G1サミット2012 第12部 分科会
浅尾慶一郎氏×遠藤久夫氏×藤田幸久氏「税と社会保障の一体改革」
日本の一般歳出に占める社会保障費の割合は、今や5割を超えるに至った。社会保障費の多くは将来世代へと先送りされ、少子化の進行と共に現役世代の負担は拡大し、世代間格差の大きな要因となりつつある。社会保障費が年1兆円規模で拡大する中、消費税10%への引き上げのみで、財政健全化と社会保障維持の両立は可能なのか。経済の負担をどう考えるか。「税と社会保障の一体改革」は、少子高齢化に向かうこの国の財政と社会保障問題を、経済の犠牲無しに解決できるのか。2020年までの基礎的財政収支黒字化に向けたマイルストーンと社会保障のあるべき姿を問う(敬称略。肩書は登壇当時のもの)。
浅尾慶一郎 衆議院議員
遠藤久夫 学習院大学 教授
藤田幸久 参議院議員 財務副大臣
小幡績 慶應義塾大学ビジネススクール 准教授(モデレーター)
2012年2月11日 於 青森
・医療の今の流れは、病院の機能を分けて医療と介護の連携を促すこと、在宅医療を進めること、予防重視と後発薬品推進(遠藤)
・高齢化に伴い、医療費全体は公費の割合が増え、自己負担が減る(遠藤)
・保険負担が上がりサービスが変わらないのは、国民の理解を得られない(遠藤)
・医療費据え置きで医療利用制限を厳しくすることに対し、20~30代は賛成、高齢者は反対。医療費負担は、高齢者が増税を支持、若者が自己負担を支持(遠藤)
・毎年1兆円程度が社会保障費として増加しているのが今の日本(藤田)
・地域医療は崩壊状態、社会保障の基本である介護保険制度は守るべき(藤田)
・税金制度と比べて、保険制度はかなりいい加減。社会保障料の徴収漏れはおよそ11兆5000億円(浅尾)
・徴収先の国税局と社会保険庁を統一すればこの徴収漏れは解決可能(浅尾)
・歳入庁については番号制度が前提(藤田)
・スウェーデンでは、国民は国に預金し、医療、年金として受け取るような仕組みになっている。これを日本でも実現すべき(藤田)
・政治主導で進めるには、超党派で取り組まないと難しい(藤田)
・国税庁には、自分達で取り組みたいけれど、社会保険庁と協働したくない、という発想がある(小幡)