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大坂なおみ効果でテニス人口はどれだけ増えるのか?フェルミ推定で考える

投稿日:2019/02/18更新日:2019/04/09

テニス2019年1月、オーストラリア・メルボルンで開かれた、テニスの4大トーナメントのひとつ全豪オープンにおいて、大坂なおみ選手が優勝したことは、記憶に新しいところです。2018年9月に行われた全米オープンでも優勝を果たしており、4大メジャーで連覇となります。SNSなどでも関心が高く、注目された方も多いことでしょう。

ここでは、この大坂なおみ選手のメジャートーナメント連覇を受けて、果たしてテニス人口はどれだけ増えるのかを「フェルミ推定」的なアプローチで考えてみることにします。フェルミ推定とは、正確な数値が分からないときに比較的入手しやすい情報から概算値を算出する手法です。

フェルミ推定で考えてみる

ここでは、シンプルに(新たにテニスを始める人)=(A:新たにテニスをする可能性のある人)×(B:その中で新しくテニスを始める人の割合)と考えていくことにします。

まず、(A:新たにテニスをする可能性のある人)を考えましょう。これは、(総人口)×(新たにテニスをする可能性のある人の割合)で考えることができます。総人口は1億2000万人、このうち、テニスをする可能性がある人を年齢軸で具体的にイメージしてみると、10代から50代ぐらいということになるでしょうか。平均寿命は80歳、10歳未満と60歳以上を除いた人口はどの程度かを考え、大よそ、総人口の4分の3は、母集団としては可能性があると考えることができます。1億2000万人×(4分の3)=9000万人が新たにテニスを始める可能性のある母集団になります。

次に(B:新しくテニスを始める人の割合)を考えてみましょう。ここは、身の回りの人でテニスをこれから始める人がどのくらいいそうかということでイメージをしてみましょう。同僚、上司、部下を想像し、何人に1人ぐらいがテニスを始めるでしょうか。「最近、テニスを始めた」という人は、何人集めれば、出会えそうでしょうか。100人に1人、200人に1人、300人に1人…。いかがでしょうか。ここは、明確な根拠は持てないですが、200人に1人と仮定することにします。

さて、これで、必要な情報は算出できました。以下のように考えることができます。
(新たにテニスを始める人)=(A 新たにテニスをする可能性のある人 9000万人)×(B その中で新しくテニスを始める人の割合 200人に1人)=45万人

前提を押さえておく

実際の割合は正確には分からないですが、45万人という数字を算出しているロジックの前提はしっかり押さえておきましょう。

まず、(A:新たにテニスをする可能性のある人)を総人口に対して、年齢比で4分の3は母集団となり得るとしていますが、厳密にはここから、既にテニスをやっている人は除いて考える必要があります。逆に9000万人をざっくりと母集団に考えるということの前提は、今テニスをやっている人口が9000万人に対してはそう大きくはないという仮定で考えているということになります。

また、(B:その中で新しくテニスを始める人の割合)は職場をイメージして、200人に1人としましたが、もし、テニスを始める人の割合が、大人と子供で違うかも知れないという想定に立てば、

(新たにテニスを始める人)=(A1:新たにテニスをする可能性のある人 大人)×(B1:その中で新しくテニスを始める人の割合 大人)+(A2:新たにテニスをする可能性のある人 子供)×(B2:その中で新しくテニスを始める人の割合 子供)

として、算出する方がより丁寧になります。

そして、最後。大坂なおみ選手との因果関係です。200人に1人ぐらいがテニスを始めるだろうと想定しましたが、もともとテニスをやろうと考えていて、たまたまこの時期に始めたという可能性もなくはありません。因果関係の特定はそもそもで難しいのですが、他の要因を含んでいるということも理解しておきましょう。

45万人という数字を算出しているロジックの前提、
1. 既存のテニス人口も含む母集団になっている
2. テニスを始める人の割合を一律に設定している
3. 大坂なおみ選手の連覇との明確な因果関係までは押さえられていない
が理解できていることが実は重要です。

ファクトにあたる

フェルミ推定としてはここまでで十分ですが、せっかく考えてみた訳ですから、探せる情報には当たって確認をしておきましょう。考えた仮定がどの程度確からしいのか、逆に何が違っていたのかを知ることで、仮説を置く力が養われます。

日本テニス協会の平成28年度の「テニス環境等実態調査 報告書」によれば、2016年の成人のテニス人口は、439万人、2014年からの2年の変化は、40万人ですので、単純に2で割ると、1年で計20万人が増えていることになります。

図1

先ほどの45万人はこれまでの変化と比べるとやや多い人数とはなっていますが、フェルミ推定のポイントは、桁を大きくはずさないこと。そういう意味では、概算としては、そう見当違いの値ではないと考えてもよさそうです。

さきほど、前提としておいた、3点も確認しておきましょう。

1. 既存のテニス人口も含む母集団になっている
既存のテニス人口は、439万人、9000万人とした母集団に対しては、約5%。さきほど、母集団を9000万人としたものを8500万人とするかの違いですが、そう大きなインパクトがあるという訳ではなさそうです。

2. テニスを始める人の割合を一律に設定している
200人に1人ぐらい始めるのではという想定を置きましたが、成人と10代の伸び率は2014年と2016年比では、大きな違いはなさそうです。有名選手の活躍の影響にどれだけ感化されるかという視点は入ってはいませんが、この数字だけで判断すると大人と子供は分けて考えなくてもよさそうです。

3. 大坂なおみ選手の連覇との明確な因果関係までは押さえられていない
ここは、どのように調査を重ねても本質的に難しい内容です。同、報告書によれば、テニス人口自体は、2012年を境に、近年増加傾向にあることが示されています。2018年の結果は、まだ、出ていませんが、2018年、そして、2020年のデータが示されたときに、2019年を境に、伸び方の傾向が変わっているようであれば、その差分こそが今回の連覇の影響でテニスを始めた人を示すことになるかも知れません。

図2

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