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ソニー再生・平井一夫氏に聞く、組織のモチベーションを高めるリーダーシップ
G1ベンチャー2023
第1部全体会「世界で勝てるテクノベート経営」
(2023年6月11日/グロービス経営大学院 東京校)
赤字に陥り危機に瀕していた時期にソニーグループ社長に就任し、見事に経営を復活させた平井一夫氏。変化するグローバルな市場環境下で、進化するテクノロジーを駆使して、勝ち続ける経営の手法に迫る。世界で勝てるテクノベート経営の本質とは。(肩書きは2023年6月11日登壇当時のもの)
01:29 ソニーの社長に就任した時、どのように事業構造を改革する必要があると思ったのか
-どの事業においてもワンソニーとして、感動を提供する会社だというメッセージを出した。まずは事業よりも、社員の心の変革から始めた。
-なぜ黒字に出来ないのかは、わかる。これを行動に移せるかがポイント。日本の企業の場合、何をすればいいかわかっているのに、行動できなかった。
-テレビ事業に限らず、社員は明確な判断、大胆な施策を期待しているので、マネジメントサイドはそれに応えなければならない。
-ゲームも映画も音楽も、Spotfyなどサブスクビジネス、Netflixなどの配信業者の台頭、PS5の登場などで伸びていくことが予想できた。エレキ事業では、半導体ビジネスで製造キャパを上げていくかとうことで、投資していった。
08:44 グローバルで勝つために、日本の経営との違う所
-まずは自分が全部知っているはずもないと認識し、その業界のプロはどこにいるのか考えながら、日本人以外に経営してもらうことがポイント。ソニーミュージックも、映画スタジオも、ソニーインタラクティブエンタテインメントも外国人が経営者。現地で実績を上げているプロに任せることを考えなければならない。
-言葉の壁があるから、より緊密にコミュニケーションを取らなければならない。任せきりではなく、このラインは超えるなというパラメーターはセットする。
-管理関連、数字に関しては東京から細かい指示を出している。クリエイティブには口を出さない。
-アメリカでトップタレントに来てもらうには、それなりの収入を提示しなければオファーすら聞いてくれない。問題意識としてあるのは、日本サイドが業績・成果を出しているトップタレントに対してそれなりの報酬を払うべきだということ。でも業績が出なくなったら、解雇することになる。このあたりのメリハリを日本でどうするか、議論していく必要がある。
15:36 人材の選択について、どういう判断で登用するのか
-自分は何が不得意なのかを考えたときに、ひとつはファイナンス。その分野で実績を出している人を探したとき、吉田憲一郎氏と十時裕樹氏だった。吉田氏を後継者に選んだのは、自分と全く違う経営スタイルを持っているから。同じことをやっていても意味がない。
18:39 会社のトップを選ぶときに何を見ているのか
-本体でないところや主流でないところで仕事をした方が、色んなモノの見方が出来る。社内の部外者がすごく大事。
-パッション、確固たるものを持っていることを感じられるかどうかが大事。人事で間違えたときには早々に変えていくことを社員は期待している。
21:23 質疑応答①
-VAIOを売却した理由は、ソニーらしさが体現できるポイントがなくなってきてしまったから。低コスト化と、他社のOS、CPUに頼るビジネスからは利益を出すのは難しい。テレビを残したのは、チップセットは独自のものを長い間投資してきていて画質が良くなり、黒字化できる見込みがあった。一番気にかけたのは、元ソニーの社員の方々がソニーの社員ではなくなる中で処遇がどういうふうに保証されるかが大きなポイントだった。
-モチベーションマネジメントについて。名選手から名監督になれる人ばかりではないことをリーダーは理解しなければならない。本人に次のステップに行きたいかを確認・対話することが大事。
-各分野のトップに対して、あなたがプロであなたがトップだと言い続けた。全部上から指示を出すと、そういうものだと思ってしまう。
28:23 質疑応答②
-日本と海外というマインドセットはなく、ワールドワイドでソニーという観点でやっていた。「感動を届ける企業」というのをアメリカでもヨーロッパでも意識せず、同じことを言っていた。
-キーマンのモチベーションを把握する方法は、数週間で1対1で必ず対話するようにしていて、腹を割って話す機会を設けていた。レポートラインを超えることについて。超える時には、ルートを通して話をするようにしていた。
ー社内で新規事業を興すポイントは、ビジネスを立ち上げたときにCEOに直接レポートさせること。トップも積極的に関与することが大事。何があってもやり続けるシステムが必要。