G1中国・四国2023
第5部全体会「未来へ発信するG1中国・四国~世界/歴史の中にみる中国・四国のこれから~」
(2023年9月23日開催/島根県くにびきメッセ)
「日本書紀」の国譲り神話に記された出雲大社。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の愛した松江。近代日本のリーダーを多く輩出した土佐や長州など、我が国の歴史上無くてはならない役割を果たしてきた中国・四国地方。2023年、パンデミック、ロシアによるウクライナ侵略、エネルギー危機や物価高、国内では昨年の安倍元総理の銃撃事件など、なにが起こるかわからない激動の時代に、私たちはこの地域から何を発信すべきか。世界的視点、歴史的視点から未来を考える。(肩書は2023年9月23日開催時点のもの)
00:58 ヒトというテーマでこれまで取り組んできたこと、未来観(加藤氏)
-現在、構造的人手不足時代に入った。2000年と2020年と2040年と20年間隔で見た時に、これまでの20年は65歳以上の人が千数百万増え、15歳から65歳の人が1100万人減った。これからはあまり高齢者は増えない。しかし、15歳から65歳が1500万人くらい減る。雇用情勢は改善しているが、失業時代から物を言うから改善して当然。
-そこにどう応えるかは2つしかない。1つはどう労働力を増やすのか、もう1つは今の人たちをどう効率的に動いてもらうのか。前者については少子化対策だが、これは少し時間がかかる。もう1つやってきたのが、女性活躍、高齢者の活躍、障がい者の活躍。これについては実績が出てきている。もう1つあるのは外国人の雇用。海外から来て日本で就業している人は、全体のわずか3%。そう考えると、如何に効率的に労働生産性をどう上げるかしかない。付加価値を上げるか、少ないマンパワーで効率性を図るか。人への投資を政権としては進めている。
-効率も良いが、大きくすることを考えていかなければならない。今までの固定観念を変えるかが課題。中山間地域に行けば行くほど、前向きになっているように感じる
06:35 ヒトづくりをどうしてきたのか(湯﨑氏)
-14年前に広島県知事に就任して、その時から「仕事づくり」「暮らしづくり」「地域づくり」「人づくり」の4つを循環させることをやってきた。生まれる前、生まれる直後、小中高において、coherentな教育を行っている。
09:25 地方の可能性について(深井氏)
-歴史を勉強している中で、今は地方が新しい価値を生み出す瞬間が、時代的に重なっている。ローマ帝国は元々中心はギリシャにあった。オスマントルコ帝国もイスラーム教なので、元々はアラビア人の宗教で、トルコ人は周縁の民族だった。グローバルスタンダードを作り出す中枢が移り変わる時期があって、新しい価値を生むのは常に周縁から、というのが歴史からわかる。
-自分たちの強みが今までは生きなかったが、掛け算することで生きる、という時代が来ているのではないか。こういう時代に必要なのは、ただ欧米の真似をするのではなく、やり方を学んだ上で、そのやり方をしない、というのが大事だと思う。
13:16 地方の取り組みを東京へ届ける必要性(湯﨑氏、深井氏)
-日本は元々周縁の国。和洋混載、矛盾を内包したまま新しいものを作ることが得意な国。今の日本はあまりに東京のように集中しすぎていて、地方が東京化しようとしている。意識して、地方の色を作っていかなければならない。
-塗り固められないように、自分たちのオリジナリティと元々の中央の文化を掛け算して出していくことが重要。出雲では市場経済みたいなものが浸透していない。市場経済が浸透していない所が今までは弱みだったが、それが強みに転化する可能性がある。
16:38 市場経済がない形での成長の可能性について(加藤氏)
-世界の規模で見ると、コアを持つことは大事。東京を上げるということは、国際的な意味において大事。地域ではそれとは違うディメンションがあっても良い。兼業副業や2か所居住など、チャレンジできる部分はあるのではないか。地方は人間関係や社会共同体が強い。これらを大事にしながら、東京で失われていくものを地方に行けばある、というものを作ることが全体の付加価値を上げることになる。それを作るには若い人たちが入ってこないと難しい。地域の外の人でもウェルカムになったときに、面白い動きが出るのではないか。
19:17 実際に地方を動かしてみて感じること(湯﨑氏)
-外の人を受け入れて地域を作っていく、こうすることでイノベーションが生まれる。地域の価値に外の人が気付くことがある。意識して、それが起きるようなことをやっていかなければならない。一方で東京にも頑張ってほしい。東京の国際競争力が落ちているのは、ウェルビーイング。東京が良くなることと、もっと人が集中することは矛盾することではない。集中を緩和することで東京の地位は上がるし、新しいスキルを持っている人を東京に連れてくることも大事。
-一極集中と言った時に、権力・権限が霞が関に一極集中していることでもある。それを解くほぐしていくことも大事。
-大崎上島でさまざまなバックグラウンドから集まる中高一貫校を作った。地域課題を学生が考えて解決している。先生は、教えるのではなく、学ぶことを助けるサポートを行っている。
24:32 東京に集中しないための改善策(加藤氏)
-デジタルはプラットフォームはひとつにした方が効率が良い。コロナや物価高騰による給付金などはそれに応じてお願いしたい。あとはウェルビーイングにおいて、低賃金、人手不足、長時間労働の課題がある。これらを解決していく中で、いかに生産性を上げていくかが大事。それを進めるために、既存の中でやるのは難しい。若い起業家に期待したい。
-なぜうまくいかないのか、どこに課題があるのか。棘を一つ一つ抜いていく、少しずつ変えていく努力を積み上げるしかない。
27:36 山陰はどうしたら変わるのか(深井氏)
-今が激動の時代なので変わる。株式会社の人たちがプレイヤーになる。例えば中世のキリスト教会で、全体を統括している時に、死生観などの安心感は教会が与えていた。しかし安心感を与えられなくなったとき、新しい勢力が出てくる。イングランド王のヘンリー8世など。王様の時代が来た後に、その後国民国家の時代になった。なので今の状況は、国民国家が当たり前のように提供してきたものがままならなくなり、プレイヤーとして株式会社が台頭し始めている。
-一番優秀な人材をたくさん抱えている。シンプルに株式会社は数が多く、人数も多い。あらゆる問題を政治だけで解決できない。民間の人たちが参与してきている。株式会社とは違ったリスク分散とメリット供与の新たなシステムも必要。国だけでは難しくなった時、民間が国と協力しながら新しいソリューションを提供する時代に突入すると思っている。
32:13 インパクトでお金を流す方法(加藤氏)
-国民国家を補う形でNGOなどが展開されてきたが、財源がないと出来ない。それをクラウドファンディングなどから集めて活動してもらうということも出来る。そうした方々とコラボしながら進めれば、さらにその先があるかもしれない。
33:30 質疑応答①
-学生層にどうやったら現状を認識してもらえるのか。
-辺境で生まれたイノベーションが、全体にとって代わるにはどうすればいいのか。
37:37 質疑応答②
-学生は山っ気がない。資本市場の競争原理で世の中を良くしていく動きが弱くなりつつあるのではないか。
-「特区」をテーマに、アイデアや考えを聞かせてほしい。
-武力に代わる、新しい時代を作るための根拠は何なのか。