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元国営企業のJT、「アットコスメ」のアイスタイルから学ぶ/グローバルで規模化するためのM&AとPMIのキーポイント

投稿日:2023/08/28更新日:2023/12/13

G1ベンチャー2023
第3部分科会F「グローバルPMI~世界に攻めこむ準備とタイミング~」
(2023年6月11日/グロービス経営大学院 東京校)

異なる文化やビジネス環境を持つ海外企業とのM&Aには、戦略的な視点と高度な実行力が必要となる。国内外でPMIを経験したパネリストたちから、グローバルPMIで成功を収めるための適切な準備とタイミングの見極め方、実践的な戦略を引き出す。(肩書きは2023年6月11日登壇当時のもの) 

00:42 議論の頭出し

-大企業の構造転換のM&A、スタートアップとしてM&Aをやって一通り撤退戦をやったケース、2つから事例を聞いていく。

01:12 JTのM&Aで経験してきたこと

-(岩井氏)加ト吉や旭化成などの食品事業を買収を担当、ギャラハーの時は日本側でさらなる買収をするプロジェクトに入っていた。たばこ事業本部長のときには、エジプトやエチオピアのM&Aを手掛けていた。
-(髙島氏)JTは、現在2兆926億円の売上のうち、6割が海外のたばこ事業の売上。急激に海外事業に振り切って、大量に買収した。特にギャラハーの買収額は、当時日本企業最多の2兆2,530億円。専売公社から民営化して、一気にグローバルな会社になった。どういった背景があったのか。
-(岩井氏)元々我々も民営化してもらわないと困ると思っていた。国内でたばこ事業だけをやるという制約があったので、逆に本業で海外に進出したり、多角化事業ををやりたいと思っていた。なのでごく自然な流れだった。初めはマイルドセブンから海外展開を始めた。150億本は自前で販売した。ブランドを世界に浸透させるのは難しいし、時間がかかる。既存の力があるブランドを買収しなければならなかった。最初の10年は自前と、マンチェスターにある小さなブランド会社の買収のみだった。
-(岩井氏)RJRのたばこ部門は、2000億本規模。日本の半分くらいの会社を買うかどうかの大きな判断だった。7000~8000億で買収した。ほとんど無借金の状態だったので、レバレッジをかけていこうということになった。上の会社にはBAT、フィリップモリスがあって、そこから見ればかなり下の方だったし、危機感はあった。まずはRJRをJTインターナショナルにした上で、軌道に乗せるのに時間をかけてやった。
-(岩井氏)我々の商売は、元々西洋から入ってきたもの。ブランドが立って、マネジメント出来れば世界に打って出られると思っていた。ギャラハー以降は世界的なネットワークを持つところまで来たので、まだ進出できていない国や地域で伸ばしていこうと考えた。さらに加熱式たばこのような技術が出てきたので、既に始めている会社の買収を、全体戦略の中で進めた。
-(髙島氏)最初のRJRとギャラハンという個別に巨大な会社に2社買ったフェーズと、その後はポートフォリオで技術や地域で空いているところを買収するというフェーズ。

16:34 アイスタイル・アットコスメでのM&Aについて

-(吉松氏)アイスタイルは上場数年で売上140億円で、5年で500億円を目指すと話していて、そのうち海外での売上をまず100億円まで達成しようと思っていた。日本以外で直接連結で7か国、部分的な持分法で5か国、全部で13か国。海外でも最終的には15店舗、EC、メディアも買収していた。トリップアドバイザーの化粧品版、世界ナンバーワンのデータベースを作ることをコロナ前まで目指した。
-(吉松氏)20年前から国内市場の化粧品市場の成長はほぼない。アジアにおける化粧品市場は倍以上に伸びているため、可能性が高い。ITの化粧品のコミュニティは世界で幾つかあるが、ほとんど上場していない。Webサイトは作るが、ECや店舗のポートフォリオがあるのはアイスタイルだけ。世界中にダイレクトにコミュニケーションし、準備して行った。月に1,2社買収していた。

21:17 JTのPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)のメソッドとして大切にしていること

-(岩井氏)『JTのM&A』という本にも書いているが、貧者の戦略はできない。ブランドやオペレーションだけでなく、人材を買ったというところで、信頼関係を作って事業を任せることが出来るかが最大のポイント。兄弟のようにお互いのいいところを学び合いながら、JTグループとして大きくなっていきましょう、という形で進めた。元々我々が持っている「4Sモデル(お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく、JTの経営理念)」というポリシーを長期で考えてやっていく、という共感を持てるようなマネジメントで進めた。日本人は6人だけ、JTインターナショナル(JTI)に行った。
-(髙島氏)JTとJTIで意見が衝突する時の解決方法は。
-(岩井氏)間に入っている私は、JTとJTIのデュアルアンバサダーのような形で、両方のトップが齟齬がないようにするポジションを作って、両方に影響力のある人間がやることがキーポイント。メッセンジャーじゃない人をアサインすることが大事。DD(デューデリジェンス)の人間も大事。アジアも含めたM&AはすべてJTIにしているのは、RGRという母体がある会社を買ったからそれを活かす。任せた方がやりやすい。本数は5倍ぐらいJTIの方が多い。たばこ事業部のヘッドクォーターはジュネーブになった。日本からJTIのトップマネジメントを経験した人も多くなってきたので、全体最適で考えられている。

36:32 アイスタイルのPMIとM&Aのその後

-(吉松氏)買収したら、全員ののこってもらっている。PMIで一番大変だったのは、システムの統合だったが軽んじていた。コロナ禍になって、ほとんど一気に撤退した。結局問題なったのは、さらなる追加投資の資金をどれだけ準備しているのか。買う所までが調達、と考えてしまっている。長期的に考えていたが、コロナで投資が出来なくなってしまった。今振り返ってみると、もっと大胆に切っていけば良かった。

42:31 質疑応答①

-トップマネジメントに残ってもらうために、どういうどういうコミュニケーションをしたのか。
- 企業理念的なものを実行するのは抽象レベルが高いので、評価するの難しいと思うが、コンフリクトとか苦労はあったのか。

47:22 質疑応答②

-JTIとのコミュニケーションは、時間軸で変わったのか?
-日本人と外国人の一般社員でかなり格差があると思うが、そのあたりはどうしたのか。
-日本流PMIを実施する中で、取り入れて良かったカルチャーは?
-今の経験があって、コロナがなかったとしたら、当時どんなM&A戦略をするか。 -スタートアップが月に1回M&Aするために必要な準備期間と工夫。

54:15 これからM&Aにチャレンジする人へのメッセージ

-(吉松氏)やって失敗することを繰り返したほうが良い。
-(岩井氏)リスクをとらないと会社は成長しない。潰れるリスクは避けながらも頑張ってほしい。

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