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「ゲーム×日本文化」は外貨獲得のチャンス!メタバース・AIを組み合わせた新たな可能性は?~里見治紀×田中良和×赤川隼一×石黒不二代

投稿日:2023/06/01更新日:2023/12/13

G1サミット2023
第5部分科会T「ゲームから拡がるメタバースの未来~Beyond Gameの世界へ~」
(2023年3月19日開催/北海道ルスツリゾート)

VR/AR(仮想現実/拡張現実)など「メタバース」関連のテクノロジーは着実に進化している。ゲームに加え、VRショッピングやAR画面での情報提供など、新たなサービスがゲーム以外にも拡がっていく可能性は大きい。ゲームが拡げるメタバース市場は今後どのように開拓されていくのか。メタバースの現在位置とビジネスの可能性を探る。(肩書きは2023年3月19日登壇当時のもの)

00:45 それぞれが考える「メタバースとは」

-(赤川氏)今この瞬間に「メタバースをやりたい」というユーザーはほぼ存在しない。メタバースではなく、フォートナイトやロブロックスなど滞在時間が長くなるサービスが欲されている。必ずしもVR/ARに特化されるものではないとアンドリーセン・ホロウィッツも明確に話していること。一番重要なのは、没入感(ソーシャル・イマージョン)がキーワード。
-(里見氏)セガサミーでは、3つの定義がある。1つ目がデジタルツイン、2つ目がゼロから作るバーチャル空間、3つ目がゲームが大人気になって人が集まり、ゲーム以外の遊びを提供すること。セガサミーとしては3つ目をやろうとしている。没入感さえあれば、VRでなくともスマホでもパソコンでもいいと思っている。

04:18 ゲームの定義とは?

-(里見氏)30億人のゲーマーにコンテンツを届けると社内では言っているが、それはプレイヤーとは区別している。実はプレイヤー以上に、人が遊んでいるのを見る「ビューアー」が多い。配信者、eスポーツ、実況者、スポンサーなどを含めて30億人。
--(赤川氏)私がゲームの定義でよく使うのが、「インタラクションを前提としたエンターテインメント」。

05:30 メタバースは、ゲームと交わって大きな世界観を作る可能性がある

-(田中氏)メタバースを言葉で表現するのは難しい。SNSが誕生した時も同じ。Facebookを見た瞬間に、Twitterで何十個もアカウントを持ったりすることを思いつかなかった。今はまだメタバースの入口で、初めてFacebookを見た日にいる状況。
ー(田中氏)ソーシャルメディアもかつては1つになると言われていたが、今は無数にある。なので、メタバースも1個に収斂するわけがない。もう1つ大切なのは、日曜日に渋谷のスタバに行くように、意味のないことをして楽しむのが一般的な社会生活。メタバースも同じ。
-(里見氏)それが今、Metaが苦しんでいるメタバース。うまくいかず、オワコン感が出てしまっているのが課題。

09:07 Web3とメタバースについて

-(里見氏)全くの別物。将来的にNFTとかとくっついて、初めてWeb3になる。現状のメタバースはWeb2.0。
-(赤川氏)Web3もメタバースも一旦の幻滅期的な時期。ただAIも3~4年前はそうだった。ChatGPTは、チャットというUIをきっかけに一気にブレイクした。ARも普及しないと言われるが、InstagramやSNOWで顔を盛れるのはAR。この瞬間のメタバースは、Web 3と密接というわけではない。メタバースの概念で、インターオペラビリティ(相互運用性)という単語が 海外ではよく飛び交っている。これでどのように追いかけていくかというところで、Web3のブロックチェーンやDAOがリンクしてくる。
-(田中氏)Web3の象徴的なサービスは、ビットコイン。すごさは、運営者の主体がないこと。Web3の究極のコンセプトは、管理する人がいない、取り締まれないこと。Web3上にあるトランザクションは消せない。キラーアプリケーションは、全体に消せない掲示板とか。ロシアから金融閉鎖されたお金を逃がすためにビットコインが使われ、同時にウクライナに送金するためにも使われている。Web3は主体がないことによる、本当のオープン性が革命的。

15:25 メタバース・Web3・AIの概念が拡張している

-(里見氏)メタバースという言葉がバズッたので、何でもメタバースと言っている状況。本当にメタバースと言えるのは、マインクラフト、ロブロックス、フォートナイトのようなもの。トラヴィス・スコットのコンサートに、同時接続1000万人以上のような、メタ(超越した)な経験。
-(里見氏)ザッカーバーグが恐れているのは、FacebookやInstagramをしなくなって、バーチャル世界でみんな交流するようになること。まだすることがないから、何もコミュニティが生まれていない。

19:20 Second Life(セカンドライフ)は失敗例?

-(赤川氏)セカンドライフは実は今、利益を出している。みんな忘れた頃にすごく儲かってる。人が欲しがるものだったら残る、メタバースだから人が行くわけではない。コミュニケーションは面白い。対話型AIが実装されることで、より発展していく。ドラクエの村人にGPTをかませて、村人が毎回違うことを言ってくれることも始まっている。
-(里見氏)事前に石黒氏がChatGPTに聞いたら、「セカンドライフはオワコン」と言われたが、メディアで話題にならないからAIが学習していないだけ。
-(石黒氏)ChatGPTに「セカンドライフ、何で失敗したのか」と失敗前提で聴いていた。中にいるだけで、何もしないのはつまらないと言われた。

22:53 AIがメタバース、ゲームと絡むと、どのような世界になるのか

-(田中氏)Generative AIの登場に衝撃を受けた。初めてアメリカでモザイクやEメールを見たときを超えるようなもの。すごいのは、Generativeはその中で発信できることが今までの価値概念と全く違う。AIグラビアが劇的に流行っている。放送と出版の領域において、AIが出したものをみんなが見ている状況が起こっている。これが派生すると出版が無限になり、Amazonの検索システムが崩壊する。これがインターネットでの口コミでも起こる。
-(田中氏)メタバースの話に戻すと、メタバースの概念そのものがリアル世界への浸食が始まっている。政治分野でも、AIに対抗する発想で取り組まないといけない。
-(里見氏)著作権の問題がこれから出てくる。アメリカではAIに著作権がないという話が出ていた。
ー(田中氏)例えばディズニー映画を全部クロールして、それを基にディズニーぽい映画を作ったら、ディズニーの著作権を犯してるのかという問題がある。これが今訴訟になってて、アメリカでAI は人間じゃないから、著作権はない、という 判決が出ている。変な話、日本中の著作物を全部クロールして、それっぽい同様なものをAIが作っ たと主張すれば、著作物がないわけなので日本で配信すればフリー化される。新しいアメリカ的パラダイムが起こっている。

30:30 日本という国をどうしていきたいかのパーパスを決める必要がある。

-(田中氏)現状AIはインターネットにあるものを学習しているが、全日本国民の銀行送金データ、LINEの言語データなどインターネットにないものもある。これらが組み込まれたら、何が起きるのか。監視カメラなど無限にデータがあるが活用できななかったものがある。これらを国家レベルで試すというのはあるのではないか。
-(赤川氏)AIと何かの掛け算で劇的に進化が早くなる。画像生成AI「ミッド・ジャーニー」でも、新しいものが出てきた。

34:47 Web3において、AIと掛け合わさった世界とは

-(田中氏)Web2.0当時も口コミなんか見ないと言われていた。10年後に人間が作ったものを見ているのか?コンテンツの総量が全く違う。
-(里見氏)もう2つくらいトレンドが起きていて、X to Earnとゲーミフィケーション。X to Earnは、何かすればお金を稼げるという仕組みで、東南アジアで流行っている。ゲーミフィケーションは企業の課題解決につながるもので、東京ガスの「ふろ恋」など。
ー(赤川氏)ゲーミフィケーションも10年前からあるが、さらに加速することが考えられる。
-(田中氏)ついにAIがゲームを作るプログラムをできるようになった。AIはゲーム作りという領域まで転用可能になっている。

44:32 会場からの質疑:どうやってこの領域で稼ぐのか?

-(里見氏)日本人は貧困層なので、為替も安いので、日本人のエンジニアが一番安い。日本で雇用して、世界で売って、外貨を稼ぐ方が儲かる。
-(石黒氏)エンジニアの質は変わらないが、給与格差が新卒で5倍くらいある。
-(里見氏)日本はQOLが充実しているので、貧しい生活をしているわけではない。
-(赤川氏)ソーシャルゲームが出てきたとき、アメリカ人はガチャなんかやらないと言っていたが、一時期、フォートナイトの売上の多くがガチャになっていた(*現在はフォートナイトは売上システムを変更している)。信じてやり続けることが大事。
-(里見氏)セガも、家庭用ゲーム機で言えば、9割が海外。
-(赤川氏)ソーシャルゲームが出てきたとき、アメリカ人はガチャなんかやらないと言っていたが、フォートナイトの売上のほとんどがガチャ。信じてやり続けることが大事。
-(田中氏)日本で作ったゲームを売るとき、文化をどのように加工するかでもっと高く売れるはず。
-(里見氏)外国人が日本の声優でアニメを見て、英語の字幕を見るようになっている。
-(石黒氏)日本の文化のポテンシャルはものすごくある。
-(田中氏)フランス人が歴史的建造物について詳しいのと同じで、日本人はゲームに詳しい。

54:51 会場からの質疑:マーケットが拡大すると、ユーザーの遊び方の変化は?

-(赤川氏)一緒にゲームしたり、アイテムをプレゼントしたり。コミュニケーションハブとして、ゲームの価値は上がっていく。
-(里見氏)ゲームは大人が遊んでいるから、マーケットが大きくなっている。見てる人(ビューアー)が、ゲーム自体に影響を与えられるゲームが出てきてる。

59:14 石黒氏のラップアップ

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