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【速報】G1@Clubhouse㉖「障害者から見るコロナ禍」乙武洋匡×織田友理子×毛利公一×堀義人

投稿日:2021/02/25更新日:2021/03/26

昨日、2月23日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse㉖の内容のポイントをご紹介します。

テーマと出演者

テーマ:「障害者から見るコロナ禍」。

出演者:乙武洋匡(作家)、織田友理子(WheeLog)、毛利公一(社会福祉法人ラーフ)、堀義人

発言のポイント

※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。

1) この1年間、どのように過ごし、どのようにコロナ禍を見ていたか

・2020年3月頃からは月に1度外に出るか出ないかという引きこもった状態だった。肺活量が1Lぐらいしかなく、肺炎を起こしてしまうとすぐ呼吸器が必要になるし、やはり感染には恐怖があった。

・一方で、コロナ禍は自分を見直すきっかけにもなった。この状況で今の自分に何ができるのか、自分にどんな価値があるのかと考えた結果、「この体だからこそ分かる悩みや実現できる支援があるのでは?」と。そこで、かねてから挑戦したいと思っていたものづくり、そして福祉事業をスタートさせる人たちを支援するコンサル事業を構想し、4月の緊急事態宣言下の真っ只中に会社を立ち上げた。

・コロナ禍に伴ってリモートワークが市民権を得たことは大きい。どこでも学べたり、いろいろな人とコミュニケーションできたり、在宅ながらも有意義な活動ができて見聞を広げる良い機会になった。ポジティブな1年だったと思う。

・ヘルパーさんにサポートをお願いするのは1日5~6時間ほど。私は再び立って歩くことを目指してリハビリもしている。そのリハビリのお手伝いをしてもらったり、トイレの移動や入浴前後の着替えを介助していただいたり。ただ、私の場合は両親と同居しており妻もいるため、生活面でサポートしていただく時間は比較的短いと思う。

・排泄や入浴のサポートは濃厚接触の極み。我々の多くはそれを他者にお願いしないといけない。そこで、もともと自分は常に恥ずかしさを持とうと意識していた。それを無くすと、なにかこう、人間から離れてしまうような感じがするので。排泄時や入浴時は普段から恥ずかしさを感じていたし、その点はコロナ前と変わらない。一方で、コロナのおかげで夏もマスク着用が当たり前になったこともあって、互いに安心感は一定以上確保できたとも感じている。

・私たちはリアルなミーティングのための移動や準備に時間がかかる。だから「これ、Skypeでできたら便利なのにな」と思いつつ、コロナ前はそうした働き方が一般的でなかったこともあって、なかなかお願いできなかった。でも、コロナ以降はそれがお願いできるようになった。障害者または移動困難者として、それこそ20年前から使っていたオンラインツールの活用が今は進み、仕事がしやすくなった面はある。

・私も以前からOT(作業療法士)さんに入っていただいてリハビリを受けているが、緊急自体宣言下はリハビリも休んだほうがいいのかなと、遠慮していた部分はある。4~7月頃は本当に1歩も外へ出ないでいようと思っていたほどで、外出しなければいけないときは、ものすごく気を遣っていた。

・私の場合、基本的には夫に介助してもらっている。だから、「今の状態で、もし夫または自分がコロナになったら一体どうやって生きていけばいいのか」と。8月には肺炎で入院していた時期もあり、本当に恐ろしかった。今は、特に重度障害者にとって綱渡りの状態だと思う。逆に言うと、今こうして生きていること、あるいは仕事を回していけること自体が奇跡的だと、改めて周囲や社会に感謝の気持ちが湧いたという部分はある。

2) ステイホームが長引くなか、メンタルはどのような状態だったか

・むしろモチベーションを高く保つことができていた。冒頭でお話しした通り、会社を立ち上げ、コロナ禍で自分がやるべきことをはじめた感覚があったためだ。それで、たとえば呼吸の弱さを抱えていた自分は、障害を持つ人々の呼吸や睡眠に関する研究をはじめた。そのなかで呼吸状態の見える化を目指したりして、自分の苦手をビジネス化するような取り組みをしている。

・4月頃からオンラインイベント等でかなり忙しくしていた。忙しいと不安も忘れられる。むしろ考えてしまいそうになったら予定を詰めたりしていた。ただ、もともと事業ではバリアフリーマップをつくるために街中を歩いてバリアフリー調査をしたりしていたので、その辺については自分の内側でせめぎあいがあった。「今バリアフリーを求めるのはわがままなのか」「障害者を支援する取り組みは今ストップするべきなのか」と。

・人は生きているかぎり必ずどこかで体の不調や足腰の弱さにさいなまれるし、そうした状況に対応できるようバリアフリーな街や社会をつくることは重要だと考えている。しかし、コロナ対応で医療従事者の方々も大変な状況にあるなか、コロナ前のような活動を今進めるのはエゴになってしまわないかという迷いは常にあって、答えを探し続けていた1年でもある。

・人によって答えは違っていいと思う。「バリアフリーは必要じゃない」と思っている方にとっては不要不急。でも、我々車椅子ユーザーは、コロナがなかったとしても、社会のなかにバリアがある以上は他の方と同じように出歩くこともできない。それを取り除いてQOLを高めることは我々にとって不要不急ではない。少なくとも我々当事者はどんどん進めていくべきだと思う。

・世の中には意地悪な人もいて、「あなたたちは誰かに手伝ってもらわないと活動できないのだから、手伝う人の立場を考えて今は家にいなさい」と言う人はいる。ただ、そうした意見に対しては、「手をお借りしなくても生活できる社会にしたいからこそ、我々にとってバリアフリー化は不要不急ではないのです」とお伝えすればいいと思う。

・誰もがコロナでストレスを溜めているなか、「私たち、こんなことに困っています」と声を挙げるのがなかなか難しい時期だったことは確かだ。「障害年金をもらっているお前たちが『苦しい』と言うな」なんていう声もあって、それに対して自身が正しいと考えていることをお伝えするにしても、慎重に言葉を選ぶ必要性を感じていた。

・私たちにとってはコロナ前から大変だったことが、今は誰にとっても大変になっている面はある。たとえば今はハンコの廃止が進んでいるけれど、重度障害者にとっては以前からハンコもサインも大変だったので。その意味では“共通言語”というか、皆さんに理解していただける場面が増えたように思う。その辺はなるべくポジティブに捉えようと思っている。

・私は現在の病気を患っていると診断さたときも、「障害者だから社会で活躍できない」「社会から分断されてしまう」といったイメージが沸かなかった。病気になる前に、たまたま乙武さんの著書を読んでいたことがあり、それで感銘を受けていたからというのもある。

3) 今、マジョリティに伝えたいこと

正直に言うと、この1年、悔しかった。なぜか。この1年は、誰もが以前のような生活を送ることができず、大変な不便やストレスで苦しんでいたと思う。学校に行けなかったり、電車通勤できなくなったり、友だちとご飯を食べに行けなかったり、好きなバンドのライブに行けなかったり。

でも、それらはすべて、障害者を含めたマイノリティがコロナ前から直面していたことだ。病気で長期入院していたり不登校だったりした子どもたちは、コロナ前から学校に行けなかった。我々のような車椅子ユーザーは、コロナ前から満員電車に乗れなかった。友だちとご飯を食べに行きたくても車椅子で入れる飲食店はごくごく一部。ライブハウスも大抵は地下にあってエレベーターもないから、コロナ前から行けていない。

だからこそ、「僕らにとってバリアフリーは切実な問題なのです。僕らにも道を拓いてください」と、コロナ前からずーっとお願いしてきたけれど、なかなか変わらなかった。

ところが、マジョリティが同じ困難の当事者になった瞬間、これほどまでに社会が変わる。「登校できない子のためにオンライン教育は不可欠です」「リモートワークを実現しましょう」「飲食店はテイクアウトやデリバリーに対応しましょう」「ライブはオンライン配信もやりましょう」。

「嘘でしょ!? 僕らはそれをずっと前からお伝えしていたじゃないですか」と。もちろん状況が変わったこと自体は嬉しい。でも、嬉しいけれど、悔しい。マイノリティがいくら声を挙げても変わらなかったから。膝があったら膝から崩れ落ちてる。

いずれはワクチンが普及してコロナも収束し、マジョリティの皆さまは元の生活やシステムを取り戻せると思う。ただ、そうなっても元に戻れない人たちがいることは、どうか覚えておいて欲しい。オンライン教育、リモートワーク、テイクアウト&デリバリー、ライブ配信等々を、コロナ禍でなくとも切実に必要とし続ける人々がいることを、忘れないでいただけたら嬉しいというのが、コロナ禍を通じた私からのお願いになる。

G1@Clubhouse㉖「障害者から見るコロナ禍」

ディスカッションに参加してくださった皆様

今後の予定

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