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不用意に敵を作っていませんか?組織文化リストでチェック

投稿日:2018/06/16更新日:2019/04/09

敵『社内を動かす力』から「組織の文化を理解する」を紹介します。

組織文化は、その会社や部署の人間が空気のように感じている、行動様式や思考のパターンを規定する価値観です。時間厳守か比較的緩めか、結果重視かプロセス重視か、年功にこだわるかこだわらないかなど、組織には必ず独自の文化、言い換えると「クセ」があるものです。社内で何かを始める際には、その価値観を守り、不用意に敵を作らないことが大切です。たとえば年功が重視される会社において、年上の人に対してぞんざいな物言いをしてしまっては、本来うまくいくはずだったプロジェクトもサポートを得ることができなくて頓挫しかねません。敵は極力少なくしつつ、味方を多く作ることが、大きな成果を得る上で必須であることを再確認したいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

組織の文化を理解する

意外に思われるかもしれませんが、組織の文化を理解することは、「動く」プランを作る上で最も大切なことだと私は思っています。

ひと口に組織の文化と言っても、様々な定義があると思いますが、ここでは次のように考えます。

「組織に所属するメンバーが共有している価値観、考え方、およびそれらを反映した行動の様式、行動規範などの集合体」

難しく考えなくても、普段の職場の雰囲気から大体のことはわかります。たとえば、上司を肩書きで呼ぶ会社と、さん付けでフランクに呼ぶ会社とでは、会議や意思決定のやり方も自ずと異なってくるでしょう。

皆さんの会社はどうでしようか。以下の「組織文化チェックリスト」を参考に、具体的に考えてみてください。

チェックリスト

チェックリストで示されているのは、無意識のうちに多くのメンバーが励行していることであり、良し悪しは別にして、違和感はなく当たり前のこととして組織に根付いているものです。放っておけば、そのままの状態で維持されます。こうした日常の活動や考え方、小さなことが積み重なって醸成されるため、組織の文化は非常に強力かつ変えにくいのです。

何か「こと」を始める時、文化に受け入れられる方向や方法で進めればスムーズに行くでしょうし、逆に、文化にそぐわなければ暗礁に乗り上げるでしょう。ですから、実行プランに組織文化の理解は欠かせないわけです。

たとえば、意思決定はすべてトップダウン、部下は上司を役職で呼び、会議で発言するのはポジションが上の人だけ、といった「堅い文化」であれば、何も調整しないままいきなりボトムアップで提案しても、受け入れられる可能性は極めて低いはずです。

逆に、ポジションや性別や人種に関係なくフランクに会議で発言するような「柔らかい文化」の会社で、杓子定規な言い方をするとか、情報伝達の順番に気を取られていると、官僚的でやりづらい人だと思われかねません。ましてや、連絡でも通達でも何でもメールで済ませようとすれば、コミュニケーション能力がないとみなされても不思議ではないでしょう。

避けるべきことを認識しておく

また、同じ企業であっても、ある程度の規模を超えると、部署や部門、フロアによって組織文化が異なってきます。すべてを把握することは難しいでしょうが、それでも最低限、「避けるべきこと」だけは押さえておくことをお勧めします。

どんなにささいなことでも、相手の文化を侵してしまうと、余計な反発を買ったり、関係者を「かたくなな状況」にしてしまう可能性があるからです。「こと」を前に進めるためには、本質的でない不要な争いは極力避けるよう努力すべきなのです。

ちなみに、私がかつてお世話になった、ある電機メーカーの営業部長は、新規顧客訪問の際には必ずダークスーツと白いシャツを着ていくとおっしゃっていました。相手の文化を侵さないためだそうです。確かに当時、決済権のある人はたいていそのような格好をしていました。

本当に勝ちとりたいもの、進めたいもの、変えたいものは何なのかを、強く明確に意識し、些細なことでつまずかないよう注意しましよう。

(本項担当執筆者:田久保善彦 グロービス経営大学院研究科長)

『社内を動かす力』
田久保善彦(著)、ダイヤモンド社
1620円

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