【速報】G1@Clubhouse㊲「みんなの海を守ろう!海洋環境&水産政策のあるべき姿を議論しよう!」鈴木英敬×花岡和佳男×井植美奈子×臼井壯太朗×堀義人

昨日、3月6日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse㊲の内容のポイントをご紹介します。

テーマと出演者

テーマ:「みんなの海を守ろう!海洋環境&水産政策のあるべき姿を議論しよう!」。

出演者:鈴木英敬(三重県知事)、花岡和佳男(シーフードレガシーCEO)、井植美奈子(一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局理事長)、臼井壯太朗(臼福本店 代表取締役社長)、堀義人

発言のポイント

※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。

1) 日本は水産資源をどのように活用すべきか。漁業法改正にはどんな効果や課題があるのか

・日本の海は世界3大漁場の1つ。黒潮と親潮がぶつかりプランクトンが発生し、それを食べる小さい魚、その魚を食べる大きな魚が集まる、世界的にも大変豊かな生態系および漁場を排他的経済水域内に持っている。そんな恵まれた環境を持ちながら、あるいは持っていたからこそなのか、これまで資源管理をしなくても成り立ってきた水産業は今、獲り過ぎて魚が減ってしまい、衰退産業となって久しい。しかし、資源管理を強化して生態系を回復させれば魚も再び増えて、水産業が成長産業となる大きな可能性を秘めている。

・今後、人口が爆発的に増える世界にあって食料を安定的に調達するためにも、地球表面の7割を占める海の役割は大きい。養殖はもちろん、天然の魚の価値は一層高まっていく。豊かな海洋環境を持つ日本が正しく資源管理をして魚を増やすことができれば、そこで世界の未来世代に高品質なたんぱく源を供給できるようになる。昨年12月に施行された改正漁業法は、それを可能にする第1歩。そうした大きなビジョンを皆で共有したい。

・改正漁業法では新しい資源管理の推進に関するロードマップが盛り込まれている。要素は大きく分けて2つ。1つは、海にどれだけの魚がいて、どこまで獲っていいのかという水産資源の調査・評価を充実させること。もう1つは、その評価を使って適切に資源管理を行うことだ。それを今までは経験や勘に頼っていたが、サイエンスとデータを元にした管理にしていこう、と。

・漁業法の改正は70年ぶりとなる。70年前は魚をたくさん獲って日本人のお腹を豊かなたんぱく質で満たすことが目的となっていて、持続可能性については考えられていなかった。それが今回の改正では「持続的な水産資源の活用」が目的として記されている。大きな改革だと思うし、きちんと機能すれば持続性も担保されたシステムができると考えている。

・改正漁業法のロードマップには「電子的な漁獲情報の報告体制をつくる」ということも書かれている。それによってデジタルでトレーサビリティも行えるし、そのデータが中央に集まれば資源管理にも使える。まだ大枠しか描かれていないが、その方向は決まっているので、今後は実現のスピードをさらに早めたい。

・改正漁業法に関して言うと、正直、少しゆるくなった部分もある。我々は以前から国際法に則って魚を獲っていたし、デジタル化も進めていた。いつ、どこで、何キロ魚を獲ったか、毎日水産庁に報告していたし、そのなかでマグロ1匹ごとに通し番号入りのタグを装着して監視もしていた。毎日報告しなければ報告・義務違反になり、違反によっては禁固刑となる可能性すらあった。ところが今回の改正漁業法では罰則やライセンス剥奪の基準もゆるくなった面がある。

・今後は規制の緩和と強化の両面が必要なのだと思う。たとえば、船舶職員法等、水産庁管轄以外の厳しい規制は緩和していく必要がある一方、規制を強化すべき部分もある。IUU(Illegal, Unreported and Unregulated)、つまり違法・無報告・無規制な漁業に由来する魚が入ってこないよう輸入規制を設けたり、それを流通させた人々には罰則を与えたり。そういうことも並行して進めないと、デタラメにやっている人が儲かって、真面目にやっている人が損をするようになってしまう気がする。

2) 海洋環境を良くするために日本がとるべき政策は何か

・水産資源の評価は消費者に見える形で進めることが重要だ。たとえば、セイラーズフォーザシーが策定する「ブルーシーフードガイド」というレーティングプログラムがある。資源の量や生態系への影響、あるいはその管理体制から水産資源の持続可能性を評価するというものだ。

・三重県は「ブルーシーフードガイド」の三重県版をつくった。こちらにはサワラやカツオや伊勢海老等、11種の資源が載っている。三重はもともと漁獲高でも全国5~6位の水産県だが、今後は「たくさん獲ればいい」といった状態から脱却しなければ、いずれ資源の枯渇で漁師の方々も食い扶持を失ってしまう。水産で成り立つ地域を維持するという観点でも、持続可能性は大変重要な課題だと言える。

・志摩市の和具という漁港は20年ほど前から持続可能な水産業に取り組んでいる。たとえば「プール制」。競い合って魚を獲るのでなく、皆で獲ったものを最終的には山分けするというものだ。漁で使う網についても三重県の漁業規則で決められた網目をさらに大きくして、小さな海老は獲らないようにしている。三重は伊勢海老の禁漁期間が日本一長いが、それでも和具のような取り組みによって伊勢海老の漁獲量は日本一となっている。資源管理が、結果的には漁師や水産、ひいては地域の維持につながっている。そうした現場の実践を政策にうまくつなげることが大事だと思う。

・消費者の意識も変わらなければいけない。そのために、小売も行政もサステナブルな調達コードで持続可能な消費を促す必要がある。たとえば、今年は第9回目のPALM(Pacific Islands Leaders Meeting、太平洋・島サミット)が志摩市で開催される。太平洋島嶼国の首脳が日本に集まるこの国際会議では知事主催の昼食会も予定されているが、そこで振る舞う水産物は調達コードに従ったものになる。

・たとえば漁獲証明等の情報が付くようになったとしても、そこに消費者が付加価値を見出さなければ意味がない。そこは小売等のビジネス側でもできることは多いと思う。最近はサステナブルシーフードに関心を持って消費者に情報発信するような動きも増えてきた。大手小売でも、調達方針のなかで「何年までに何%をサステナブルに」といった約束事を掲げるような企業が増えている。

・一方で、日本市場は「サステナブル」より「リーズナブル」に寄ってしまっている面もある。気仙沼市で遠洋延縄業を営む臼福本店は、太平洋クロマグロの漁業に関して世界で初めてMSC(Marine Stewardship Council)という、天然漁業の持続可能性について世界で最も厳格な審査を行う組織の認証を得た。ただ、それ以降、臼福本店のマグロを使いたいというホテルさんやレストランさんは増えたが、量販店さんからはまだまだオファーが来ていない状態だ。

・そもそも海外の価格と比べると、日本にはこれほど高品質な食べ物があるのに、食べ物に付けられる価格が低過ぎるように思う。それを高めていくような活動も、生産者はしっかりやっていくべきではないか。

・コストを下げる意識ばかりが強くなると、そこにIUU漁業の魚が入ってきたりする。日本はEUとUSに次ぐ世界第3位の水産物輸入市場。しかし、EUとUSはサステナブルでない水産物を輸入しない法律がもともとあった一方、日本は今回の改正漁業法施行まで、世界で最もIUU漁業の水産物が入りやすい市場と言っても過言ではなかった。今後は量や価格だけでなくエシカルな視点をもっと持たなければいけない。

・魚だけが残って国内から生産者がいなくなってしまっては本末転倒だ。魚とともに何百年も生きてきた全国の漁業者を、さらには漁業を支えてきた鉄工場さんや造船所さんを、国としてしっかり支えていく必要があるのだと思う。

3) 水産業の持続可能性を高めるために国民が意識すべきこと

・マーケットの動きが大切になると思う。東南アジアにはサステナブルな漁業や養殖業が多い。輸出先のEUやUSがサステナビリティを求めるからだ。日本も同じように、マーケットをサステナブルにしていくことで、サプライチェーンひいては社会全体に大きなインパクトを与えられると思う。幸い、今は大手の小売や水産会社でもESGやSDGsの意識がだいぶ高まってきたと感じるので、今後はそういう部分もサポートしていきたい。

・たとえば輸入規制を行うとしても、相手側が協力してくれないとサステナブルなシステムは成立しない。その点、生産側には生産側の事情もあるので、相手側政府への働きかけを含めて、生産者側のボトルネックをともに解消していく必要がある。そこで日本側も行政やマーケットの力が大切になるのだと思う。

・教育現場において、給食等を通して啓蒙していくことも重要だ。たとえば今回のコロナ禍で、地元食材を学校給食で使うための予算というものがあった。今後はそこで、たとえばMSCの認証を得た魚を優先的に入れるといった施策を進めるような仕組みづくりも考えたい。

・特にG1メンバーには自治体の首長も多いので、持続的な水産資源を給食に加えるような動きを同時多発的に起こせる可能性がある。産業の部分では都道府県側でやることが多く、教育や給食の部分では市町村でやることが多い。G1メンバーにはその両方が入っているので、高島(宗一郎氏:福岡市長)さんらと相談して進めていけたらと思う。

 

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