G1サミット2024 第10部分科会E
「デカコーンを目指す経営」今野穣×里見治紀×慎泰俊×山田進太郎×キャシー松井
(2024年2月25日開催/沖縄万国津梁館)
米欧の金融引き締めなどで資金調達環境が悪化し、世界では投資家が慎重姿勢を強める中、唯一「冬の時代」ではない日本。いい意味でスタートアップやベンチャーキャピタルが独自の進化を遂げている最中だといえよう。日本からデカコーンが次々に生まれる経済を生み出すには何が必要か。気鋭の経営者たちが議論する。(肩書きは2024年2月25日登壇当時のもの)
02:20 日本には豊富な人材・お金・先端技術があるのに、なぜユニコーン・デカコーン企業は生まれないのか?首相になったら、どのような施策を行なうか?(山田氏、慎氏、里見氏、今野氏)
-デカコーンになるには、グローバルで成功するのが必要。日本では現状、グローバルでやろうとしている会社が少ない。税制や出国税などの税制を取り除いて、とにかく挑戦の数を増やすことが大事なのではないか。 -世界中でユニコーンが3社以上ある国は28か国。そのうち人口比で見ると日本はかなり少ない。グローバルに行くには、変化が起きている最適なタイミングで入ることが重要。日本語だけで情報を摂取するとタイミングが若干ズレる。スタートアップ5か年計画のKPIを社会的インパクトに変更、リード投資家が300億円くらい出す、起業家の誘致をしても良いのでは。
-日本はTAM(Total Addressable Market:対応可能な全体の市場規模)の概念が狭い。海外にチャレンジしない文化がないのが、デカコーン・ユニコーンが生まれない最大の要因。小さい上場をさせないための仕組みや、NISAにVCを入れる仕組みなどが必要ではないか。
-昨年の日本のスタートアップ投資額は1兆円で、USは1兆円。社数は2500社~3000社に対して、USが1万社前半。中国のSHEINは1兆円以上調達している。市場を大きくするためには、海外をどうとるかが1番大事になる。日本の流動性、公共調達の2点について改善してほしい。
14:38 自身の事業を一段成長させるための必要な事、直面しているチャレンジングなこと(山田氏、慎氏、里見氏)
-日本もUSも成長率が落ちているところを改善したい。日本は今1兆円のGMV(流通取引総額)があるが、海外の方がTAMが大きいので、10倍20倍になる可能性がある。そのためアメリカに時間を使っている。
-マイクロファイナンスのTAMは大きいので、ちゃんとやれば大丈夫という感覚はある。ファイナンスをしっかりやっていくこと、地政学的リスク管理、人材採用が必要な事。
-ゲーム業界は15年前まで、市場が先進国しかなかったが、現在途上国が圧倒的に伸びている。コロナのおかげで、英語の情報にアクセスしやすくなった。海外で売れているからといって、「龍が如く」は白人を主人公にするなど媚びる必要はない。英語人材も採用できるようになった。ダイバーシティが当たり前だと思える環境にすることが大事。昨年Angry Birdsを開発した企業を買収する等、海外に挑戦している。
24:33 日本企業が海外企業のM&Aをするときの機会とネック(里見氏、山田氏、慎氏)
-インテグレーションが一番大変。日本で一番うまくやっているのがJT。
-メルカリにとっては課題。経験しないとノウハウが溜まっていかない。
-免許ビジネスなので、イチから作ると時間がかかる。M&Aで重要なのは、入口の価格とPMI。PMIの秘訣は、買収前からやることを決めること。
28:47 投資家サイドとして、投資額を大きくするにあたっての問題点(今野氏)
-グローバル支援力をつけないといけない。日本のスタートアップ、ベンチャーマネジメントが知られていないので、ロールモデルが必要。もう1つは当該マーケットにおける採用支援力も大事。組織開発の面でも、投資側が継続していくことが大事。
31:00 基礎研究が素晴らしいのに、ディープテック系ベンチャーが少ないのではないか(今野氏)
-経営者人材の不足が大きいと思う。
32:44 次世代経営者へのアドバイス(山田氏、慎氏、里見氏、今野氏)
-デカコーンを目指すのなら、Day1からグローバルでやることが大事。テクノロジーの進展が激しい時代になってきて、新卒でも英語が話せる人材もいるし、ノウハウも溜まってきている。
-自己評価を下げることが大事。5年目までは大谷翔平プラス監督のような感じだった。自分が無能であることを理解すると、自分より優秀な人に来てもらえる。
-最初から英語公用語の会社にした方が良いのではないか。 -Born Globalの会社をいかに作れるかが大事。日本代表としてグローバルに向き合う仕掛けが重要。
40:00 質疑応答①
-アジアのキーマンの採用について。どのように採用にしたのか。
-ディープテック系を伸ばすための良い経営者はどこにいて、どうやって探すのか。シーズ側とのマッチング方法とは。
-ガバナンス管理の考え方が日米で異なる中で、どうやってこれを受け入れていく仕組みを作るには?
50:10 質疑応答②
-政策などで人材育成をしようとした際、どのような観点が必要か。