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今、経営者が最低限知っておくべき地政学・地経学の知識とは?

投稿日:2024/01/18

G1 FM特別セミナー
「経営者が危機管理上最低限必要な地政学・地経学の知識~ウクライナ情勢・中東・米中対立・アジア地域安全保障環境の最新動向とこれから 」
(2023年12月19日開催/グロービス経営大学院 東京校)

2023年もウクライナ戦争の継続や、イスラエル・パレスチナ問題など、さまざまな地政学的な事象が起きた。2024年もアメリカ大統領選挙をはじめ、日本にも影響を及ぼす地政学的リスクが起こる可能性がある。
G1で定期的に開催しているFM(ファンデーションメンバー)特別セミナーで、神保謙氏をスピーカーとして招き、「経営者が危機管理上最低限必要な地政学・地経学の知識」をお話しいただく。(肩書等は開催当時のもの)

00:46 神保氏のプレゼンテーション

-十数年前までは、世界で衝突が起きていても、地政学と経済は分断して考えられた。ここ5年くらいで、サプライチェーンの寸断など、地政学が経営戦略に直接影響を及ぼすような時代になった。
-地政学の書籍が多く出ているなど、現在地政学のブームが起きている状態。

03:03 地政学の本質は、構造理論

-地理は基本的には動かない要素。それを構造論として捉えた時に、その中から得られる教訓や力学が生み出されるかということを中心に組み込まれた学問体系。
-大きく分けて、大陸国家、海洋国家など、国家を取り巻く地理的な性質で変わってくる。
-地政学は、あなたがどう考えようと変わらない、というもの。 -第一次世界大戦や第二次世界大戦が起きた歴史の中から、地政学は倫理的に良くない学問だと言われたこともあった。地政学の退潮を決定づけたのは、冷戦期の核兵器の登場。二次的な退潮は、グローバリゼーション。

08:10 地政学の基本的な考え方

-ランドパワーとシーパワー:国家が目指すべき、安全保障の状態が変化する。
-ハートランドとリムランド:リムランドで起きている紛争が多い。アメリカがなぜこの拠点にこだわるかがわかる。
-チョークポイント:宮古水路、バシー海峡、マラッカ海峡など。チョークポイントを誰が握るかで、シーパワーの安全保障が変わってくる。

11:17 今日の地政学

-2000年代は「Geopoliticsは終わりだ」と言われていた。2010年代になると、経済的相互依存が必ずしも平和になるわけではないことがわかってきた。
-ロシアがウクライナへ侵攻したのは、プーチンの自らの成功への過信とウクライナの過小評価だったと思う。紛争は相手を過小評価した時に起こりやすいというのが、歴史的に証明されている。
-これを教訓とするのであれば、情報を事前に認識させることで、習近平の台湾への全面侵攻を止めることが出来ないだろうかという問いを立てる必要がある。抑止力が大事なってくる。
-安全保障政策はほとんど仮説に基づくものであり、その仮説が正しいかどうかは戦争が始まって初めてわかるもの。抑止力はコンテクストディペンデントなもの。

16:48 インド太平洋地域のパワーバランス変化

-2005年は日本と中国の国防費は同じくらい。2020年になると、6倍近くになっている。2030年になるとさらに広がっていく。
-岸田政権が国防費を増やしたが、それでも中国の5分の1程度。パワーバランスの構造全体を変化するものではない。これからは、日本は中国よりも劣勢にある状態で、中国はアメリカに対しても物が言える状態になったということを踏まえて、日本の安全保障を考えなければならない。

19:30 中国の軍事力の増強

-海軍においては、潜水艦、駆逐艦も増えている。空軍においても、2000年代は日本がリードしていたが、2010年代にははるかに超えられた状態になっている。
-西太平洋において、90年代においては朝鮮半島で何が起ろうとアメリカ軍が介入して紛争解決の役割を果たすことができたが、今はアメリカは西太平洋の戦域に近づくことさえ出来ないような能力を持っている。
-力の差があったとしても、中国は狭い海峡を通って太平洋に出なければならない。そこに戦力を集中することによって、相手の動きを阻止できるかもしれない。
-より遠方で早期に闘える部隊として、自衛隊を捉え直す必要がある。

24:40 世界の分断と地政学

-ハマス・イスラエル情勢:イランの台頭によって起こった。スンニ派諸国とアメリカで国交正常化が進んでいたさ中、ハマスが侵攻を起こした。
-ウクライナ危機の3つの方向性:ウクライナ反抗攻勢はうまくいっていない。戦争の長期化で欧州とアメリカが支援疲れが起きれば、ロシアが勝利宣言することになる。
-米中対立と台湾情勢:中国側は、台湾は戦えないと言うことを見せたい。台湾では民間人が逃げられない。だったら脅してやれ、という危機が起きる可能性は十分にあり得る。

33:32 堀との対談

34:16 中東情勢について

-エスカレートしていくのか、収束していくのか。
-イランとハマスの関係性について。
-ロジスティクスが止まる可能性が高いが、経営者としてどのあたりを見ておくべきか。

41:58 ウクライナ危機について

-国際政治学者のイアン・ブレマーはロシアが勝つ予想をしている点について。
-トランプが大統領選挙で勝つ予想をしている。これがどのような影響を及ぼすか。
-アメリカ国民がトランプを支持する理由は。

49:15 アジア情勢について

-中国が台湾に侵攻する可能性は低い。
-北朝鮮の情勢について。スルーしていれば良いのか。

54:40 テクノロジーの進化と安全保障の関係

-スパイが情報操作をし始めている。

58:00 質疑応答①

-ヨルダンとイスラエル、双方から依頼があった場合どうすればいいのか。

01:01:07 質疑応答②

-日本のリーダーシップはどのような場面で発揮できるのか。

01:03:30 質疑応答③

-中国の反スパイ法へはどのように対応すべきか。

01:06:06 質疑応答④

-医薬品などのライフサイエンスの分野では、どのような観点で見たらいいか。

01:09:00 質疑応答⑤

-神保氏がお勧めする情報ソースは。IISS、CSISなど。

01:12:57 質疑応答⑥

-不満が溜まった結果、クーデターでプーチンが失脚する可能性はないのか。

01:14:11 質疑応答⑦

-日韓関係は急速に改善しているように見えるが、ここの今後について。
-デュアルユース(民間および軍事用途の双方に使用できる貨物、ソフトウェアおよび技術)は日本でどうなるのか。

01:17:36 質疑応答⑧

-万が一中国が台湾に侵攻した場合、アメリカの大統領選挙の結果で介入するかどうかが大きく異なるのではないか。

01:19:58 質疑応答⑨

-インドは今後緊密なパートナーになる気がするが、それは正しいのか。インドから見ると、日本はどのような価値があると思われているのか。

01:22:49 ヨーロッパの現状について

-ウクライナ戦争をきっかけに、ヨーロッパは再度結束した。しかしこれまで通りウクライナをこれ以上支援できるのか。ポーランド、ハンガリーのような権威主義的な国がヨーロッパから出てて来ている。この辺りとどう付き合っていくのか。

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