ、関西なら京都から三宮と同じぐらいの時間になる。だから行政の壁なんてないと思う。私たちは自分たちのことも「関西のハブ」と呼んでいる。各行政区間が持っているものを横連携させるプラットフォームだ。大阪市は産業創造館というものを持っているし、京都には京都リサーチパークというものを持っている。それらすべてとコミュニケートしているし、彼らのイベントをOIHでもできるようにしようとしている。だから谷井さんが言われたような情報共有できる環境は絶対必要だと思うので、よろしくご指導ください。

会場(厨勝義氏:株式会社アイローカル 代表取締役):宮城県の被災地に移住し、そこで創業した。地方に住むこと自体が好きなのだけれど、ただ、東京という市場や関東圏は無視できない。岩田さんと谷井さんは東京との往復も多いとのお話だったが、東京では何をすべきだろう。

岩田:東京では情報収集が多い。業界の情報や技術の動向を東京で仕入れ、大阪やベトナムで開発したりしている。ただ、地方というのは一つの軸だと思う。IT分野で東京が有利という話はさせていただいたし、やっぱりその軸では勝てない。ただ、「京都が好き」「九州を離れたくない」といった価値観に根差した起業家も育っていると思う。実際、最近は田舎であっても徳島の神山町のような場所が盛り上がっている。そんな風にして、東京にはないバリューを地方が提供することでゲームチェンジができれば、逆にそこへ東京から人が集まってくるというような流れができると思う。もちろん東京はマーケットとして無視できないけれども、それで人が集まってくる形ができたら東京と良い関係を築くような会社づくりもできると思う。

会場(藪ノ賢次氏:クックビズ株式会社代表取締役):ベンチャー企業を経営しているが、僕も岩田さんの意見に賛成で、ITだけで集まっても面白くないと思っている。実際、僕が関西でつるまないのは優秀な経営者がいないからだ。だから交流会にもほとんど出ていなかった。ただ、今回初めてG1に参加させていただき、別セッションで伺った渡部(秀敏氏:ワタベウエディング株式会社代表取締役会長)さんの、世代を超えた交流というお話が“刺さって”しまった。それは関西独特の強みだと思う。そうした、大手となった会社の第2/第3世代となる方々とつながっていけるのはすごいことだと思う。だから、岩田さんと谷井さんには中心的人物として、ぜひ、そうした縦というか年代を超えたコミュニティを関西につくって欲しい。それは東京にない魅力だと思うし、僕もぜひ参加したい。

谷井:僕もまったく同じ問題意識を持っていた。そこに断絶があると思っている。僕は基本的に引きこもりのタイプで、人と接点を持つのが得意じゃない。ただ、やっぱり上の世代の経営者や創業者の方々、あるいは歴史的につながっていらっしゃるような方々は、やっぱり僕らの経験をはるかに超えたものをお持ちだ。そういう方々のお話はすごく聞きたい。今回のG1でも代々続いていらっしゃる企業トップの方々が登壇されるセッションばかり聞いていた。今までなかなかつくることができなかった上の世代とのつながりを本当に強めていきたい。微力ながら頑張ります(会場笑)。

高野:一つ、共通のテーマができたと思う。ベンチャーと大企業あるいは昔から続く企業の連絡協議ということでぜひ具現化していただきたい。吉川さんがその事務局等をやっていただけたら私もヘルプさせていただきたいと思う。

会場(今庄啓二氏:フューチャーベンチャーキャピタル株式会社代表取締役社長):何度かお話に出ていたけれど、やっぱりITだけではシリコンバレーに勝てないと思う。日本のものづくりは今でも強いと思うからものづくりとの連携ならチャンスがあると思っている。ただ、ソフト系ベンチャーさんから見てその可能性はどうだろう。「いや、シリコンバレーが本格的にものづくりをしたら勝てへんで」となるのだろうか。

谷井:それはインターネットの世界では「IoT(Internet of Things)」と呼ばれるもので、大きなトレンドになると思う。僕としては、インターネット関連の世界で起きた一つ目の革命がインターネット自体の誕生で、次の革命がモバイル、そして三つ目がソーシャルだったと思っている。で、そのスマホも含めてIoTは大変な革命だと思うし、この分野はものすごく魅力的なビジネスマーケットだ。関西にはメーカーさんは多く、生産技術なり知財なりも多い。だから大変なチャンスだと思う。

それが先々でどうなるかは正直分からないし、競争にはなると思う。ただ、この分野でビジネスを成功させる大きな要素として、技術だけじゃなくて発想も必要になると僕は考えている。今までにないデバイスを、いかに生み出すか。第一段階は時計や携帯や指輪のような、これまでもあったモノの進化・変化だと思う。ただ、その次の流れというのは従来なかったデバイスをゼロベースから考えるという、そういうIoTのビジネスが生まれると思う。恐らく、そこが本流域になる。とにかく要素は関西に山ほどある。だから、そこに対していかにアイディアを出す人間が出てくるかが勝負の分かれ目になると僕は思っている。

高野:では、最後一人ずつコメントをお願いしたい。(34:00)

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岩田:今回のG1には東京からいらした方も多いと思うけれど、関西は本当に良いところだとつくづく思う。本会場の寺院もそうだし、京都もそうだし、世界へ誇るべき文化資産みたいなものが膨大にある。そういうものに根差したうえでサービスに昇華させ、それを世界に発信することが今は求められているのだと思う。それを発信していくのが関西人である僕らの役割だと思う。関西に対して誇りを持って世界に発信していくという、その誇りの部分が一番大事なのかなと個人的には思う。

谷井:別セッションで、ユーグレナの出雲(充氏:同社代表取締役社長)さんの話を聞いて僕は感銘を受けた。すごく直線的にお話をなさるのだけれど、最後にきっちりと謝りはる(会場笑)。今日は関西のベンチャーの方々にムチャなことを言ってすみませんでした。皆さんと一緒に関西を盛り上げていきたいと思っているので(会場笑)、これからもぜひお相手してください。よろしくお願い致します。

吉川:エコシステムをつくる担当としては、やっぱりプレイヤーたちが互いに信頼関係を持たなければいけないと考えている。だから今回のような機会はすごくいいと思うし、私はOIHに集まる人々にも、「ギブ・ファースト」と言っている。先に与え続ける人のほうが成功率は高くなるというか、リターンが大きくなる。だから「ギブ・ファースト」であり、「失敗は成功の元」であり、そして「ビー・アンビシャス」であると。この3つの原理がエコシステムには必要だということを私は大阪で言っている。そういう意味で皆さんと一緒に信頼の輪をつくりたい。よろしくお願い致します。

高野:G1には「思想から行動へ」という指針がある。今日の議論で出たネットワークはぜひ実現したい。我々が責任持って何かやるので期待していて欲しい。本日はありがとうございました。登壇者の皆さまに拍手をお願いします(会場拍手)。

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