来館者も借景にしようと強く意識していた(樋渡氏)
松岡:武雄市図書館について若干補足をしたい。一言で表現すると、あの空間はシームレスだ。図書館エリアの入り口付近となる円筒状の空間には映像コーナーがあって、目の前には無人の貸し出し窓口がある。で、その横にスターバックスがあって、その横では本や雑誌も売っている。そこで「何を買おうかな」と思っているうち、自然と図書館に入っているような造りだ。そこにまったくシームがない。通常、書架には開架式と閉架式があって、閉架では司書の方を通さなければ本を手にとることも出来ない。しかし武雄市図書館はそれもなくしてしまった。すべて開架式で、少し天井が高い神殿のような感じだ。落ち着いたスペースもあれば、がやがやと話が出来るスターバックスのような場もあって、それらすべてがシームレスに繋がっている。(38:46)
また、私はここがポイントだと思うのだが、来ている人が皆、格好良い。ジャージ姿やスリッパを履いた姿で来ていない。「ここに来て本を読んでいる自分はちょっとイケている」と感じることの出来る佇まいがある。それが5万人の地方都市のなかで、シームレスな空間として立ち現れている点が素晴らしいと感じる。(40:09)
樋渡:来館者も借景にしようということを強く意識していた。だから格好が良くないと駄目。実際、オープンしてから10日間前後はジャージ族ばかりだったが、少しずつ駆逐されていった。それで今は地元の服屋さんが儲かっている。これ、すごく良い経済効果だ。当然、観光客も増えている。(40:37)
松岡:あと、くまモンにはかわいいだけではなくブラックなところがあるというか、そこが魅力でもあると思うが、その辺は最初から見越していたのだろうか。(41:11)
水野:性格に関しては、「産みの親ではなく育ての親」だと思う。システムの話を別にすると、「くまモンが売れた一番の理由は性格が良いから」と僕は言っている。“クマ格”が良い。で、やはりその辺は育ってきた過程でつくられていると思う。ちなみに僕が今日樋渡さんにお話ししてみたかったのは、国家戦略特区のことだ。武雄市が国家戦略特区に認定されると面白いのではないかなと思うのだが。(41:23)
首長はイケていないものを治すお医者さんのようなもの(樋渡氏)
樋渡:要りません(会場笑)。皆さん、誤解している。橋本徹さんも言っていたが、実は地方分権は今大変進んでいる。だから首長が「出来ない」と言うのはほとんど言い訳だ。「予算がない」「権限がない」「規制が多い」と言う人はいるが、実際には出来ないことなんて…、ゼロとは言わないが、ほとんどない。図書館も既存制度の範囲ですべて出来た。権限が欲しいと言う首長さん達は、薙刀があれば良い場面で「バズーカ砲をくれ」と言っているようなものだ。そんなものは地方自治体に必要ない。足りない部分もあるが、それは制度改正をお願いすれば良いだけの話で、あとはやっちゃったもの勝ち。図書館についても文科省は当初、すごく嫌がっていた。ただ、出来あがって盛況になったら、「いやあ、良かったね」なんて言っていたし(会場笑)(42:19)
水野:なにかこう、面白い学校が見てみたいと思っていた。(43:23)
樋渡:小学校でやろうと思っていることがある。それも既存制度で出来る。(43:26)
松岡:今後のビジョンについても伺っていきたい。樋渡さんは、これからの武雄市に関してどのようなビジョンをお持ちだろうか。(43;34)
樋渡:僕ら政治家、特に首長というのは、お医者さんと同じだと思っている。市政を人間の体に例えると、「図書館がイケていないから図書館を治していきます」と。病院がイケていないから…、僕はそれでリコールもくらったが、病院を治す。イケていないものを治すことが僕らの役割だ。しかも、それを見せつける。図書館も病院も見せつけたことで駄目な部分を修正していった。で、今度は小学校。あまりにもイケていない金太郎飴状態だからだ。僕は小学生の頃、不登校児だった。そんな自分の経験も踏まえて、小学校教育を、広い意味でデザインの力を借りながら良いものにしていきたい。松岡さんも「シームレスだ」と仰っていたが、僕の哲学はシームレス。僕はよく公私混同と言われるが、違う。“公私一体”。とにかくシームは邪魔。利用者の目線に立って、その価値を高めるためにシームレスにしていきたい。(44:14)
松岡:そこでデザインに何を期待するのだろうか。(45:24)
樋渡:やはり人は目に見えるものでしか判断出来ない。くまモンが尖っていながらも多くの受け入れられているのは、デザインの力だと僕は思う。だからそこはぜひ水野さんの力をお借りしたい。水野さん、一緒に仕事をしてください(会場笑)(45:29)
言語化できるクリエイティブディレクターが求められている(水野氏)
松岡:水野さんはいかがだろう。(45:56)
水野:以前から言っていることが二つある。まずは都市について。まさに樋渡さんが今やっているようなことだ。僕に出来ることは少ないが、樋渡さんのような長の下で一つひとつ最適化出来たらいいなと思っている。で、もう一つが教育。簡単に言うと、「もっと勉強したくなる学校ってないのかな」と。教科書はその好例だ。もう面白くて、面白くて、思わず読んでしまうような教科書をつくることが出来ないものかと思う。そういう部分にデザインのメスが入っていくことで可能性がまた広がるのではないかと。(45:59)
樋渡:それを言いたかった(会場笑)(46:55)
水野:(笑)。で、あとはやはり目の前にあるお仕事を精一杯、出来るだけ早く、出来る限り最高のものにしていくということも常に心掛けている。(46:57)
松岡:楽屋でのお話では、「デザイナーは一人で突っ走る訳でもないし、周りを引っ張っていく役割ばかりでもない。通訳のようなこともやるのだ」と仰っていた。(47:17)
水野:今は通訳が出来るデザイナーが本当に少ない。「言葉にすることじゃないんだよね」なんて、すぐにデザイナーは言う。「うーん…」なんて、考えてもいないのに唸ってみたり(会場笑)。それは、つまり言語能力が低いだけ。僕はべらべら喋るから重宝されるが、言語化出来るデザイナー…、僕はクリエイティブディレクターと呼んでいるが、今はそういう人間が強く求められていると思う。スティーブジョブスも通訳の一人だったと思うし、それはデザイン側から出てくる必要もない。慶応SFCでもクリエイティブディレクターを育てたいと思っているが、それは通訳ということでもある。僕が今担当しているお仕事のなかでも素晴らしいお仕事はたくさんあるし、まあ、世の中の大抵の仕事は良い仕事だ。だから、その仕事をどれだけ良いものにして、きちんと世の中に見せていくことが出来るか。それが最大の使命だし、僕の役割だと思う。(47:37)
樋渡:その辺は政治家にとっても同じだと思う。きちんと言語化出来る人が必要だ。あと、多言語を扱うことの出来る人も。通訳とは少し違うかもしれないが、一定程度、デザインや医療・介護、あるいは観光のことを分かる人も必要だと思う。そういう人達が増えると…、首長は「明るい独裁者」と呼ばれてもおかしくないほどの権限があるから、それを生かすも殺すも皆さん方有権者次第ということになる。僕はそのロールモデルをつくっていきたい。(49:29)
水野:先ほど、「出来るだけ暇にしたいんだ」というお話もしていた。(50:17)
樋渡:今、事務の仕事はすべて副市長と副市長以下の職員達がやっている。企業で言えば社長兼最高執行役員が副市長で会長兼CEOが僕だ。以前、トヨタの会長とお話をしたとき、「会う人は一日二人にして、あとは自由な時間にしろ」と言われた。これ、すごく大事だと思う。ちなみに、「あ、じゃあ今日は僕が二人のうちの一人なんですね」と聞いたら「お前は半人前だから人数に入っていない」と言われたが(会場笑)。とにかく僕は今、時間をつくって地域でぷらぷらしながら個別訪問をしまくっている。トップを忙しくしないというのはすごく大事。ぷらぷらしながら、良い人に会って良い情報を仕入れ、良い決定が出来るような環境にする。僕は本当に暇です(会場笑)(50:21)
松岡:今回も忙しくてつかまらないと思っていたが、すぐつかまった(笑)(51:37)
樋渡:くまモンの100倍ぐらい簡単につかまる。“ひまモン”ですよ。(51:44)
地域を巻き込む秘訣は?(会場質問)
松岡:では、会場からの質問も受けよう。(51:51)
会場1:地域活性化に繋がるデザインということで言うと、実際には多くの首長や担当者がよく分からないままなんとなく発注してしまうというケースも多いと思う。そのなかでもプロセスに育てていく考え方が必要ということであれば、やはり地域を巻き込むことが不可欠だと思うのだが、その辺について皆様はどのようにやっておられるのだろうか。(52:08)
樋渡:話題にすることが大事だと思う。それで皆に「楽しそうだな」と思わせる。僕は変人奇人の類だから例外というのは重々承知しているが、やはり「参加したいね」と思わせる必要はあると思う。僕は市民協働という言葉が大嫌いだ。そうではなく、「結果的に市民協働になっていたね」という話だと思う。だから、「辛い作業だけど楽しい」、「行けばあの人に会える」と、楽しめるような仕掛けを施すことが大事だし、僕はそれをアリーナに見立てている。可視化が大切だ。一年かかるような案件であれば一月に一回くらい、ちょっとした祝祭空間をつくっていく。それでジェットコースターのように上げたり下げたりする訳だ。で、それはスピードがないと話にならない。スピード感を持ってやれば皆が乗ってくるということは、あるとき、だんじり祭を見て分かった(会場笑)。あれが時速200メートルなら誰も乗らない。運営をしている人に話を聞いたのだが、意思決定もめちゃめちゃに速いそうだ。何故かというと、「走るときのためにエネルギーをとっておかないといけないから。事前に決めておくことは最小限にして、あとはどんどんその場で決める」と言っていたのが印象的だった。そこはTTPだ。(53:50)
水野:僕はどちらかというと経営者にお力添えをする立場として、プロジェクトを上手く回していくためのキーマンを見立てている。会社に埋もれている人でも、「あ、この人にはこの仕事が合っているんじゃないかな」と思ったら、経営者の方に「あの人を担当にしていただいてもよろしいですか」と、もう、ずけずけと申しあげる。(55:37)
樋渡:それ、本当に大事だ。出来る人は皆、「あの人が良いから担当にして欲しい。ここであれば力を発揮出来ます」ということをやっている。僕は出来る人と出来ない人の区別をそこでかなりしている。CCCもそれを相当言ってきた。僕らに見えていない部分を見てくださっているし、それで任された本人も頑張るようになる。(56:11)
松岡:チームを構成する経緯もデザインするというか、デザインに巻き込んでいくということだろうか。(56:46)
水野:よく言われるような「2:8の法則」のなかで、びしっと仕事を進める2割の人を見つけるという作業だと思う。で、それは社内でも出来るが、やはり力関係が出来あがっている場合もある。そこで我々のような立場の人間から、「あの方はすごくセンスが良いから入れませんか?」といったことを言う。それが自己の重要感にも繋がるし、結果的にすごく頑張ってくれると思う。(56:50)
“くまモン愛”と“武雄愛”を聞かせて(会場質問)
会場2:水野さんには“くまモン愛”を、樋渡さんには“武雄愛”を、それぞれお伺いしたい。(57:33)
水野:インタビュー等で、「今後、くまモンにどうなって欲しいか」という質問をよく受けるが、僕は「もう十分です」とお答えしている。「ここから先は体を大事に(会場笑)、職務をまっとうしてくれ」と。それが僕の“くまモン愛”になる。(58:43)
樋渡:佐賀の人や武雄の人は出身地を誤魔化すことがある。それは良くないというか…、実際、武雄の大人達は昔から、「武雄にはなんもなか」「佐賀にはなんもなかけん出ていかんばいかん」なんて言い続けていた。そんな地域で子供がまともな大人になる訳はない。だから僕の存在や仕事によって、子供たちのなかに武雄を誇るような気持ちが芽生えたら嬉しいとは思う。以前、ある人に武雄のことを話したら、「カンボジアですか?」と言われてショックを受けた(会場笑)。カンボジアにタケオという地域があるそうだ。でも、そこで「あ、あの図書館があるところだよね」なんていうふうに話題になればいいなと思う。最近はそうなりつつあるし、この仕事を長くやっていると性格が悪くなるのでそろそろ辞めようかと思っている、本当に(会場笑)(59:12)
何を残して、何を捨てるかの基準は?(会場質問)
会場3:クリエイティブな仕事において、最終的に何を残して何を捨てるかという部分で常に悩む。そのあたりについて、樋渡さんや水野さんはどのような基準をお持ちだろう。(01:00:35)
樋渡:それはもう、「最後は自分で」という話になる。人の話を参考にすることはあっても聞くことはない。相談は頻繁にするが、それも何らかの思いがあるから聞くという訳ではない。「樋渡は人の話を聞かない」と良く言われるが、それは本当だ。最後は自分。ゲームであれば、「自分がこのゲームをやりたい。このゲームなら100万本、俺は売って、売って、売りまくる」というものがあるか否か。僕は小学1年生から6年生まで、いつも通知表に「我侭」「自己中心的」と書かれていたし(笑)、自分にはもうそれしか出来ないから、それでやっていこうと思う。(01:01:10)
水野:同意するが、僕はそれをシステマチックに考えていて、51対49で選ぶようにしている。どういうことか。100対ゼロで選ぼうとするとすごく迷うが、51対49で選ぶというのは49の捨て案を認めてあげているということ。切り捨てるものではなく、貯金のようなものだ。それで決断が早くなる。51でも、「1しか上回っていないけれど、もう、こっち」という風に、どんどんスピードが上がる。(01:01:57)
樋渡:僕もそうする。すごくいい。4月の選挙でも受けそうだ(会場笑)(01:02:38)
人口5万人都市がどのようにして「全体のモデル」に?(会場質問)
会場4:樋渡さんは、「全体のモデルになりたい」ということをよく仰っているが、たとえば100万都市の福岡市でない、人口5万人の都市としてどのようなモデル描いていらっしゃるのだろうか。(01:03:00)
樋渡:我が国の都市は、実際にはその大多数が人口5万〜10万になる。従って、100万都市が与える影響と武雄のような5万〜10万都市が与える影響では、後者のほうが大きい。圧倒的に自治体の数が多いから。その辺は強く意識している。だから、福岡や大阪は大都市のモデルになればいいし、武雄のような都市は中小都市のモデルになれば良いと思う。ロールモデルになるのがなぜ良いのかと言えば、最初にやれば大変な数の意見が来るし、注目されるからだ。そこで僕らはさらにモデファイするし、修正もしていく。とにかく一発目になることが重要で、二番煎じでは絶対に駄目。ファーストランナーが最も注目されるから、その辺は強く意識している。(01:03:41)
水野:面白いのは、樋渡さんが今日、「完成させる」、「完璧にやる」ということをまったくおっしゃっていない点だ。もちろん最終的にはそれが求められているし、そこを目指していると思う。ただ、それよりもとにかくやることが大事であると。トライアンドエラーを繰り返し、物事を前に進めていこうとしている点がすごいと思う。(01:04:57)
松岡:そこで大切なのは覚悟ということだろうか。(01:05:20)
樋渡:覚悟以前に、やればやるほど皆が乗ってくるから楽しい。お祭りと一緒だ。だから、「孤独でしょう」とか「覚悟がいるでしょう」とよく聞かれるが、僕にはそういう感覚がない。皆と一緒にチームとしてやっているから。僕なんて単なるワンオブゼム。最近は「要らない」なんて言われているほどだけれど、それが良いと思う。覚悟云々と言っているとしんどくなる。楽しいということが大事だと思う。(01:05:22)
つくりっぱなしてきたものを、どう終わらせるか?(会場質問)
会場5:建築物の再生をしているが、自治体のなかでは数多くのキャラクターや施設をつくった挙句、もう何をやっているのか分からないようになっているところ多いと思う。その意味で言うと、僕らは今までつくりっぱなしにされてきたものをなんとかしなければいけない世代でもあると思う。それらをどのように終わらせて、あるいは終わらせないにしてもどのように続けていくべきだとお考えだろうか。その必要性を感じるか否かも含めてお聞かせいただきたい。(01:06:03)
樋渡:財政難でもあるし、新たにつくることは出来ないと僕は考えている。だから今あるものを大事に活かしていく。図書館も新たにつくらず、強烈なリノベーションをかけた。施設に寿命はあるけれど、その寿命までは幸せに、最後は西方浄土にいくことが出来るようにするのが僕らの役割だと思う。税金で成り立っている以上、そういうことを絶えず考えている。ただ、そのままにするべきか、リノベーションをかけるべきか、または壊して新しいものをつくるべきかという、その価値判断は大切だ。何が何でも残そうとは考えず、何をもって市民価値が上がるのかを、税収や人口の増減といった指標とともに判断する。それが政治の役割だと思う。そのうえで、「じゃあ、やっていこう」という話になれば、そこでデザインや建築の力を借りるということだ。(01:07:14)
水野:僕は淘汰という言葉が好きというか、受け入れざるを得ないと思っている。絶滅危惧種を保護するという考え方はあるし、もちろん意図せぬ絶滅や悲劇として絶滅していこうとしているものを止めることは必要だ。ただ、すべての淘汰を止めてしまうと今もティラノサウルスがいる状態になってしまう。淘汰されていったものは、そうなって然りという理由があったから淘汰されていった面もあると思う。もちろん僕自身の仕事では自分がつくったものを終わらせるというふうに考えたことはないし、ずっと残っていくように考えてつくっている。ただ、それでも終わっていくということは、「きっと淘汰されたのだな」と。まあ、負けたという話だが、そんな発想が大切ではないか。(01:08:27)
突破力のツボは?(会場質問)
会場6:公の分野における樋渡市長の突破力は本当に素晴らしいと思う。私も外務省で官僚をやっていたからその大変さがよく分かるが、恐らく闇雲になさっている訳ではないと思う。先ほども別セッションで古川康・佐賀県知事が「法規制のことをよく分かっているから」と仰っていたが、どのようなツボを抑えていけば市長のような突破が出来るのだろうか。そのTIPSのようなものがあればぜひ教えていただきたい。(01:09:52)
樋渡:僕は絶対に一人で突破しようとしない。巻き添え要因を連れていく。僕の周りには優秀な人もそうでない人もいるが、まずは周囲の気心知れた人達に、たとえば「こんな図書館をやりたい」と話して反応を見る。すると、皆が「止めたほうがいい」と言う。それをやる(会場笑)。で、「それはやったほうが良い」というものは、公務員の人達がやると予定調和になってしまうからやらない。図書館についても最初は全員反対だった。でも僕はそこで必ず、「出来ない理由は分かった。出来る理由を考えてくれ」と言っている。役所の人間はそういう仕事が猛烈に得意だ。皆が主体的になって次々と意見を出してくる。それを僕が叶えてあげるという流れになる。あとは徹底的に褒めること。これはすごく大切な作業だ。僕は本当によくやってくれた職員がいれば、夕方、彼らの家に行ったりする。それでご飯が出てくるときもあるし(会場笑)、ご家族と記念撮影もする。そして、帰るときは「あ、これは3票ゲット」と(会場笑)(01:10:43)
とにかく、今日は自己の重要感が大きなキーワードになったと思うが、それをきちんとシェアしてあげることだ。それによって意識を鼓舞することがトップの役割だと思う。NHK大河ドラマの「軍師官兵衛」ではないけれども、それで最終的に突破力も生まれてくるのだと思う。何かのプロジェクトを動かすとき、僕は「こいつのためには死んでもいい」と思うときがある。そいつはそう思っていなかったりするけれど(会場笑)、少なくともそうした人間的繋がりというものは、特に最側近の連中とは持つように心掛けている。だから図書館や病院が立ちあがったときも、大の大人が皆、ぼろぼろ泣いていた。そういう瞬間を味わうのがこの仕事の醍醐味だ。(01:12:10)
松岡:時間になったので今日はこの辺でクローズしたい。今日はありがとうございました(会場拍手)(01:13:01)
※前編はこちら。