経営・ビジネス書としては異色の本を紹介しよう。シリコンバレーの寵児が著したパフォーマンスを最大化する“最強の食事法”の本だ。IT起業家らしく最新の科学・テクノロジーを駆使して自らの脳や体をハッキング。30万ドル以上を投じて得られた成果をまとめた“人生をアップグレード”する手法がここにある。
本書をおすすめする理由は、実はその食事法そのものではなく、食の知られざる可能性と常識へのチャレンジにある。
1) 食のインパクトは意外なほど大きい!
これまで以上に才能を発揮し毎日最高に輝き続ける自分を想像してみて欲しい。その鍵が“食”にあるということにあなたは驚かれるかもしれない。普段なにげなく口にしている食べ物がどれだけ自分のパフォーマンスを左右しているのか?徹底的に究明しつづけた筆者の見解は以下の通りだ。
「自分の体をきちんとコントロールして望みどおりの結果を出したいとき、食事以上に影響力の大きい要素はない」
「あなたの食べるものはあなたの体重のみならず、IQ(知能指数)、ストレスレベル、病気の危険、パフォーマンス、老化、そして意志力までの基礎なのだ」
「あなたはあなたが食べるもの」(You are what you eat.)
そして食卓をちょっと工夫するだけで「これまで感じたことのないエネルギーと決意、集中力に満たされる」とする。この感覚は「たいていの人は忘れているか、経験したこともない」天の恵みだそうだ。
このインパクトはなかなか無視できまい。さっそく次のそのひと口を見直そう。
2) 常識を疑え!
では、どんな食事をすれば良いのか?“最強の食事法”として紹介されている完全無欠ダイエット(THE BULLETPROOF DIET)は、簡単に言うと脂肪代謝を促すケトン食と半断食を忙しい現代でも楽々できるようアレンジした食事法だ。自分に食材が合うかどうかを診断してくれるアプリ(Bulletproof Food Detective)もあり、至れり尽くせりだ。
内容は非常にユニークで、たとえば朝食の代わりに、“完全無欠コーヒー”と称するコーヒーとバターと油を混ぜ合わせたものを摂るよう推奨している。まず普通では考えられない。
筆者は「これまでに伝えられてきた食についての大半は、マーケティングと誤情報と恐怖心のミックスにもとづいていた。医学的な情報も、『総脂質』や『総コレステロール』などといった測定しやすいことばかりに縦割りで集中してきた。このため体の複雑なシステムについては、見過ごされがちになっている。」とし、まさにその複雑なシステムを徹底的にハッキングしてこれまでの常識にチャレンジしているのだ。
他にも、「脂肪を食べると太る」「カロリーを減らせば体重は落ちる」「フルーツは体に良い」「減量には長時間の運動が必要」「塩が体の不調をつくる」等々の一般通念をダイエットの神話にすぎないとして一蹴している。
何が正しくて何が正しくないのか?リーダーには固定観念にとらわれない思考力が必要だ。あなたも自分の頭と体と心で判断してみて欲しい。そのために以下の類書も参考にすると良いだろう。いずれもあなたの常識にチャレンジする良書だ。
『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(ノバク・ジョコビッチ著/三五館)
『超一流は、なぜ、食事にこだわるのか?』(千田琢哉著/総合法令出版)
『できる男は超少食』(船瀬俊介著/主婦の友社)
最後に、これらの本は決して読んで終わりの本ではない。読み終わってからが真の勝負が始まる。ぜひ新たなチャレンジを楽しんでみて欲しい。
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』
デイヴ・アスプリー著 ダイヤモンド社
本体1,600円+税