任天堂の岩田社長が逝去された。享年55。あまりに早すぎる。DS と Wii の爆発的なヒットにより史上最高益を記録した後、Wii Uの苦境や3期連続の赤字など業績が急降下。スマホアプリでDeNAと資本・業務提供を発表するなど経営再建に向け歩みだしてすぐの訃報。岩田氏はさぞかし無念であったろう。ただ、すでに市場の注目は、岩田氏亡き後の経営を誰がリードするかに移っている。こうした突然の社長退任、社長交代で事業に影響が出ないよう、後継者を事前に育成していくことを、「サクセッション・プラン」と言う。
後継者の計画的育成は、欧米企業では経営の最優先事項の1つとして取り組まれている。その代表格がGEだ。サクセッション・プランとは、自組織のビジョンや戦略を実現するために必要な経営者の資質や能力等の要件を明らかにし、その要件に合致する人材を次の経営者候補として早期に選抜・プールし、実践的経営教育の場(コーポレート・ユニバーシティ:企業内大学)や積極的登用によりチャレンジングな経営課題を付与して育成していくという考え方だ。日本でも2000年以降、企業内大学設立の動きが本格化し、我々も数多くそのお手伝いをさせていただき、そこからトップが輩出されるようになってきている。
では、岩田氏はその準備をされていたのか?真実はわからない。ただ、皮肉にも1年半前のインタビューで岩田氏は次のように語っている。
「私は54歳で、世間の社長の中で年を取った方ではなく、時間が残されている。後継問題が近い将来の問題だとは考えていない。経営者は一朝一夕には見つからないし育てられない。だからこそ、社内の色々な人にどんな素養があり、どのような経験をしてもらえれば将来、マネジメントを担える人材が育つかを考えている。ただ、何年後に誰にバトンを渡すかは何も申し上げることはない」 (2014/1/31日経新聞)
さて、あなたの会社は準備ができていますか?
合掌