部長というポジションを最初からうまくこなせる人は少ない。多くの人は試行錯誤しながら自分の型を身に着けていくものだ。
一方で、いつまでたっても「課長的な発想」や「課長的な働き方」から脱却できない人もいる。そうした人は実績を残せないばかりではなく、会社や部署にとっても好ましくない影響を与える。
本書では、そうしたことが起こる原因を大きく3つ、細かくは7つに分類している。最初の大きな原因2つ、詳細4つは以下のようなものだ。
● 経営、特に戦略の理解不足
- 戦略的思考、経営的視野の不足
- 部門間のコンフリクトに対応できない
● マネジメント力やリーダーシップの不十分
- リーダーシップの変化に対応できない
- コミュニケーション能力の不足
今回は残りの大きな理由1つである「部長の役割に対する理解不足」とそれに伴うありがちなパターン3つについて解説する。
(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)
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部長の役割に対する理解が不足すると
●マイクロマネジメント型から脱却できない
課長は個々の業務に深く関与し、部下に対して細かい管理を行うことが求められる場合が多い。プレーヤーとして一定の働きを求められることも少なくない。しかし部長はそうではない。課長や係長、メンバーたちが自律的に働けるよう支援することが期待される。
部長が課長時代の働き方から脱却できない場合、部下のスキル向上やモチベーションを阻害し、創造性の発揮を妨げる。さらに細部にこだわりすぎると、本来の職務がおろそかになり、組織の成長機会を制限してしまう。
●時間の使い方が不適切
課長であれば、業務時間の60~70%を課のマネジメントに使い、残りの時間をプレーヤー活動や自己研鑚に充てても十分機能するだろう(参考:リクルートマネジメントソリューションズ調査)。
しかし部長ともなれば、全社的に重要な業務に時間を投じる必要性が高まる。計画策定や部署ビジョンの策定、他部署との調整や交渉、外部リソースの調達、仕組みづくりなどである。これらの業務に40~50%を充て、部下のマネジメントは課長をテコとして40~50%で行うことが望ましい(組織の規模や部下の成熟度により変動する。参考:上記サイト)。
プレーヤーとしての時間は意識的に減らすべきである。営業部長が重要顧客の訪問に同行すること自体はまったく問題ないが、自身がプレーヤーとして目標数値を持ち、その達成に腐心することは好ましくはない。特に、プレーイングマネジャーとして成果を残した課長、なかでも時間の過半をプレーヤー業務に投じて実績を残してきたタイプの課長であったほど、この転換に苦労する。
●重要な意思決定から逃避、あるいは労力の空費
たとえば、あるメーカーの製品開発部長には新製品の開発の決定権が与えられていた。そこには数億円規模の投資やパートナー企業の選定も含まれる。部長は戦略を策定し、経営資源を動員して新製品を市場に投入し、その結果に大きな責任を負う。この意思決定は、企業全体の収益やブランドに直結する。成功すれば、数億円から数十億円規模の利益をもたらす可能性もある。
こうした重要な局面こそ手腕の見せどころであるが、自信を欠いたり、利害関係者にとって不利益となる判断(例:長年お世話になったサプライヤーとの取引を停止するなど)が含まれると、必要以上に気を病み、意思決定を遅らせたり過度に経営陣を頼ろうとしたりする部長もいる。もちろん経営陣による承認は必要だが、最終的な選択肢を起案する責任は、執行責任者である部長にある。それを適切に行えない部長は評価を下げ、重要な意思決定を任される機会が減り、結果としてスキルも伸びないことになる。
『グロービスMBA エグゼクティブ・マネジメント入門』
著:グロービス経営大学院 発行日:2026/2/11 価格:3,410円 発行元:ダイヤモンド社


















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