人材育成・組織開発コンサルタントの井上佳です。
私は、グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣さんの“ベンチャー投資の新潮流「6テック」って何?”を推薦します。これは、グロービスの社内勉強会「テクノベート元年 2016年のインターネット潮流(総論編)」をテキストに書き起こしたものです。昨今、「技術の進化によって世の中や企業経営が変わる!」という言葉は耳にタコができるほど聞きますが、危機感が煽られるばかりで、実際に何がどう変わるのかを深く考えるところまで至りません。この講演は、ベンチャーキャピタリストの視点から最も注目すべき技術領域を6つに絞り、「6Tech」としてブレークダウンしています。そのため、より現実に引きつけて思考を投入するためのヒントを与えてくれるのです。
2016年度にあるICT系企業で新規事業創出を目指したリーダー研修を行った時のことです。上期・下期で分けたのですが、上期の班からの最終提案には今ひとつ切れ味が足りません。「AI」「IoT」「インダストリー4.0」といったキーワードは盛り込まれているのですが、全体的に表層的なのです。そこで、下期のグループには“ベンチャー投資の新潮流「6テック」って何?”を事前に読み込んでくることを宿題として課しました。すると、研修初日から参加者の皆さんの「テクノロジー」に関する議論が一段深いレベルから進んでいくのです。自分たちの産業が危うくなる可能性、世の中は知らないうちに進んでいることに危機感を感じ、この記事をきっかけに自主的に深く調べてきている様子が伺えました。
経営には「鳥の目」(全体を俯瞰する)、「虫の目」(現場・足元を精査する)、「魚の目」(時代の流れをキャッチする)が必要だと言われます。テクノベート(テクノロジー×イノベーション)の時代は特に変化のスピードが速いので、リーダーは「魚の目」の視点をこれまで以上に強く意識する必要があります。そのためには適切なインプットが必要です。時代の激しい流れを感じながら、ぜひ読み込み、議論していただきたい1本です。