三段論法をマスターする鍵は「ベン図」の理解にあるー『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』

7月発売の『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』から「Chaper7集合」の一部を紹介します。

三段論法はクリティカル・シンキングや論理思考などでもおなじみの、演繹的な結論づけの最もオーソドックスな形です。単純ゆえにその説得力は抜群であり、これを使いこなせることはビジネスリーダーの必須要件です。実は、この三段論法は、数学でいうベン図、つまり集合の関係性を示した図を用いることでその妥当性の高さを検証することができます。必要条件としての妥当性が高いほど、すなわちベン図を書いたときに例外がなく普遍性が高いほど、説得力は高まるのです。こうした部分においても数学的素養は武器になることは覚えておきたいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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 三段論法への応用

論理思考の面白い側面は、必要条件や十分条件は、三段論法(厳密には仮言三段論法といいます)、すなわち演繹的な論理展開に当てはめることができるということです。有名なのは以下です。

  • 大前提:人はいつか死ぬ
  • 小前提:ソクラテスは人間である
  • 結論:ソクラテスはいつか死ぬ

ベン図で説明すれば図のように表せます(厳密には三段論法のベン図には多数のものがありますが、ここでは最も単純なもののみを示しています)。

人はいつか死ぬものであり、ソクラテスも人である以上、いつかは死ぬという結論になります。三段論法は、数学的には以下のように表現できます。

  • A⇒B:真(ソクラテスは人間である)
  • B⇒C:真(すべての人間はいつか死ぬ)

が成り立つ時、

  • A⇒C:真(ソクラテスはいつか死ぬ)

同じような三段論法は、以下のようなケースでも使えます。

  • 大前提:iPhoneシリーズではOSは自動更新される
  • 小前提:iPhone SEはiPhoneシリーズである
  • 結論:iPhone SEのOSは自動更新される

  • 大前提:アメリカのトップビジネススクールは多額の寄付金を受け取っている
  • 小前提:ウォートンビジネススクールはアメリカのトップビジネススクールである
  • 結論:ウォートンビジネススクールは多額の寄付金を受け取っている

  • 大前提:どんな製品もいつかは成熟期を迎える
  • 小前提:Aは製品である
  • 結論:Aはいつか成熟期を迎える

  • 大前提:小売業では規模の経済性が働きやすい
  • 小前提:B社は小売業だ
  • 結論:B社は規模の経済性の影響を受けるだろう

これらの大前提は「人はいつか死ぬ」ほどの絶対的な正しさはないですが、過去の事例や他事例をみた時、きわめて真に近いものと考えられます。

ビジネスの世界では絶対的な真理はなかなかないので、極力「真に近い」大前提を多く知っておくことが必要です。MBAでさまざまなビジネスの理論や法則を学ぶ意義もそこにあります。「真に近い」大前提を活用することができれば、小前提と合わせ、より納得感の高い結論を引き出せるのです。

『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』
著者:グロービス 執筆:嶋田毅 発行日:2022/7/29 価格:1,760円 発行元:東洋経済新報社

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