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読書の秋に読みたいおすすめ書籍5選―2021

投稿日:2021/11/06更新日:2021/11/08

読書の秋に読みたい書籍5冊をグロービス経営大学院の教員が紹介します。変化を捉え、自分を見つめ思索を深めるにはぴったりの5冊です。前回(夏休み版)はこちら

アフリカのイメージを一新させるファクトフルネス

推薦者:小川 智子

「これからの時代はアフリカだ」

「アフリカ経済が成長している」

「アフリカではデジタル変革が活況だ」

などの言葉を、多くの方が聞いたことがあるのではないか。本書はそれが一体どういうことなのかが、ファクトベースに、多面的かつ具体的に描かれている一冊だ。紛争や飢餓、というイメージとは違うアフリカの一面を垣間見ることができる。

アフリカは、インドの10倍の面積があり、現在約13億の人が住み、2050年には25億人(世界の25%)に到達する見込みである。本書によれば、その内の多くの国が、日本が過去に通った経済成長と同じような道を進んでいるという。つまり過去の日本の成長の軌跡から、今後起こりうるアフリカ経済の成長が予測できるため、日本企業に多くのビジネスチャンスがあるのだ。

そのほかにも様々な興味深いファクトが書かれているが、中でも特におすすめしたいのがアフリカのデジタル・テクノロジーによるイノベーションの実態を知れることだ。実は先進国で「既存の製品・サービスに囚われて発想できない」「良いアイデアだが実現を阻まれる」ようなイノベーションが、アフリカでは次々に生まれている。これまでインフラやサービスが満足する形でなかったために、ありたいサービスを、最新のデジタル・テクノロジーの力を借りてしがらみなく実装できるためだ。

急速に成長・変化する世の中では、世界視野で物事を捉え、過去に得た情報を定期的にアップデートしないと、自分たちが取り残されていくかもしれない、ということを気づかせてくれる書籍である。

超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図

著者:椿 進 発行日:2021/5/28 価格:1,980円 出版社:東洋経済新報社

最後通牒ゲームで見えてくる、人類の奥深い心理

推薦者:溜田 信

標題の「最後通牒ゲーム」は、経済学の中でゲーム理論を教える際に定番となっている問題である(「囚人のジレンマ」もその一つだ)。

簡単に言うと、「実験者2人を選んで、片方(Aさんとする)に“1000円を渡します。このお金をもう片方の方(Bさんとする)に分けてください。分け方は自由です。が、Bさんが提案に納得しなければ、その1000円は返してもらいます”と告げ、Bさんにも、そのルールを伝える」というゲームだ。

経済学的には、Aさんは1円だけBさんに渡すのが正解とされている。Bさんにとっては、たとえ提案されたのが1円であったとしても、自身の利得がゼロになってしまうノーという選択肢を選ぶことは合理的ではない、という考えだ。この実験は世界中で行われているのだが、Aさんからの提案の最頻値は400円から500円、平均では300円から400円だという。しかもBさんの方はというと、少額の提案(200円から300円)なら拒否するというのだ。

本書ではこのAさんの心理の裏側にあるもの、Bさんの心理の裏側にあるものを、最新の進化心理学などの実験結果を参照しながら深く考察していくのだが、その先には、「人間は裏切り者を許さない」とか、「男性の方が、人を罰することに喜びを感じる」といった、ショッキングな内容に展開していく。更にそれらは最近問題になっている「止まらないネット上での誹謗中傷」や、「社会が分断する理由」といった事象につながる、人類の奥深い心理にまで到達していくのである。

不思議なもので、面白い本とは偶然に出会うことが多い。そんな偶然を信じて、この記事を見た方は、本書を是非手に取ってみて欲しい。

最後通牒ゲームの謎  進化心理学からみた行動ゲーム理論入門

著者:小林 佳世子 発行日:2021/6/22 価格:2,090円 出版社:日本評論社

「わたし」が「やってみる」を後押しをしてくれる一冊

推薦者:難波 美帆

みなさんは、今、何か解決したい社会課題をお持ちだろうか。実は、私はある。

「社会課題」というぐらいだから、私個人にだけ関係があり、深刻化すると私個人だけが困るものではない。社会全体の広範な人に影響があり、それゆえに関心が高いであろう課題だ。しかしながら、この課題には解決のきざしがない。そのうち自然に消えて解決する可能性は低く、放置すれば取り返しがつかなくなるか、取り返すのにとても長い時間がかかるかもしれない。なぜだ。なぜこんなことになっているのか。なぜ人々は解決に向けて動かないのか。じわじわと課題化しているので、みんな気づいていないのか。気づいてはいるが解決に失敗し続けているのか。誰が解決するかを決められないのか。

この課題について、私は誰に言われたわけでもないが、「私が」解決しようと思い立ち、どうしたらいいのか考え始めた時に、本書が出版された。いや、逆だ。当初問題の存在も朧にしか見えておらず、またそれを自分の問題だとは認識していなかったが、この本を読んで、そこに「社会課題」が存在し、それは誰かが解決してくれるものではなく、気づいた自分が動くことからしか解決しないんじゃないかと考えるようになったのだ。

本書は、スタンフォード大学で2003年に創刊された、社会課題にまつわる研究と実践について発信するメディア『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー』から10本の傑作論文をピックアップしている。日本版の発起人である井上英之さんは、「一般のビジネスパーソンを意識して論文を選んだ」と記している。本書巻頭言には、『「わたし」から物語を始めよう』とタイトルが付けられ、“「わたし(私)」という存在が、「やってみる」こと”を本書により伝えたいと述べられている。

「わたし」は今、帯に書かれているように、本書の10の叡智に背中を押され、「やってみよう」としている。「やってみる」ことに関心があったり、「やってみたこと」をお持ちの方がいれば、知恵を共有してほしい。

これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。――スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー ベストセレクション10

編集:SSIR Japan 発行日:2021/8/27 価格:2,970円 出版社:英治出版

法務知識は避けて通れない教養となりつつある

推薦者:嶋田 毅

本書は、30年以上にわたり国内・国際法務の最前線で活躍した著者が、実際の事例をベースにしたケースや対話を題材に、法務の大切さや、法務とビジネスの関係について分かりやすく語ったものだ。想定読者は企業法務の実務者や法律専攻の学生と思われるが、一般のビジネスパーソンにとっても参考になる部分が大である。

多くのビジネスパーソンにとっては、他企業との契約内容などを詳細に検討したことなどないかもしれない。しかし、そこを深く考えずに他人任せにして契約締結したり、自分勝手な法律解釈で先走ると、想定しないリスクに晒される可能性もある。法務部門の人間であっても、ビジネスの実態を知らずに書類だけのチェックに終わると、企業の価値を損ねる可能性があるという本書のメッセ―ジはビジネスパーソンとして強く意識すべきポイントであろう。

特に昨今は多くの企業で法律が重要となるグローバル取引が増えているし、法律的解釈がグレーな領域も増している。そうした中、いかに企業法務と連携しながらリスクを避け、企業価値を高めるかは、リーダーにとって避けて通れない素養となりつつあることを実感させてくれる。交渉術の参考図書としても読むことができる1冊である。

ここからはじめる企業法務――未来をかたちにするマインドセット

著者:登島 和弘 発行日:2021/10/8 価格:1,980円 出版社:英治出版

DX推進の具体的かつ分かりやすい指南書

推薦者:平野 善隆

テクノベート時代のマーケティングで重要なことは、お客様に良質なUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供することです。オンライン・オフラインを問わず、お客様にとって「いつでもありがたい」存在にならなければ、お客様は離れていってしまいます。従い、お客様にとっての喜びに思いをはせ、最高のユーザー体験を設計し、お客様を支援していくことが求められているのです。

それだけUXの重要性は分かっているものの、具体的にどのように進めていけば良いか?と問われると、なかなか先に進めない方も多いのではないでしょうか?

本書はそんな悩みに対して、UXの企画・推進・改善さらには組織体制のつくり方までを、分かりやすいステップで、具体的な“作業のコツ”とともに教えてくれています。『アフターデジタル』『アフターデジタル2』の続編として出されたもので、前2作も分かりやすい書籍でしたが、今作は「こんなにノウハウ公開しちゃって大丈夫!?」とつい心配してしまうぐらいの、実践的な知見が詰め込まれています。

さらに、これらの処方箋は「既存だけでなく新規サービス」にも、「事業部だけでなく全社の変革」にも対応して書かれており、どんな立場の方でも役に立つ構成で書かれています。これを忠実にやり切ることができたら、DXが大きく前進すると感じさせてくれる一冊です。

UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論

著者:藤井 保文、小城 崇、佐藤 駿 発行日:2021/9/16 価格:3,520円 出版社:日経BP

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