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Z世代と他世代との差異と共通点を知ることで彼らが活きる

投稿日:2022/11/11

今年9月発売の『MBA 2030年の基礎知識100』から「第4章45 Z世代が企業の主力になる」を紹介します。

最近「Z世代マーケティング」などと言う言葉がよく使われます。Z世代の定義は人によって多少差がありますが、概ね1990年代後半から2011年の東日本大震災頃までに生まれた世代を指します。2022年現在は、10歳から25歳程度くらいと考えていいでしょう。Z世代マーケティングは、これから購買のメインストリームとなっていく彼らを早期に囲い込もうというマーケティング戦略です。そして2030年頃には、彼らは単なる若手購買者ではなく、企業の若手社員、早い人はマネジャーとなっていきます。彼らの力を最大に引き出すことがその後の企業の命運を左右するようになるといってもいいでしょう。Z世代の特徴は本論に譲りますが、彼らも異星人というわけではありません。確かに今までの世代以上に意識ギャップなどは大きいかもしれませんが、同じ人間であり、生活者でもあります。違いは違いとして理解したうえできめ細かなマネジメントを行うと同時に、その共通点に着目したリーダーシップ――皆が共感するパーパスやビジョン作りなど――も同時並行で必要になるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、PHP研究所のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

Z世代が起業の主力になる――「共感」のマネジメントが重要に

2030年にはZ世代が30代前後となり、企業の主力となっていきます。Z世代は、それまでの世代とさまざまな点で価値観が異なると指摘されています。具体的には以下のような点です。

  • 物心がついた時にはインターネットのブロードバンド環境があった、真のデジタル・ネイティブ世代
  • SNSやスマホを使いこなす
  • 個人主義や「自分らしさ」へのこだわりが日本人としては強い
  • 社会問題への関心が強い
  • 特定の企業に対する帰属意識が弱い
  • 能力開発に対する関心が強い
  • 日本が元気だった時代を知らない

これまで日本企業はよくも悪くも同質性が高く、特にゼネラリストについてはメンバーシップ型雇用により「会社の色に染める」ということが重視されてきました。一方で、Z世代は自分らしさを重視しますから、容易には会社の色に染まりません。特に、不合理と彼らが考えることはしたがりません。例えば、意味のないと思われる残業や「雑巾がけ」的な仕事です。こうした仕事を押し付けることは、やる気を削ぐだけではなく、嫌悪感を引き起こすことにつながりかねません。

「18時になったから帰ります」「明日は絶対に趣味の時間に使いたいので休みたいです」と主張する人間も増えることが予想されています。特定の会社に対する帰属意識も弱いですから、「自分らしくいられない」と考えると転職もいとわないことが想定されます。Z世代以前の管理職にとっては、非常にマネジメントが難しい世代と言えます。そうした人材がどんどんマネジャー層へと成長していくのです。

一方で、人間である以上、普遍のものもあります。内発的な動機が湧くものには熱中する、自分の有能さが証明される仕事をしたがる、自己実現欲求や承認欲求、愛と所属の欲求を満たしたい、などです。

上司としては、それまでの世代以上に丁寧にコミュニケーションや観察をし、彼らが何に価値観を抱いているかを理解することが必要になります。上意下達の一方的な命令方式は通用しにくくなり、丁寧な説明やコーチングなどが今まで以上に重要になってきます。また、業務のアサインメントについても、彼らが価値を感じるものを中心に考える必要性が生じるでしょう(もちろん、すべての仕事をそれで満たすことはできないので、バランスが重要です)。プライベートを重視する人も増えますから、それに合わせた仕事の割り振りも求められます。

キーワードは「共感」でしょう。彼らの考え方や嗜好をリスペクトしたうえで、どうやったら同じ方向に向けて一緒に頑張っていけるかをしっかり考えることが必要です。マネジメントの基本は個別対応です。「Z世代」とひとくくりにするのではなく、一人ひとりの個性に応じたマネジメントが必要になります。

Z世代のマネジメントの難しさについて述べましたが、一方で、彼らは社会的価値やダイバーシティに対しては柔軟です。また、ITに対する感度は高いですから、それは活かしたいところです。例えば、業務の中に社会貢献的な要素をより盛り込むことで、彼らのモチベーションが上がる可能性があります。あるいは、デジタル関係の事柄については、彼らからの提言をどんどん取り入れることが、会社をよい方向に導くかもしれません。

彼らは「自分は自分」と言いつつも、その会社に入った理由は必ずあります。特に経営理念やビジョンへの共感は大切です。それを軸に据えながらも、彼ら個々のニーズを充足することが、マネジメントの基本となるでしょう。

MBA 2030年の基礎知識100
著者:グロービス 著・編集:嶋田毅 発行日:2022/9/22 価格:2,145円 発行元:PHP研究所

グロービス出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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