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ピラミッド・ストラクチャーとは: 研ぎ澄ました論理思考が人を動かす

投稿日:2015/08/29更新日:2019/04/09

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『グロービスMBAクリティカル・シンキング』の序章から「論理の構造をつくるためのステップと「ピラミッド・ストラクチャー」」を紹介します。

ピラミッド・ストラクチャーは、ビジネスにおける論理展開ツールのグローバル・スタンダードです。「考えを練り上げる」ツールであり、自分の考えや思考プロセスの矛盾を見つけたり、平板な主張に陥っていないかを発見したりする上で多いに役立つのです。論理の錯綜した主張、研ぎ澄まされていない主張では人は動かせません。強く、鋭く、納得性の高い主張をするためにも、ぜひしっかり身につけてください。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

論理の構造をつくるためのステップと「ピラミッド・ストラクチャー」

多くの人にとっては、こうしたステップを頭の中だけで抽象的に考えることはきわめて困難だろう。そこで「イシューを考え」「枠組みを考え」「根拠となる情報から適切な答え(解釈・主張)を導く」ことを、図表のような「ピラミッド型」に整理していくとよい。それによって、自分の思考の妥当性や完成度を視覚的にチェックしやすく、また他者やコミュニケーションの相手とも共有しやすくなる。これは「ピラミッド・ストラクチャー」と呼ばれる手法だが、いわば論理的に考えるための「道具・ツール」である。

「ピラミッド・ストラクチャー」は、論理性を重視し、かつクライアントの意思決定を支援するコンサルティングファームなどで、資料作成の標準的なスタイルとして用いられている(詳細は、バーバラ・ミント著『新版 考える技術・書く技術』<山崎康司訳、グロービス・マネジメント・インスティテュート監修、ダイヤモンド社〉を参照されたい。

なお、わが国では起承転結(あるいは序破急)といったストーリー展開が伝統的に用いられてきたが、ピラミッド・ストラクチャーは、それとはまったく異質の構造である。もともと、起承転結は漢詩のセオリーであったことからもわかるように、散文向きの構成であり、必ずしも論理的文書には向かない場合も多い。一方、ピラミッド・ストラクチャーは最初から論理性を高めることを目的に発達した手法であるため、必然的にビジネス文書に代表される論理的文書とのフィット感は高い。

ピラミッド・ストラクチャー

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出典:「新版 考える技術・書く技術」(バーバラ・ミント著、ダイヤモンド社)

◎ピラミッド・ストラクチャーを用いて「論理の構造」をつくるメリット

ビジネスパーソンは、組織の中で(ポジションにかかわりなく)枢要な地位を占め、責任が重くなればなるほど、自分の意見や判断が求められるようになる。そしてそれは、定型的なフォームに必要事項を埋めていけば済むようなものではなく、明確に自分なりの主張を打ち出すことが求められるはすだ。なぜなら、その主張を提案、指示、通達、依頼などの形で他人(上司、同僚、部下、取引先、一般消費者など)に伝えることで、彼ら彼女らに何らかの態度変容や行動を促さなくてはならない場面が増えるからである。

そのためには、自分なりの主張を思いつきで言うのではなく、説得力がある(=言っていることが明快で、納得できる)コミュニケーションが必要だ。逆に言えば、論理に抜け漏れがあったり、枠組みに納得感がなかったりすると、説得ができないばかりか、相手からの反論も受けやすい。また、事実・情報を羅列するだけでは相手に不親切で伝わりにくい。かといって、根拠に裏付けのない、論理が飛躍した解釈では、相手は納得できない。そして、最終的には聞き手が知りたいこと、判断したいことに明快に答えていないと、相手の態度変容や行動を力強く促すことはできない。

このように、「論理の構造を考える」という頭の使い方は、自分1人で判断する場面だけでなく、特に目分の考え・主張を他者に説明する場面で、強く求められる。逆に言えば、人の話を聞いていて「何か納得がいかない」「理解しにくい」と感じるときには、論理の構造に不備がある場合が多い。

そして、論理の構造を考える際にピラミッド・ストラクチャーを用いることには、大きく2つのメリットがある。

(1)本人が、論理の妥当性をチェックしやすくなる
(2)考えを伝えられた人が、相手がどのような論理に基づいてその結論を出したのか、容易に理解できる

つまり、ピラミッド型に論理の構造を可視化しておくことにより、自分も相手も、論理展開に飛躍や見落としやこじつけがないか容易にチェックでき、相手はその結論に反論するにせよ同意するにせよ、スムーズに次のアクションに移ることができるということだ。

皆さんにはぜひ、答えが出しにくい状況の中でも適切な答えを導き、さらには他者を説得して巻き込み、ビジネスの意思決定や具体的行動につなげるためにも、「ピラミッド・ストラクチャーを用いて論理の構造をつくる」というスキルを身につけてほしい(この後の第Ⅲ節で、より具体的に述べていく)。

次回は、『グロービスMBAクリティカル・シンキング改定3版』から「演繹法」を紹介します。

◆グロービス出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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