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【速報】G1@Clubhouse㉟「立川志の春師匠との対話:イェール・物産から真打になるまで」立川志の春×堀義人

投稿日:2021/03/05更新日:2021/03/26

昨日、3月4日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse㉟の内容のポイントをご紹介します。

テーマと出演者

テーマ:「立川志の春師匠との対話:イェール・物産から真打になるまで」。

出演者:立川志の春(落語家)、堀義人

発言のポイント

※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。

1)落語家としてのキャリアで大変だったこと

 帰国子女で渋谷教育学園幕張中学・高等学校、イェール大学を卒業し三井物産に就職。巣鴨でデート中に立川志の輔の落語をたまたま見る。圧倒的に絵が浮かんでくる落語に衝撃を受け、「やらないといけない」と思い、弟子入り。最初は「趣味で楽しめ」と断られるが、両親を説得し、三井物産を退社したところ、受け入れられた。

弟子入りした後は「見習い」として、年収10万円の生活を送る。見習いを経たあとは、「前座」になり、高座にあがれるようになるが、収入は月に数千円だった。

弟子生活の大変さは、自分の時間がゼロであること。師匠の付き人兼運転手として常に行動をともにし、師匠に呼ばれたら15分以内で駆けつける。携帯が常につながるように地下鉄には乗らず、銭湯でもジップロックに入れて肌身離さず持っていた。

家は、恵比寿の家賃2万7000円。築70~80年、ねずみが屋根裏を走り回る風呂ナシだった。金曜日は、恵比寿の華やかな生活を横目に辛くなることも。弟子を辞める人が多かったが、会社員時代にあこがれた世界にいるという思いで続けることができた。

1年3カ月の見習い期間で師匠に一席だけ稽古をつけてもらえる。覚えたものを師匠に見てもらうが、半年くらい「ダメだ」といわれ続ける。何がダメかは教えてもらえない。間を変えたり、リズムを変えたり工夫をして、「これだ!」というものを持っていくが、そのたびに弾かれる。

もし「間を注意しろ」と言われたら、それ以外の工夫をする機会が失われる。そのため「てめぇでたどりついてこい」という時間がかかる教え方をする。

立川流には「俺を快適にしろ」という教えがある。もともとは立川談志が「俺一人を快適にできずに、お客さんを快適にできるか」といったのが始まり。落語はアートとサービスの間にある。アートは一生かけて修業するものだが、サービスはお客さんに合わせること。それが、師匠を快適にすることにつながる。

徒弟制度の教え方は3つ。①教えない②褒めない③個性を認めない。この教え方が私には合っていた。「才能がない」といわれると「いつか認めさせたい」というエネルギーになった。

この教え方で一番ストレスを感じるのは師匠。教えたら簡単なところを言わずに我慢し、考える機会をくれ、できるまで待っていてくれたことに今となっては感謝している。

ただ、教えずに頭ごなしに否定して自分で探せという教え方についてくる人は、今は少ない。だから、8割くらいまでは教えるようになっている。そうすると、落語家として残る人のタイプは変わってくるかもしれない。

前座から9年たって、「二つ目」に昇進。9年は長かった。のちに『自分を壊す勇気』という本を出版したが、自分を壊すのに時間がかかった。徹底的に師匠を快適にしろという教えに、自分の価値観は不要。自分のことをいったん置いて、全身全霊で師匠のことを考えなければいけないが、自分の考えが顔を出してしまう。自分を壊すことで、師匠の視点を取り入れ、幅が広がる。

2011年に二つ目になると、付き人から解放され、落語家として活動ができるようになる。二つ目になって1年くらいで初めての落語を巣鴨のデートで一緒に見た女性と結婚。女性は待っていたわけではなく、自分の人生を生きているなかでたまたま捨てずに結婚した、とのこと。

落語家としての活動がスタートするときに、シンガポールから声がかかり、英語落語をする。その時に非常に受けた。そこから英語落語をやっていくことに。

日本語の落語と英語の落語の違いは、例えば日本語では男女のしゃべりの違いを表す語尾や、「わたし」「俺」「僕」などがあるが、英語にはない。そのため声での表現が少しオーバーになる。また、日本語っぽいリズムで英語をしゃべるようにしている。

2020年4月に「真打」に昇進。二つ目の時は、立川談志師匠の面接を受けたが、真打昇進の最終判断は、志の輔師匠が会を見て行う。コロナ禍でお披露目パーティはできなかった。

2)コロナ禍で工夫していること

2020年3月頃から全く落語ができない状態が続いた。落語は、そもそも笑い声などのリアクションを通じて、お客さんと会話をしながら進めるもの。それができないオンラインには反対だったが、寄席ができないままだと忘れられてしまう。そこで早い落語家だと3月くらいからオンライン落語を始めた。

私の初めてのオンライン落語は、6月。真打昇進後初めての会でもあり、2時間2000円でアメリカ、オーストラリア、フィンランドなど世界中から約400名が参加してくれた。ただ、カメラに向かって反応がない中でやるのはものすごいストレス。滑ったときも、滑ったとわからず、悶々とした。双方向性をもたせるため、会のあとにチャットでメッセージをもらい、やりとりをするアフタートークを行うなど工夫するようになった。今までにオンライン落語は40~50回やっている。

海外の大学などから声がかかり、オンライン英語落語をすることが増えた。コロナ禍で日本との文化交流イベントがなくなってしまい、シンプルに一人でできる英語落語のニーズが上がったようだ。

3)今後の夢

海外への落語の発信は、ジャパニーズコメディ以外であるのか?グローバルでは、スタンダップコメディが主流。スタンダップコメディは、メッセージ色が強く、激しく社会を斬るようなもの。それがコメディだというのが海外の認識。落語も江戸時代の大衆の中からでてきて、批判精神はあるが、メッセージとしては、「人間って、愚かでだらしないよね。でも、そこが可愛いよね」というもの。これは人種や年齢を選ばない。そういう世界に類のないコメディとして進出していけるのではないか。いつかスタンダップコメディをやってみたいとは思う。

スタンダップコメディの世界最高峰である、南アフリカ出身のトレバー・ノアが使っているテクニックは実は落語的。ナレーションを排して、会話だけで続ける場面が必ずある。会話だけでお客さんに絵が浮かぶように伝えることができる。そういう人がいることが嬉しい。いつかトレバー・ノアに会うことができたら落語を知っているか聞いてみたい。

具体的な夢はあまりなく、その瞬間その瞬間でつくってきたものが、想像もしない次につながることが多かった。本当の真打になるのは、私の紹介から、イェールや三井物産ということがなくなってからかもしれない。

 

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