ファシリテーションが求められる理由
ファシリテーションは、単なる議事進行ではなく人を動かすリーダーシップの一形態です。
議論の場では、参加者がそれぞれの視点や利害を持ち寄ります。しかし、発言が噛み合わず空回りする、結論が曖昧に終わる、といった経験を持つ方も多いでしょう。ファシリテーションは、参加者が「なぜこの議論が必要か」を理解し、主体的に考え、納得して行動に移すための支援を行います。
一方的に考えを押し付けるのではなく、問いかけと対話を重ねて合意を形成し、「腹落ち感」を醸成する。これにより、単なる指示よりも強い当事者意識とモチベーションが生まれます。こうした状態を築けるリーダーは、組織の意思決定力を高め、変化に適応する力を引き出すことができます。
事前準備が議論の質を決める
ファシリテーションは会議の始まりからすでに成否が分かれています。十分な準備=「仕込み」があってこそ、当日の議論を適切に運営できます。
まず重要なのは、議論の「出発点」と「到達点」を明確にすることです。参加者が何を知り、何を合意する必要があるかを具体的に整理します。さらに、参加者がどのような問題意識や立場を持っているのか把握することも欠かせません。
また、論点の整理も準備の柱です。議論では多様な意見が飛び交いますが、それらは「問い」に対する答えです。論点を事前に広げ、絞り込み、深めておくことで、当日の混乱を減らしやすくなります。この論点の地図を頭に描いておくことが、議論を筋道立てて進めるための土台になります。
議論を進める4つのステップ
当日の議論は「発言を引き出す」「理解し共有する」「方向づける」「結論づける」の4つのステップで進みます。
まず、意見を引き出すには参加者の発言意欲を高め、発言しやすいテーマ設定をすることが肝心です。漠然と「何か意見は?」と問いかけるのではなく、論点を具体的に示し、答えやすい問いを投げかけることで、沈黙を防ぎます。
発言が出た後は、その内容を正しく理解し共有することが重要です。発言の背景や目的を汲み取り、他の参加者にも分かる形で言葉にすることで、議論の土台が整います。
次に、意見を方向づけ、必要に応じて論点を広げたり深めたりします。議論の焦点が散漫にならないように、どこを掘り下げるかを明確にすることがポイントです。最後に、決まったこと・決まらなかったことを整理し、次の行動にどうつなげるかを確認して終了します。
対立と感情への向き合い方
議論の場では意見の対立がつきものです。対立は問題ではなく、健全な合意形成の過程です。重要なのは、なぜ対立が起こっているのか原因を見極めることです。
多くの場合、対立は「認識の違い」「解決策の違い」「判断基準の違い」から生まれます。これらを丁寧に共有し、互いの立場を理解し合うことが解消の第一歩です。
また、感情への配慮も欠かせません。緊張感が高まる場面でも、一人ひとりが安心して意見を出せる雰囲気づくりが大切です。ファシリテーターは集団の空気を観察し、必要に応じて感情を言葉にし、緊張をほぐす役割も担います。
まとめ:ファシリテーションはリーダーシップの要
ファシリテーションは、単に会議を仕切る技法ではありません。人の思考や感情を動かし、納得と共感を生む「対話のデザイン」です。
このスキルを身につけることで、組織での合意形成力が高まり、変化の中でチームが一丸となる力を引き出せます。実際に取り組むと、最初はうまくいかないことも多いでしょう。それでも「腹落ち」を生む問いかけと準備を意識して、ぜひ実践を重ねてください。
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