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ビジネスモデルの新潮流: IT進化がもたらす新しい提供価値と「儲け方」

投稿日:2015/05/16更新日:2019/04/09

このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』からのピックアップ第1回目となるとなる今回は、「アントレプレナーシップ」章から「ビジネスモデルの新潮流」を選びました。ビジネスモデルという言葉は必ずしもIT活用を必要要素として含むものではありませんが(例:従来型の広告モデルなど)、近年、IT、特にインターネットの進化に伴って、リアルの世界では実現し得ないような新しいビジネスの形が生まれています。こうした動きはますます進むことが予想されています。

ビジネスモデルの新潮流

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【POINT】
インターネットの普及を背景に、無料(フリー)で製品・サービスを提供し、それによって有料部分の顧客を創造するモデルや、物理的な陳列スペースの制約から解かれて「非」売れ筋商品をすべてそろえて、販売額の総和で稼ぐモデルが登場している。従来であれば個人がそれぞれに所有していたモノやサービスについて、共有(シェア)することを仲介し、仲介料や賃貸料などを得るモデルも台頭している。

◆フリーミアム

フリーミアムは、無料を意味する「フリー」(free)と割増料金を表す「プレミアム」(premium)を掛け合わせた造語で、普及版を無料にして広く行き渡らせ、その中のわずかな割合の顧客にプレミアムのついた有料版を販売するというモデルである。ネットワーク経済性が効く分野、また限界製造コストや限界流通コストがきわめて小さい分野において、特に有効な仕組みとなる。代表的な例としては、アドビシステムズの文書ソフト〈Acrobat〉がある。一般ユーザーは文書閲覧ソフト〈Acrobat Reader〉を無料でダウンロードできるが、編集機能がついたプロ用の上位版は、文書作成を業務として行う企業・団体などが有料で購入する。

比較的低コストな割に広範囲のユーザーを獲得できるのが特徴で、知名度や社会的影響力を同時に獲得できる点も魅力的だ。

◆ロングテール

主にインターネットを介した通信販売において、ニッチ商品の販売額の合計が、ヒット商品の販売額の合計を上回るように設計するモデルをロングテールと言う。市場に出回る商品の2割(ヒット商品)が、全体の8割の売上げを稼ぎ出すという、20-80の法則に従う既存の店舗販売の収益構造とは対極をなす。

典型的な例は、アマゾンなどネット上の書籍・音楽ソフト小売業である。従来の小売流通網においては、書籍や音楽ソフトは、一定期間である程度の売上げがないと店舗の陳列棚に置けなくなり、それが制約条件となって以降の売上げが立ちにくかった。しかし、ネット上では陳列棚の物理的制約がなくなり、少ない売上機会であっても販売自体を止めなくてすむ。こうした「非」売れ筋商品は、1点当たりの売上げは小さくても、点数が膨大になることから、合計すれば無視できない規模の売上げになりうるのである。

これをビジネスモデルに応用すると、確実なニーズはあるが規模が小さいために既存企業が商品化をためらっていた(あるいは目をつけなかった)ものを、何らかの工夫で採算が取れるようにして市場に出せば、比較的緩い競争の中で堅実に稼げることになる。

◆シェア

従来であれば個人がそれぞれに「所有」するモノやサービスについて、「共有」(シェア)することを仲介し、仲介料や賃貸料などを得るモデルである。典型的な例としては、シェアハウスやカーシェアリングが挙げられる。中古品や余剰品の流通なども、価値があるのに活用されない状態のものを再活用する、希少な資源を1人で占有せずになるべく複数の主体によって有効活用するという視点で見れば、この部類に入ると言えよう。シェアビジネス自体が有望なベンチャーの一形態になりうるだけでなく、従来型ビジネスにとっての潜在的な競合としても、さまざまな分野で存在感を増していくことが見込まれる。

シェアの文化が注目を集める背景としては、これまで所有一辺倒で資源の浪費を重ねてきたことへの反省や、環境保護のために浪費を避けようという機運、市場の成熟化によって所有欲それ自体が購買動機になりにくくなったことなどがあると言われる。また、インターネットやモバイル環境の普及で、情報仲介のコストが劇的に低下したことも大きな要因である。

こうした動きは、ビジネスの世界だけでなく、NPOの活動としても目立っている。各界の著名人の講演をインターネット上で無料配信している〈TED Talks〉や、大学の講義をオンラインで無料で見られるようにする活動などは、この延長線上にあると言えそうだ。

(本項担当執筆者: グロービス出版局 大島一樹)

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次回は、『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』の「アントレプレナーシップ」から「ベンチャーのファイナンスをめぐる最近の動き」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

 

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