G1中部2016
第4部分科会B「移民政策と地域のかたち ~ブラジリアンコミュニティと浜松・鈴鹿~」
1989年の出入国管理法の改正以来、製造業の現場では多くの外国人労働者が汗を流している。すでに浜松市で7000人、鈴鹿市では5000人ものブラジル人が地域の中でコミュニティを形成している。政府が移民の是非を議論をしている間に、地域の姿はより多民族・多文化共生へ向かい、地方政府はその就労や学校、暮らしの問題など現実的な対応を迫られている。両市市長の問題意識をベースに、国が責任を持って総合的な移民政策を策定すべきと主張する河野氏、外国人・留学生を積極的に受け入れている丸八HDの岡本氏が考える、これからのダイバーシティと地域のかたち、そして国家像。(肩書きは2016年10月15日登壇当時のもの)
<動画冒頭をテキストでご紹介>
鈴木氏: モデレーターは本当はあまり喋ってはいけないので、なるべくパネラーの皆さんにふっていきたいのですが、最初に私から少し問題提起をさせていただきます。
後ほど、河野さんから今の政府の取り組み等についてもお話いただきたいのですが、ご存じの通り、人口減少社会に突入しました。これから日本はどうしていくのかという中、安倍政権の成長戦略の「外国人の人材を活用していこう」というのが大きな柱になっています。
じゃあこれから究極、日本は移民の問題、あるいは外国人の受け入れの問題とどう向き合っていくのかということですが、実はもうすでに25年の歴史がございまして、ご存じの方も多いと思いますが、1990年に入管法が改正されました。当時はバブルで景気の良い頃で、人手が足りないという経済界の圧力を受け、日系南米人に限って特例で労働者として入れるのを認めようということになり、大挙して日系ブラジル人や日系ペルー人の皆さんが日本に来られました。
当時は短期の労働で稼いで帰るだろうということで入れたのですが、実は多くの皆さんが定住化しています。
今日お越しの鈴鹿市さんもそうですし、私ども浜松市もそうです。結局、入れたのは良いけれど、最終的に外国人の皆さんと向き合うのは現場の市町村になるわけです。生活習慣の違いから来るトラブル、治安の問題、子ども達の教育の問題、あるいは年金・社会保障や納税の問題、生活していくとなると色々な問題が生じるのです。
そういう問題と自治体は向き合って参りました。それぞれの自治体で向き合えることもあるのですが、やはり国に対して色々な制度の改正などの提言もしていかなくてはならないということで、2001年に浜松市が提唱し、外国人集住都市会議が結成されました。同じような課題を抱える都市が集まり、意見交換したり、国への提言をまとめたりして参りました。その中で外国人住民基本台帳制度が生まれたり、内閣府に定住外国人施策推進室ができたり、一定の成果はあったのですが、やっぱりまだ溝は深いです。そういう中で、我々25年の取り組みがありますので・・・(この続きは動画でご覧ください)