ユニコーン100社を輩出するためのアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」とは?

本記事は、G-STARTUPローンチセミナー「ユニコーンを100社輩出する生態系をつくる~アクセラレーションプログラムの役割とは~」の内容を書き起こしたものです。(全3回 前編)

ハーバードの中庭で考えた「ヒト」「カネ」「チエ」の3つの円

堀義人氏(以下、敬称略):G-STARTUPのローンチイベントへお越しいただき、ありがとうございます。G-STARTUPが生まれた経緯を簡単にお話しします。1990年、当時ハーバードに留学していた僕は、Baker Libraryという図書館の前に広がる芝生でチャールズ川を眺めながらぼんやりと考えたことがあります。

製造業が強かったそれまでの日本は、バブル経済を経験し、その後はバブル崩壊まで経験していくことになります。「でも、これからスタートアップだ。ベンチャーを興そう」と思った僕は3つの円を描きました。「ヒト」「カネ」「チエ」の生態系をつくり、創造と変革を行おうと考たわけですね。では、その3つを何によって生み出し、育てていくか。「ヒト」はビジネスクール、「カネ」はベンチャーキャピタル(以下、VC)、そして「チエ」は出版やGLOBIS知見録のような知を発信するメディアです。この3つの円を描こうと考えたのがグロービスのはじまりです。

その後、三軒茶屋のアパートを事務所にしつつ、道玄坂の貸教室で80万円の資本金とともにグロービスを立ち上げました。以来、ヒトの面ではグロービス経営大学院が東京・大阪・名古屋・仙台・福岡・オンラインで学校を持つ日本No.1の経営大学院になりました。そこから「G-CHALLENGE(GLOBIS Venture Challenge)」や「G-GROWTH(GLOBIS Alumni Growth Investment)」といった経営大学院向けの起業家支援プログラムとともに、なんとかヒト・カネ・チエの生態系をつくろうとしてきました。

また、カネの面では1996年に5億円のファンドをつくって以来、直近では360億円のファンドを組成したVCで、グリー、メルカリ、スマートニュース、READYFOR、そして今回アワードを獲得したユーザベース等々、さまざまな会社に投資を行い、産業を創出してきたつもりです。チエの面では書籍『グロービスMBA』シリーズ等も累計300万部発行してきました。ただ、足りないものもありました。大学院から一生懸命に起業するんですが、なかなかすぐには成長軌道にのらない。一方、VCで投資を行うのはアーリーステージからで、成長軌道に乗りきっていないシードステージにはなかなか投資ができない、と。起業からアーリーステージの間にあるシードステージがミッシングリンクになっていました。そこをグロービスとしてやっていこうというのが「G-STARTUP」です。

グロービスのすべてのインフラを提供し「ユニコーン100社」作る

そこで考えたことは3つ。1つ目は、グロービスがやるからにはノンエクスクルーシブで皆さんに儲けてもらいます。エンジェル、ファカルティ、メンター、さらには他のアクセラレーターの皆さんとともにやっていきます。他のアクセラに入った方がG-STARTUPに参加しても、G-STARTUPに入った方が他のプログラムに参加しても結構です。とにかく共同で、生態系全体で考える。そして、皆さんが儲かった結果として最後にグロービスが儲かればいいという感覚でやっていこうというのが1つ目になります。

2つ目は、グロービスが持つすべてのインフラを提供すること。グロービスには、ヒトの面では大学院、カネの面ではVC、そしてチエの面でもさまざまなノウハウがあります。また、G1等のネットワークもあれば、千数百社におよぶ大企業クライアントと連携してオープンイノベーションを目指すこともできます。そんな風に、グロービスが持つインフラを惜しみなく提供するというのが2つ目になります。

そして3つ目は、やるならば大きく考えるということ。「ユニコーンを100社つくっていこう」と。国にはJ-Startupというプログラムがあります。JapanのJということですよね。G-STARTUPのGは、GLOBISであるとともにGlobalのGでもあり、世界に翔び立つユニコーンを100社つくっていこうと考えています。

そんな風にしてG-STARTUPを成功させたいと思っています。続いては髙原からG-STARTUPの概要をご説明します。ぜひ皆さんとともに、日本におけるヒト・モノ・カネの生態系を強固にしてユニコーンを100社つくりたい。皆さんには日本からイノベーションを次々生み出す基盤として、G-STARTUPを活用していただけたらと思います(会場拍手)。

グロービスが持つ「5つの基盤」を活かして「4つの価値」を提供

髙原康次氏(以下、敬称略):G-STARTUPはユニコーン100社を輩出するためのプラットフォームであり、皆さんと一緒に進めていくアクセラレーションプログラムです。ビジョン実現に向け、先ほど堀が申し上げた5つのインフラを惜しみなく提供させていただくとともに、起業家の皆さんには4つの価値を提供していきます。また、オープンに、グロービスの利益は最後でいいという気持ちでやっていきたいと考えています。

まず、「ヒト」「カネ」「チエ」「ネットワーク」そして「大企業連携」という、私どもが持つ5つの基盤についてご説明します。ヒトは、グロービス経営大学院です。開校以来、累計卒業生は4500名超。今年の入学社数は900名以上で、毎年成長しています。大学院には「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ」という、起業家を輩出するための学生向け公認クラブ活動もあって、現在こちらには2500名の登録者がいます。また、先ほど堀が申し上げた「グロービス・ベンチャー・チャレンジ(G-CHALLENGE)」では、経営大学院の在校生・卒業生によるビジネスプランを行っています。そこで大賞を獲得した方々に500~1000万円のシード投資をさせていただき、実際の起業に踏み出していただくというプログラムです。

続いてカネというのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)による、累計投資社数150社、累計投資額1,000億円のVC投資です。2019年4月には360億円のファンドを設立しました。こちらはユニコーンのステージにも対応するということで1社あたり50億円までの投資が可能となっています。投資先支援機能をどんどん拡充しながら、新たなVCモデルおよび産業の創出という役割を担っているのがGCPです。現在、投資先でIPOを行った企業は30社を超えました。また、GCPで協働した方々にファカルティや応援団、メンターとして、G-STARTUPに協力いただいています。

3つ目のチエというのは、まずは累計160万部超の『グロービスMBA』シリーズをはじめとした書籍出版。出版全体の累計販売数計300万部に達しました。また、2,500本以上の動画と4,000本以上の記事を配信する『GLOBIS知見録』のほか、スマホで学習できる登録累計ID数10万のサービス『グロービス学び放題』もあります。テクノべートということで、テクノロジーを活用して教育サービスの提供をさせていただいています。

4つ目のネットワークはG1。政治、経済、ビジネス、科学技術、文化等々、各分野の第一人者とつながるネットワークです。このなかには「G1ベンチャー」というイベントもあり、こちらでは起業家をはじめベンチャー経営に関わる学者や政治家の方々とともに、イノベーションを生み出す強いベンチャー企業を育む生態系の構築を目指しています。

そして最後が大企業連携です。さまざまな形で大企業様の幹部育成を支援させていただいています。最近は「グロービス・テクノベート・ラボ」というプログラムも立ち上げました。これは大企業とベンチャー企業のマッチングによる新規事業の共創支援等を行うアクセラレーションです。他にもさまざまなプログラムを通し、起業家の皆さまに大企業との連携機会を提供させていただいています。

これら5つの基盤を活かし、G-STARTUPは起業家の皆さまに4つの価値を提供したいと考えています。1つ目は「社会に創造と変革を起こす」という高い志を持った方々が集まる「場」。2つ目はユニコーンを生み出す異能のネットワーク。3つ目はスタートアップを生み出す知恵の獲得。そして最後はVCやエンジェルとの出会いですね。

「G-STARTUP」の選考プロセス・募集条件について

スケジュールは、5月下旬に応募を開始したのち、8月までに選考を行います。その後は3ヶ月間のプログラムを回しながら、ファカルティによる講義やメンターによる伴走を経て、Demo Dayで発表を行っていただく流れとなります。そして、その後は投資を受けてさらに成長していただきたいと考えています。また、そのあいだにグロービスから投資をさせていただくこともあります。

選考プロセスでは、第1期生として10~20組の起業家を採択予定としています。7月11日応募締め切りで、書類選考を経て7月下旬に結果をご連絡のうえ、7月終わりから8月下旬にかけて面接を行い、8月10日頃に採択のご案内を予定しています。そのあとがマッチングイベント。メンターと出会っていただき、「このメンターとともに走り抜くんだ」と。そのうえで3ヶ月間のプログラムに入っていただきます。

採択後の支援プロセスはというと、まずはメンタリング。シード期に長けたベンチャーキャピタリストらが伴走を行います。そして9月には成長・成功を経験した起業家にファカルティとして講義をしていただきます。そうして11月27日、投資家および大企業で新規事業連携をなさる方々もお呼びしたうえで、皆さまにご発表いただくDemo Dayとなります。

期間中はグロービス東京校アネックスの教室をワークプレイスとして、平日月曜から木曜の10~17時に開放致します。このほか、起業家からの希望によって採択時に投資をさせていただくこともあります。また、「AWS Activate」、そしてセールスフォースさんの新プログラム「Herokuスタートアッププログラム」にスポンサーとなっていただき、前者では最大10万ドル、後者では最大5万ドルを1年間使っていただけるという特典も準備しています。

一方、資金調達の機会は2つ準備しています。まずは採択時。G-STARTUPファンドとしてグロービスで5億円の資金を準備しており、そのなかから皆さまに投資をさせていただくことがあります。こちらは起業家の皆さまとの合意のうえで500万円が提供されます。で、もう1つがDemo Dayですね。まずはGCPや他の投資家の皆さまとマッチングをさせていただきます。その後、Demo Dayから半年以内に投資が決定した場合は、G-STARTUPファンドから同条件で、具体的には出資総額の半額もしくは5,000万円を上限としてマッチングで投資を検討させていただきます。他の投資家の方々が投資をなさらない場合は、G-STARTUPファンドから単独出資も検討させていただきます。

続いて、ファカルティのご紹介をさせてください。

株式会社ユーザベース 代表取締役社長(共同経営者) 梅田 優祐 様
ヤフー株式会社 常務執行役員 小澤 隆生 様
株式会社メルカリ 取締役社長 兼 COO 小泉 文明 様
株式会社アカツキ 共同創業者 代表取締役CEO 塩田 元規 様
スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO 鈴木 健 様
グリー株式会社 代表取締役会長 兼 社長 田中 良和 様
株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻 庸介 様
ラクスル株式会社 代表取締役社長 CEO 松本 恭攝 様
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 南 壮一郎 様
株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO 吉松 徹郎 様
こちらにG-STARTUP共同代表の堀と今野も加わります。

メンターもご紹介します。

株式会社UB Ventures 代表取締役社長 マネージングパートナー 岩澤 脩 様
East Ventures パートナー 金子 剛士 様
株式会社KVP 代表取締役社長/パートナー 長野 泰和 様
W ventures株式会社 代表パートナー 東 明宏 様
株式会社セールスフォース・ドットコム セールスフォース・ベンチャーズ プリンシパル 湊 雅之 様

以上5名様以外にもメンターの方々は今後増えていきます。加えて、GCPから以下6名、ベンチャーサポートチームから私含む以下2名も入らせていただくことになっています。

グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 福島 智史
グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 湯浅 エムレ 秀和
グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 渡邉 佑規
グロービス・キャピタル・パートナーズ シニア・アソシエイト 野本 遼平
グロービス・キャピタル・パートナーズ シニア・アソシエイト 南 良平
グロービス・キャピタル・パートナーズ アソシエイト 山本 絢子
グロービス代表室/G-STARTUP 事務局長 髙原 康次
グロービス経営大学院 教員 山中 礼二

募集条件はというと、まずユニコーンを目指し、社会の創造と変革を起こす志があること。また、テクノロジーを活用した事業を行っているほか、市場性を検証できるプロダクト・サービス、またはそのプロトタイプを有すること。エンジニアを含むチームを有している必要もあります。このほか、ファイナンスについてはシリーズAに到達していないシードステージの企業様が対象となり、こちらは株式調達で累積1億円未満が目安ですね。別途事務局が提示する参加規約に同意していただく等の条件もあります。

お申込み時に必要な資料はというと、代表者の方は「G-STARTUPプログラムへの参加を通じて何を成し遂げたいか」が必須となるほか、任意で「起業の動機」と「これまでの人生で特筆すべき成果や成功体験」を提出していただきます。また、プロトタイプをしっかり拝見したいので、デモまたはデモ動画のURLを必要となります。

事業計画資料については、具体的には「市場機会」「想定する顧客が抱える課題」「サービス・プロダクト・ビジネスの概要」、「競争環境と競争戦略および企業としての優位」。このほか、「チームメンバー」についても代表者と技術者の方を必ず記載してください。また、主要なKPIを含む「事業計画」も必要となるほか、「資本政策」も策定済であれば記載していただき、未設定の場合は株主構成の概要と直近の時価総額を教えてください。未登記の場合は不要です。以上、G-STARTUPのWebサイトにも応募者向け説明資料を準備していますので、そちらをご参照いただきたいと思います。

G-STARTUPはオープンな場です。ぜひ、皆さまとともにユニコーン100社が生まれるような生態系をつくっていきたいと考えています。日本、そして次の世代を良くするための営みとして、皆さまとともに本プログラムを走り抜け、成功させたいと思っています。では、「ユニコーン輩出に向けた、個社の利益を超えたオープンな環境づくりへの貢献」ということで、このあとはパネルディスカッションに移りたいと思います。皆さん、ご清聴ありがとうございました(会場拍手)。

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