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プレゼンで重要なのは中身より聴き手の特定

投稿日:2017/09/23更新日:2019/04/09

『グロービスMBAで教えている プレゼンの技術』から「プレゼンにおける『聴き手』を絞り込む」を紹介します。

プレゼンテーションの主目的が「人の行動を喚起したり態度変容を促す」ということである以上、プレゼンの内容を考える以前に絶対必要なのは、「誰がメインの聴き手であり、どのような行動を喚起したり態度変容を促すべきか」ということです。特に、メインの聴き手の特定は大事です。参加者の発言力や影響力にはばらつきがあり、往々にして間違えることもあるからです。

特に難しいのは、まだ付き合いの浅い顧客を相手にしたり、不特定多数の聴衆を相手にする時です。言い換えれば、相手に関する情報が少なかったり、相手の関心等がばらついている際には、誰をメインの聴き手であるかを早期に絞り込むことが非常に重要になるのです。筆者も、セミナー等の講演で、事前に得ていた情報と実際に話し始めてからの反応が違ったりして、急遽話す内容やトーンを変えるのに苦労したことがあります。基本は、そうしたアドリブに頼らなくても済むように、事前にヒアリング等を通じてしっかり準備することです。何事も、実践の前の準備が成功確率を高めるという点は意識しましょう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

プレゼンにおける「聴き手」を絞り込む

プレゼンテーション準備のステップ2は、聴き手を理解することです。聴き手は何を知っているか知らないか、聴き手の関心はどこにあるか、情報を集めて具体的な「聴き手像」を描くのです。

たとえば、営業の提案や、社内会議で企画を通すときなど、あらかじめ誰が聴きに来るかある程度わかっている場合を考えてみましょう。聴きに来るであろう相手のことを手当たり次第に思い浮かべて、その人の情報を調べたり、関心について考えたりし始めてはいけません。その前に、まずステップ1で考えた目的に照らして、このプレゼンでは誰を「聴き手」と捉えるのが一番効果的なのか、を決める必要があります。
             

一方で、聴き手が事前に明確に決まっているわけではなく、何らかのセミナーで講師役として話すなど、事前にどんな人が聴きに来るかわからないという中でプレゼンを行うこともしばしばあるでしょう。しかし、わからないからといって、ぼんやりとしたプレゼンを行うのは無駄なことです。仮想でもよいので、やはり何らかの形で、聴き手の中でも最も動かしたい人、すなわち「本当の聴き手」を絞り込むようにしましょう。

プレゼンを聞きに来る人なら誰に対しても訴えかけようという考えは、結局、誰の関心も捉えないプレゼンになってしまう危険があります。本節の後半でも触れますが、人が何に関心を持つか、何を重視するかは、その人の性格や元々持っている知識などによって、実にさまざまです。したがって、具体的な誰かを想定しないと、聴き手は何に関心があるかを特定できません。具体的な聴き手を決めることなくして、聴き手を動かし、心に響くプレゼンは行えません。

「本当の聴き手」の見つけ方、決め方

では、本当の聴き手をどのように見つけ、どのように決めればいいのでしょうか?

具体的な相手を想定できる場合は、やはり「誰を動かすと目的に対して最もインパクトが大きいのか」という視点で見極めることが多いでしょう。そこでは、役職や権限、あるいはそのプレゼンテーションの領域における専門性といった点が決定権の強さを測るものさしになります。

もっとも、表立った地位や実績では見えにくい影の実力者というのも、往々にして組織には存在することがあります。そこで、それまでの会話や振る舞いの観察や、ヒアリングから判断する必要も出てきます。「誰の意見が一番反映されやすいだろうか」「一番の推進者は誰だろうか」など、直接ヒアリングできるならば確認しておきたいですし、直接は聞きにくいケースでもこちらからの要求に対する反応を見るなどの形で推測することはある程度可能です。

具体的な聴き手を想定しにくい場合でも、この判断基準は共通です。ただし、具体的な相手というものが無いぶん、想像上の人物像を描く必要があります。聴き手の多くに共通しそうな属性、関心、等を主催者に事前にヒアリングしておくなどして、母数の中のもっとも関心の高い層、あるいは最も動かしたい相手をターゲットとして決めることが重要です。

「聴き手の想定」にありがちな落とし穴

本当の聴き手を見極めることが大事だと書きましたが、実は、本当の聴き手が誰かを理解し、それをきちんと活かしたプレゼンテーションを実施するのは、意外に難しいことです。

よくある勘違いは、自分に耳を傾けてくれるから、聞いてくれるから聴き手、と思ってしまうことです。特に、不特定多数の人が聴き手という場ですと、たまたま目の前にいる人や、よくうなずいたりしてくれる人を聴き手と捉えて語ってしまいがちです。

「よくリアクションしてくれる人」なら、少なくとも聴き手の一部には違いないのだから、その人に向けて話して何かいけないのかと思う人もいるかもしれません。しかし、人は、自分にとってメリットを感じられないと、話を聞かないものです。本来聴き手と捉えるべき人と、よくリアクションしてくれる人と、感じるメリットが重なるのであれば問題はありませんが、そうでないのならば、よくリアクションしてくれる人に受けのいい話をいくら続けても、本来の聴き手は興味や関心を持っていないことになってしまいます

また、目的に照らせばAという聴き手に向けて話すのが妥当なのに、人間関係の力学、相性などが働いてついつい別の聴き手に向けた話を混ぜてしまう、ということも起こりがちです。

(本項担当執筆者:グロービス・コーポレート・エデュケーション 講師 山臺尚子)

『グロービスMBAで教えている プレゼンの技術』
グロービス経営大学院  (著)
1800円(税込1944円)
 

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