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セルフ・コンパッションは、働き方革命であり、生き方革命だ――『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』

投稿日:2024/08/07更新日:2024/08/07

これからのリーダーに必要なスキル「セルフ・コンパッション」とは

現代のリーダーが置かれている環境は過酷だ。

強烈なプレッシャー、果てしない仕事量、そして孤独感……。近年、その役割は「罰ゲーム」とも揶揄され、心身が疲弊し、自己嫌悪に陥ることも珍しくない。

この厳しい状況を打開するには何が必要だろうか。その切り札として本書が提案するのが「セルフ・コンパッション」というスキルだ。

セルフ・コンパッションとは、大切な友人に接するように、自分自身にも接することを言う。自分自身へのやさしさ、思いやりともされる。

セルフ・コンパッションは甘えか?

ここで自分へのやさしさや思いやりと聞いて、「それは甘えではないか?」と感じる方もおられるだろう。

しかし、セルフ・コンパッションは決して甘えではない。むしろ、これからの時代に必要なスキルであり、リーダーとして真の強さを手に入れるための鍵でもある。例えばこれまでの研究でも、セルフ・コンパッションが高い人は、ストレスを感じた際にも冷静さを保ち、困難を乗り越えやすいことがわかっている。また、幸福感が増し、周囲の人との信頼関係を築きやすいというエビデンスもある。

セルフ・コンパッションを実践すれば、リーダー個人だけでなく、チーム・組織へもメリットがあるのだ。

セルフ・コンパッションを発揮し、チームを成功に導こう

では、実際にセルフ・コンパッションを実践するには、どうすれば良いのだろうか。本書では次の3つのステップが紹介されている。

① マインドフルネス:経験している感情を偏りなく受け入れ、バランスの取れた見方をする

② 共通の人間性:自分だけでなく、人間ならば同じように苦しむことを思い出す

③ 自分へのやさしさ:自分に思いやりと励ましの言葉をかける

例えば、あなたが率いるチームが、目標達成に向けて苦戦しているとしよう。リーダーであるあなたは、日々、焦りと緊張感に包まれている。こうした状況に置かれると、多くのリーダーが「このままではダメだ。自分が何とかしなければ……」というプレッシャーに耐えながら、必死に孤軍奮闘することになる。

この状態が続くと、リーダーはヘトヘトに疲れ切ってしまい、最悪の場合、何も手が付かない状態に陥りかねない。こうした状況こそ、セルフ・コンパッションが効果を発揮する。

リーダーが取り組むべきことは、極めてシンプルだ。まず、自分が現在、つらい状況に置かれていることに気づき(①マインドフルネス)、そのつらい経験をしているのは自分だけでなく、リーダーなら誰しも同じ状況に陥ることを思い起こす(②共通の人間性)。

そして、自分自身に対して優しく、励ましの言葉を掛けるのだ――「よく頑張ってるね」「無理しないでね」と(③自分へのやさしさ)。

これらのステップを実践することで、自然と相手を思いやる余裕が生まれ、円滑な人間関係が築かれ、より良いリーダーシップを発揮することができる。

変化の激しい時代こそ、持続可能なリーダーシップスタイルが強い

朗報なのは、セルフ・コンパッションは「スキル」であり、トレーニングによって誰でも後天的に習得できることだ。

本書ではさまざまな研究結果を踏まえ、セルフ・コンパッションを身につける実践的なエクササイズが多数紹介されている。特に、「仕事前のクイック・ルーティーン」というエクササイズはオススメだ。

内容は、たった5分でできる簡単なものだ。3つの質問のうち、毎朝好きな質問を1つ選び、それに答えるだけ。これだけで、リーダーとしての自覚が高まり、その日の仕事のパフォーマンスも向上することが研究で明らかになっている。具体的な内容はぜひ本書を手に取り、試してみていただきたい。

このように良いこと尽くしのセルフ・コンパッションだが、読後にふと感じた懸念もある。それは、セルフ・コンパッションを最も必要とするリーダーほど、実はセルフ・コンパッションの存在を受け入れがたいのではないかということだ。

長年にわたり、痛みに耐えて頑張ってきたリーダー。そういったリーダーほど、セルフ・コンパッションは「弱さ」や「甘え」だと映り、抵抗感を覚えるかもしれない。もしかすると、これを読む中で同じ印象を持った方もおられるだろう。

その気持ちはわかる。私自身もかつてそうだったからだ。そして著者もセルフ・コンパッションを初めて知ったとき、懐疑的だったと告白している。

だが、変化の激しい今の時代、痛みに耐えて頑張るリーダーシップスタイルはサステナブルではない。だからと言って、今すぐ変わるべきだ、とまでは言わない。人は急には変われないし、急激な変化はリバウンドを引き起こす危険性もある。

ただ、もし今後、そのスタイルに息苦しさを覚えたとき、騙されたと思って本書を手に取って欲しい。それこそ、セルフ・コンパッションの出番だ。

本書が、リーダーとしての働き方革命、生き方革命を起こすきっかけになることを願っている。


すぐれたリーダーほど自分にやさしい
著:若杉忠弘 発行日:2024/8/7 価格:1,760円 発行元:かんき出版

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