心をつかむプレゼンテーション10のコツとは 

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プレゼンテーションへの苦手意識が絶えないワケ

プレゼンテーションプレゼンテーション(以下、プレゼン)は、ビジネスパーソンの日常にすっかり定着した感があります。取引先への営業活動、上司への企画の提案、関連部署を集めた施策報告会等々。ヘビーなものは大型案件の獲得が決まるコンペから、ライトなものは部署内の朝礼でのちょっとしたスピーチまで、職種や経験年数を問わず、プレゼンと無縁な人のほうが今や珍しいのではないでしょうか。

そんなプレゼンですが、苦手意識を持っている人、プレゼンの番が回ってくると憂鬱になってしまう人もまた多いと思います。こうした難しさを感じさせる要因としては、つたないプレゼン、ハズしたプレゼンが目立ってしまうこと、そのため失敗したくないというプレッシャーが強くかかることが大きいでしょう。これだけ多くの人がプレゼンをするのも聞くのも慣れてきますと、自然と聴き手側の目も肥えてきますので、一層この傾向に拍車がかかります。その結果、より一層準備が大変だと感じられる面もあるでしょう。

本稿では、そんな苦手意識を解消できるよう、格別プレゼンが得意というわけではない、ごく一般的なビジネスパーソンに向けて、これを押さえておけば確実にプレゼンの上達が図れるという、再現性のあるスキル、ノウハウを紹介していきます。

プレゼンテーションとは、目的へ向けて聴き手を動かすこと

ビジネスにおけるプレゼンとは、何らかの目的があって設定された状況で、聴き手の行動/態度/心象を、話し手の意図に沿った方向へ変化させることと言えます。目的に向かって話し手の設計通りにスムーズに聴き手が動いてくれるのが「良いプレゼン」なのです。

話し方が上手いことや、論理的で筋道立っていることなどは、もちろん一般的に望ましいことです。一方で、朴訥なしゃべりでも、勢い重視でロジックが曖昧でも、プレゼンとしては成功ということは十分ありえます。まず「目的ありき」だと捉えるところがポイントです。したがって、何がそのプレゼンの目的なのかを見極めるのが、準備において決定的に重要になります。

プレゼンテーションを準備する際の基本的なステップ

プレゼンを成功させるには準備が必要であるとはよく言われますが、そこでいう準備とは、スライドをきれいに作りこんだり、淀み無く話す練習をしたりといったことばかりではありません。以下に示す準備のステップを一つひとつしっかりと考えていくことが重要です。

プレゼンテーション

まず第1に目的を押さえ、第2に聴き手を理解し、そして第3に聴き手の導き方を決めていきます。資料作成や、現場での実演ももちろん重要ですが、その前のこの3ステップを毎回意識することで、特別なプレゼン上手でもない、ごく一般的なビジネスパーソンでも再現性をもってプレゼンスキルが上達していきます。

それでは、聴き手を動かすプレゼンテーションを行うためのコツを、準備の各ステップに沿って紹介しましょう。

<ステップ1:目的を押さえる>

まず行うべきは、プレゼンが終わった後で「聴き手にどういう状態になっていて欲しいのか」を具体的に思い描くことです。そして、それは客観的な状況に照らして実現可能なのか検証します。いまこれから自分がやろうとするプレゼンの「目的」をしっかりと確認していきます。

■コツ1:目的とする聴き手の状態は、なるべく具体的に思い描く
一口に聴き手の状態と言っても、あまり抽象度を高くしては効果がありません。たとえば、営業のプレゼンであればどんな状況でも究極的には目的は「当社の商品を買ってくれること」と言えるかもしれません。しかし、実際には初期の段階で興味を引ければいい場合と、交渉も大詰めでこのプレゼンで一気に成約まで持っていきたい場合とでは、話すべき内容は大きく変わってくるはずです。以下の例のように、聴き手を導きたい認識、感情、行動の変化についてなるべく具体的に考え、細かいニュアンスの差にも敏感になりましょう。

プレゼンテーション

■コツ2:プレゼンを行うことになった経緯や周囲の状況を客観的に把握する
よくある落とし穴は、自分で勝手に「今回、私がプレゼンする目的はこうだ」と決め込んでしまったものの、実はそれが正しくなかったというケースです。プレゼンを頼まれたときの第一印象や、頼んできた相手の何気ない一言に引きずられてしまうことが多いようです。しかし、当初は知り得なかった聴き手の事情があったり、頼まれてから実施までの期間に状況が変わったりという可能性は常にあります。主観に頼らず、なるべく客観的な眼で状況を把握するようにしましょう。

<ステップ2:聴き手を理解する>

目的を押さえたら、次は「本当の聴き手は誰か」を見極めます。「本当の」と書いたのは、実際にプレゼンに聴衆として参加する人の中にも、営業のプレゼンなら購買意思決定のキーパーソンとそれ以外の人というように、たいていの場合目的に照らして重要度の差があるからです。

そして本当の聴き手を見極めたら、その聴き手の置かれた状況、今回のテーマに関する認識・意見・感情、話し手との関係について、情報を集めていきます。ピッタリした情報が入手できない場合も、状況証拠的な手がかりからでもよいので仮説を立てておきましょう。

■コツ3:最重要の聴き手に、大胆に絞り込む
上で書いたように、現実の聴き手の中には、さまざまな立場の人が混在していることがしばしばあります。そんなとき、総花的にみんなに訴えよう、聞かせようとするのは、かえって誰の心にも響かない危険が高くなります。ここで明確に絞り込んでおけば、次のステップでどんな言い回しをするか、どんなエピソードを引用するかといった導き方において、効果的な設計ができます。

■コツ4:聴き手の理解について他者の意見も参照する
コツ2とも重なりますが、聴き手の理解についても客観的な視点を入れることが有効です。たとえば、部署内で担当役員に企画を立案する場合、「今度のプレゼン相手であるA常務について、〇〇タイプの人で、△△に重点を置いて判断するクセがあると思っているがどうか」といった点について、同僚の意見を聞いてみるといった具合です。

<ステップ3:聞き手の導き方を考える>

ステップ1、2を踏まえて初めて、聴き手をどう導くか、つまり話の中身を考えるステップに入ります。ここでは、「何を伝えるか」と「どう伝えるか」の2面に分けて考えていくとよいでしょう。なお、便宜上3-1、3-2と番号を振っていますが、この2つは必ずしも順序を厳密に捉えるのではなく、「どう伝えるか」を考えていく過程で「こういう展開で話すなら、この話題は省いて、別の話題を入れよう」というように、さかのぼって「何を伝えるか」に修正を加えていくこともあり得ます。

(3-1:何を伝えるか)
プレゼンの中で伝えたい話の中身についてです。ここでも、プレゼンのテーマに対して、聴き手がどんな疑問を持っているかを想像し、それに答えるという発想でメッセージや根拠として示す情報を考えていきます。

(3-2:どう伝えるか)
前項で考えた伝えたい中身を、プレゼン時間の中でどのように組み立てて展開するか、話の順序や時間配分等を指します。冒頭の始め方や自己紹介、最後の締め方、途中で話題が変わる際のつなぎ方なども含みます。

■コツ5:聴き手の関心が高いことを先に、また時間配分も厚く
構成を考える際の基本原則は、聴き手の関心が高いことをなるべく先に、また時間配分を厚くすることです。よくある落とし穴は、聴き手が既に知っていることをくどく話してしまうことです。逆に聴き手がよく知らず疑問に思っていることを軽く流してしまうこともあります。テーマについて、自分なりの理解、自分なりの説明をそのままプレゼンの構成に落とし込むと、こうなりがちです。聴き手はどこまで知っていて、どんな点に疑問を抱きそうか、ステップ2で見た「聴き手の理解」に照らして説明の順序や量を調整しましょう。

■コツ6:自分の言いたいように言うのではなく、聴き手好みの表現を
個別のちょっとした表現、言い回しの選択にも、聴き手視点を重視しましょう。人は誰しも考え方や言い回しのクセがあります。客観的なデータの積み重ねが好きな人なのか「ガツンと」や「しなやかに」といった感覚的な表現が好きな人なのか、あるいは、冷静な表現が好きな人か情熱的な表現が好きな人か。たとえば自分は前者タイプであっても、聴き手が後者タイプであれば、同じ意味のメッセージを伝えるにしても、取るべき表現は変わってきます。こうした観点においても、ステップ2の「聴き手の理解」が必要です。

■コツ7:聴き手との関係がまだ出来上がっていないときは、先にアイスブレイクを
新規営業や広く聴衆を集めたスピーチなど、初対面かそれに近い相手に話すときは、特に出だしに注意が必要です。固い雰囲気のまま話が進んでも、なかなか聴き手に伝わりません。そこで、冒頭の時間を使って、意識して打ち解けた雰囲気を作る(アイスブレイク)必要があります。ポイントは、自分と聴き手とが「共感」できる話題を出すことです。自己紹介で出身地など聴き手と共通の属性を見せたり、多くの人が同じ反応をしそうな話題を出したりするのはこのためです。

実演(+資料の準備)する

ここまで来て、いよいよ実演です。実演に関する注意事項は、既に多くの書籍等でさまざまなことが言われていますが、ここでは平均的なスキルのビジネスパーソンに役立つ、汎用性のあるコツに絞ってご紹介します。パワーポイントなどその場で参照する資料についても、現実には事前に作っておくものですが、ステップ3までを押さえておかないと資料の作りようもないですから「ステップ3の後の工程」という意味で、ここでまとめて説明することとします

■コツ8:投影資料では「瞬間的な見やすさ」を重視する
プレゼンにおいて、パワーポイントのスライドをスクリーンに投影しながら話す、という形式のことは多いと思います。このとき避けたいのが、聴き手の関心がスライドに集中してしまい、肝心の話から注意がそれてしまうことです。聴き手がスライドからメッセージを読み取る際の負荷をなるべく軽くすることを意識しましょう。

よく「ワンスライド・ワンメッセージ」(スライド1ページに入れるメッセージは1つまで。2つ以上入れてはいけない)と言われますが、それも聴き手の負荷を下げる意味合いが大きいです。フォントが小さいのも禁物で、会場の大きさにもよりますが、最小でも18ポイントがよいでしょう。色使いや、矢印や囲みの形なども過度に多様にするのは避けます。背景デザインも、パワーポイントのテンプレートは多彩で、ついオシャレなものを選びたくなりますが、なるべくシンプルにするのが無難です。グラフや表を入れる際は、ただそのまま置くだけですとやはり聴き手がそこから意味を汲み取ろうとしてしまいますので、そのグラフや表から何を言いたいのかを、できる限りシンプルな表現の文にして添えるようにします。

■コツ9:「抑揚」と「接続語」を重点的に準備する
話し方については、余裕があればしっかりと原稿、それもこの通りに読めばよいというセリフレベルの詳しさの原稿を事前に作った方がよいです。しかし、なかなかそこまでの手間をかけられないこともあるでしょう。そんな場合、せめてここだけは準備すべきというポイントは、まず強調したいフレーズを特定し、そこは最低限、淀み無く自信を持って話せるようにすることです。そして、その他の部分と比べ、声を張ったり、あるいはわざとゆっくり噛んで含めるように話したりと、抑揚をつけることを意識しましょう。

もう1点は、話題を転換する際の接続語、あるいはつなぎのフレーズです。たとえばAという話題から、反対の意味を持つBという話題に移るとき、単に「ところが」、「しかしながら」と言うか、あるいは「~と皆さん思われるかもしれませんが、実は~」というようにつなぐのか。こうしたつなぎ方を予め決めておくと、その場で「えー」「あのー」と余計な言葉が出てしまうのを防ぐことができます。

■コツ10:なるべく当日の環境を事前に経験しておく
ここまでの準備のステップを踏んでくれば、プレゼンで失敗してしまう可能性は十分に小さくできるはずです。それでも残念ながら、当日想定外の出来事に遭遇して慌ててしまうと、失敗確率は上昇してしまいます。そこでコツの最後は、この「想定外の出来事」をいかに減らすかが目的です。なるべく当日話すのと同じ状況を、事前に経験しておきましょう。会場の広さ、聴き手との物理的な距離感、話し手から見た視野、スクリーンやパソコンの位置関係など、実際にその場に立ってみて初めて感じられる要素は多いものです。誰か協力者を頼んで、実際に聴き手の位置に座ってもらい、後で自分がどう見えるかフィードバックを受けるようにできればなおよいでしょう。

なるべく多く「打席に立って」経験を積もう

以上、ここまでプレゼンの「準備」に重点を置いて、上達のコツを解説してきました。ここで述べたステップをきちんと踏んでいけば必ずや成功確率は上がっていくことでしょう。ただし、もう1つ本質的に重要なのは、「実際にやってみて経験を積むこと」です。いくらスキルやノウハウを頭に入れていても、実際に使ってみないことには上達もかないません。ぜひ、苦手意識を振り払って、積極的にプレゼンの機会を掴んでいきましょう。

<参考書籍>
グロービスMBAで教えている プレゼンの技術』(グロービス著 ダイヤモンド社)

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