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疑似相関とは?データ分析で陥りがちな「見かけだけの関係性」を見抜く方法

投稿日:2025/07/22更新日:2025/08/19タイマーのアイコン 読了時間 5分

疑似相関とは、因果関係がないのに一見相関があるように見える現象です。第3因子による錯覚で誤判断を招きやすく、正しい意思決定のために理解が欠かせません。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

疑似相関とは - データが示す「ニセの関係性」を理解する

疑似相関とは、実際には因果関係がないにも関わらず、見かけ上相関関係があるように見える現象のことです。「spurious correlation」とも呼ばれ、統計分析やデータ解析において注意が必要な概念の一つです。

通常、相関関係は何らかの因果関係があるために観察されることが多いのですが、疑似相関では因果関係が存在しないため、データに惑わされて間違った判断をしてしまう可能性があります。ビジネスの現場では、この疑似相関を見抜けないことで、効果のない施策に投資してしまったり、間違った戦略を立ててしまったりするリスクがあります。

なぜ疑似相関を理解することが重要なのか - 正しい意思決定のために

疑似相関を理解することは、現代のデータドリブンな経営において極めて重要です。なぜなら、データに基づいた意思決定が当たり前になった今、データの読み間違いは企業の命運を左右しかねないからです。

①間違った投資判断を避けるため

疑似相関を因果関係と勘違いしてしまうと、効果のない施策に貴重な経営資源を投入してしまう危険性があります。例えば、ある商品の売上と特定の広告媒体への出稿量に相関があるからといって、その広告を増やしても売上が伸びない可能性があります。実際には、季節要因や市場環境の変化という第3の要因が両方に影響していただけかもしれません。

②データリテラシーの向上につながるため

疑似相関への理解を深めることで、データを見る目が養われます。単純に数字の上下だけでなく、その背景にある真の要因を探る習慣が身につきます。これは、AI時代においてますます重要になるスキルです。データを正しく読み解き、適切な判断を下せる人材は、どの業界でも重宝されるでしょう。

疑似相関の詳しい解説 - 第3因子がもたらす錯覚のメカニズム

疑似相関が生じる主な原因は、第3因子の存在にあります。第3因子とは、観察している2つの事象それぞれに影響を与える共通の要因のことです。同じ1つの因子が異なる2つの事象の原因となっているため、結果的に2つの事象の間に相関関係が生まれ、因果関係があるかのような錯覚を与えてしまうのです。

①コーヒーショップとビジネス書の売上の例

具体的な例を見てみましょう。ある大手書店チェーンが店舗データを分析したところ、ビジネス書の売上が好調な店舗の近くには必ずといっていいほどコーヒーショップがたくさんありました。一方、ビジネス書の売上が振るわない店舗の周辺にはコーヒーショップが少ないという現象が見られました。

この結果だけを見ると、「コーヒーショップがあるからビジネス書が売れる」または「ビジネス書を買う人がコーヒーを飲みたがる」という因果関係があるように思えるかもしれません。しかし、実際には両者の間に直接的な因果関係はほとんどありません。

②真の原因は「オフィス街」という共通要因

この相関関係の真の原因は、「近隣にオフィスが多い」という第3因子にあります。オフィス街では、働くビジネスパーソンが多いため、自然とビジネス書への需要が高まります。同時に、忙しく働く人々のために、コーヒーショップも多く出店されます。つまり、「オフィス街である」という共通の要因が、ビジネス書の売上とコーヒーショップの数の両方を押し上げているのです。

③疑似相関を見抜くポイント

疑似相関を見抜くためには、相関関係を見つけた際に「なぜこの2つに関係があるのか」を論理的に考えることが大切です。直接的な因果関係を説明できない場合は、第3因子の存在を疑ってみましょう。また、時系列データを詳しく分析したり、他の要因をコントロールした実験を行ったりすることで、真の因果関係を確かめることができます。

疑似相関を実務で活かす方法 - ビジネス現場での見極め術

疑似相関の概念を理解したら、実際のビジネスシーンでどのように活用すればよいのでしょうか。データ分析が日常的に行われる現代のビジネス環境では、疑似相関を見抜くスキルは必須といえます。

①マーケティング分析での注意点

マーケティングデータを分析する際は、特に注意が必要です。例えば、SNSのフォロワー数と売上に相関があるからといって、フォロワーを増やすことが直接売上アップにつながるとは限りません。実際には、ブランドの認知度や商品の魅力度という第3因子が、フォロワー数と売上の両方に影響している可能性があります。

このような場合は、フォロワー数を増やす施策よりも、根本的なブランド価値の向上や商品力の強化に取り組む方が効果的かもしれません。データを見る際は、常に「他に考えられる要因はないか」という視点を持つことが重要です。

②HR分野での活用例

人事データの分析でも疑似相関はよく見られます。例えば、残業時間と昇進率に正の相関があるデータを見つけたとします。この場合、「残業をすることで評価が上がる」という結論を急いで出すのは危険です。実際には、やる気やスキルレベルという第3因子が、残業時間と昇進の両方に影響している可能性があります。

正しい分析のためには、同じスキルレベルの社員同士で比較したり、成果の質も含めて多面的に評価したりする必要があります。単純な相関だけでなく、より深い分析を行うことで、真に効果的な人事施策を立案できるでしょう。

疑似相関を理解し、適切に対処することで、データに基づいた正確な意思決定が可能になります。この知識を身につけることで、より精度の高いビジネス判断ができるようになるはずです。

参考ページ

MBA経営辞書「疑似相関」

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