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新たな発明は「個性」から生まれる!これからの子どもは何を学ぶべきか~川上英良×染谷隆夫×西内啓×岡島礼奈

投稿日:2023/06/05更新日:2023/12/12

G1サミット2023
第6部分科会T「サイエンスの未来~最前線の研究者たちに見えている地平とは~」
(2023年3月19日開催/北海道ルスツリゾート)

Web3、メタバース、GenerativeAIとテクノロジーの進化は凄まじい。一方、その多くは幻想で終わる。新たな概念が登場しては世界が興奮し、幻滅に変わる。その中の一握りのテクノロジーの登場が世界を変える。イノベーションの大元となるサイエンスの最前線では今何が起こっているのか。トップを走る研究者たちに見えている景色を覗いてみよう。(肩書きは2023年3月19日登壇当時のもの)

00:42 それぞれの立場から見えている、サイエンスの地平

-(染谷氏)世界で初めてゴムシートの上に半導体を集積化する技術を発明し、ロボットの皮膚感覚が得られる研究をした。それを人に貼り付けると、予防医療などで使うことが出来、次世代のウェアラブルとして注目されている。バイタルサインを正確に取得して、医療に役立てたい。
-(川上氏)医学部時代に苦労した用語などをAI化している。今まで病気は病院に来てから治していた。何かが起こる前に見つけて、それを起こさなくする研究をしている。ウェアラブル、唾液などの取りやすいものから手がかりを見つけることをやっている。
-(西内氏)20代は東大医学部で教員をやっていたが、統計手法を作るところではなく使うところがボトルネックだと思い、教員をやめた。統計手法を自動化して売っているのが、現在やっていること。

04:04 それぞれの領域で、もう5年10年したら見える景色

-(染谷氏)これから未病領域が重要。だが健康な人をモニタリングするのは無理。ハードウェアとして実現するために一番難しいのは、どうやってビジネスを成功させるのか。
-(岡島氏)埋め込み型は?
-(染谷氏)海外では進んでいるが、日本では心理的なハードルや認可の問題がある。

06:59 そのような世界観になった時に、病気になりづらくなるのか?

-(川上氏)今の予測は天気予報のように、今までのデータがあって少し先を予測することが多い。病気は少し先を予測しても意味がない。今は予防にお金が出ない。
-(西内氏)統計学は因果推論を大事にする。何をハックすれば解決する、ということを見つけることが大事。
-(川上氏)何でもデータを集めて予測すればいいわけではない。具体的に人体の仕組みのどういう部分に対応していて、それを変えるにはどういう行動をとればいいのか、いうところまで見つけていかないといけない。
-(染谷氏)生体のデータは万能なデータがない。データがどこに溜まって、それをどう統合してどう活用するのか。そのために必要なセンサーの開発は道のりが長い。

10:54 世界に対してのアプローチとして、何が出来るのか、何が足らないのか。

-(西内氏)よくGAFAにデータが集まっているのが脅威だという話があるが、データ取られてもいい、という魅力がある結果そうなっている。データが取られてもいいと思えるサービスデザインを、我々は本気で考えるべき。
-(染谷氏)プライバシーのデータを扱うには、セキュリティが大事。まだ技術的なハードルは高い。
-(川上氏)日本は電子カルテのメーカーが病院ごとに違い、それぞれカスタマイズしてしまうので、なかなかデータが集まらない。あとは連合学習がキーになるのではないか。自分たちがデータを出すのではなく、データを置いておけば共有できる仕組み。

15:00 データの統合は、デジタル庁に依頼すれば出来ること?

-(西内氏)ある種の派閥のようなものがある。統合するフォーマットで揉めていたりする。
-(川上氏)最近「HL7 FHIR」という形式が出て、これで統合が進むと言われている。元々は臨床研究にどう使うかというのが多かったが、最近はAIが出てきたので仮説を決めずに大量のデータから仮説を見つけに行く研究が進んでいる。

17:00 アカデミアと産業界のコラボレーション

-(川上氏)IT企業が病院に入り込んできて病院のデータを取っていくケースが出始めている。特定の企業に医療データを握られてしまうと、生殺与奪の権利が企業側にいってしまう。 -(染谷氏)産学連携は非常に重要で、いかに早く橋渡しするのかがポイント。その中で特許の取り扱い、データの取り扱いをどうするか。既存技術で企業と連携していることはあるが、私がやっているセンサーのビジネスモデルはまだ見えていないので、大手がお金を入れにくい。
-(西内氏)よく研究者の発表に対して、「それ何の役に立つんですか」とインタビューで質問が出るが、それがわかったら苦労しない。
-(川上氏)アカデミアが何をやるのかを真剣に考えないといけない。研究費はGoogleの1社だけで 、科研費の10倍くらい持っている。アーリーフェーズでアカデミアがやらないと、存在意義がなくなる。
-(西内氏)ニューラルネットワークは私が大学時代で習ったとき、うまくいかなかったダサい技術と紹介されていた。その状況から研究をし続けた人がいたから、ディープラーニングが生まれた。そのような多様性が大事。
-(岡島氏)選択と集中は基礎分野で言えば、害悪でしかいない。 -(染谷氏)発明と言うのは、ある瞬間にある個人の頭の中で起こる。そういう人が伸び伸びとやれる環境を整えることが重要。半導体分野では、フラッシュメモリーを東芝が開発した。発明することを支援する社会であることが必要。
ー(川上氏)基礎研究と産学連携、社会実装などはレイヤーを分けないといけない。アメリカのNSFでも使われている三層構造を意識する。
-(染谷氏)基礎研究だけ特化してやりつつも、社会との接点を持っていることが重要。量子がその例。タイミングを見誤ると事業で失敗するという事が起こる。
-(川上氏)自分が研究している技術がこの後どういう風に使われていくのかと、そのビジョンをそれぞれのレイヤーの人 が持ち続けることが重要。
-(西内氏)日本のアカデミアにはなくてアメリカにもあることがある。ひとつはリサーチデザイン。 研究者も本人の才覚や アイディアに任せず、体系的に発明をする、ある種のメタスキルを普及させることが大事。もうひとつはプロジェクトマネジメント力。これはスプートニクショックから生まれた概念。こういうことをアカデミアを教えても良いのではないか。
-(染谷氏)大賛成。基礎研究は個人の興味だが、実現のアプローチの方法論は色々教えようがある。 -(川上氏)今までの基礎研究室はマイクロマネジメントしすぎ。

32:45 大学でリサーチデザインとプロジェクトマネジメントは教えなければならない。

-(西内氏)大学1年目の基礎科目に取り入れるべき。
-(染谷氏)発明は個性から生まれる。個性を大事にして変わっていることこそ価値があることだと小さい頃から教えるべき。そうすれば日本から新しいサイエンスが生まれ、社会実装につながる仕組みに繋がるのではないか。

34:00 個性を大切にする教育の在り方

-(染谷氏)G1の精神そのもの。批判より提案を、思想から行動へ、リーダーとしての自覚。東大の1,2年生がこのことを理解し始めたら、本当に日本は変わる。
-(川上氏)今千葉大医学部1年生に、AIとプログラミングの授業をやっている。医者は受け身が多いので、大学の早いうちから自分で手を動かすということをやって欲しいと思っている。
-(西内氏)子どもは、何かハマるものは絶対にあるはず。そこを強化してあげると、AIがどれだけ普及しても誰も勝てない強みになるはず。

38:48 会場からの質疑

-政治・行政に訴えても難しいし、財界側は利益にならないと動けない。結局アカデミア側から突き抜けるスタートアップを作るしかないのか?
-(川上氏)アカデミア発のスタートアップを作っていくしかないと思う。データに基づいてこういうものが出来たという手順を踏まなければならない。

41:42 会場からの質疑

-小さな子どもの行方不明の事件などもあるが、例えばマイクロチップを埋め込んでGPSなどで追う、という可能性は?
-(染谷氏)テクノロジー的には出来るが、仕組みと社会的なコンセンサスづくりの問題。

43:02 会場からの質疑

-ChatGPTが出て、SAPIXもいらないだろうなと思っている。子どもに何をやらせればいい?
-(西内氏)基礎的なリテラシーや世の中の自然だとか社会の仕組は、意外と大事だと思う。それがあることによってレバレッジが効く。
-(川上氏)身体性が重要なのかなと。AIは自分から世界を広げていけない。自分で手を動かすことができることが重要。

46:06 会場からの質疑

-リサーチデザインのことを教えられる人材がいない。
-(染谷氏)いなければ湧いて出てくるわけではないので、作るしかない。育成するしかない。
-(西内氏)アメリカのリサーチデザインの先生は両パターン。色々本を読んでみて良さそうな人のところに行くか、送り込んで学ばせるのがいいのかも。

48:27 会場からの質疑

ー自分の子どもを研究者にしたいか。アートとサイエンスの融合について
-(西内氏)自分なら、子どもが研究者に薦める。人間がやることはアートと研究とスポーツくらいしか残らないのではないか。
-(染谷氏)研究者は高校生の人気職業ランキングの上位。アーティストも研究者も、そんなものは意味はないと言われる、常識と戦い世界を変える人。
-(川上氏)アカデミアで成功するとこうなれる、というのを見せないといけない。
-(染谷氏)アーティストも起業家も収入ゼロの可能性はあるが、研究者は一定生活が保障される。

53:44 アートとサイエンスという観点から、スプツニ子!氏のコメント

-AI時代にやることは研究、アート、起業家。そこを育てる教育方法として、自分軸を持たせることが大事なのかもしれない。
-(染谷氏)新しいものを生み出すのに、多様性の推進は極めて重要。女子中高生に先端技術にやデータ活用に興味を持ってもらいたい。

55:54 会場からの質疑

-Aiが進むと、現在のパラダイムの中でしかサイエンスが発展しないのではないか。
ー(西内氏)我々が枠を考えなければならない。日本発の何々学という枠が足りていない。

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