世界を変えるデジタルマーケティング~収益貢献につながるコミュニケーション戦略とは~ Part1
企業を取り巻く市場環境はデジタル化により急激に大きく変化している。アドビ システムズは金融や製造、小売にいたるまで、様々な企業にデジタルマーケティングの導入をサポートし、今や「デジタルマーケティングのアドビ システムズ」と呼ばれ、リーダーとしての存在感を強めている。デジタルマーケティングが企業活動にもたらす変化やその影響について、2014年に同社の代表取締役社長に就任した佐分利氏が欧米企業の最新活用事例や自身の経験をふまえて語る(視聴時間1時間2分34秒)。
スピーカー
佐分利 ユージン氏
アドビ システムズ 株式会社 代表取締役社長
【ポイント】
・一般消費者のメディアとの接し方が多様化し、マーケティングの手法もデジタル化が進む中で、マーケティングのオフェンス思考のみならず、ディフェンス思考も重要になる
・最近の消費者は、複数の媒体を組み合わせて情報を収集。古典的メディア+ウェブの構成が圧倒的に増加する一方、媒体に記載される情報に矛盾がある場合、購入を中断してしまう人が59%
・アメリカでは、オンラインメディアが今年初めて、テレビの広告宣伝費を上回る。仕事以外の時間の4.4時間を一般消費者は液晶画面の中で過ごし、液晶画面をメインとした媒体が一般消費者のインタラクションの90%を占める。日本もいずれアメリカのような道筋をたどるだろう
・環境の変化は激しい。顧客の動向もウェブやモバイルアプリから複数の媒体を横断して購入することが一般的。マーケティングも変化し、「PAID/EARNED/OWNED」といったメディアも、EARNEDからOWNEDへの拡張を見せている
・デルタ航空は、システム投資によりパーソナルサービスを提供し、ロイヤリティを高めている。シェアも急伸し、利益率が上がることで競争力も増した。これは、イノベーションを通じ、的確なコンテンツを正しい人に、正しい時に、正しいチャンネルを使って提供し、自分たちのサービスの1つとしたマーケティングの成功例
・顧客との触れ合い方は、“近い将来”ではなく“今”変わってきているとの認識が必要
・日本企業は、マーケティングを営業支援とする認識を捨て去り、差別化の要因として企業戦略の中核に据えなければならない。そのためにも、自社で行うマーケティングがもたらす効果と変革について考え、新しいマーケティング手法を理解した人材を増やすべき
・縦割事業が多い典型的な日本企業は、縦割のいいところを活かしつつも横断して使えるアセットとつなぎ合わせることが必要となる
・デジタルマーケティングの大きな要因は、購買履歴やプロフィールデータから、リピート客へのアプローチがどんどん容易になること。ライフタイムバリューの発想が出てくる
・日系企業がさらなる成長を目指すためには、マーケティングの位置づけを変えていくこと、その中でもデジタルという手段はもっとも重要。こうした取り組みで、競争力を高めることができる
(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの)