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櫻井よしこ氏×原丈人氏×田口義隆氏 国をつくる礎とは何か

投稿日:2013/05/17更新日:2019/04/09

「中華思想、共産党至上主義、軍事最優先…中国の価値観は我々や西欧のそれと全く異なる」

櫻井よしこ氏(以下、敬称略):ハワイ大学時代の恩師が私に「社会に摩擦を起こす人はその社会の宝である」と教えてくれたことがある。中国の『環球時報』には「櫻井よしこは毒を振りまく女だ」と書かれた訳だが(会場拍手)、それを誇りにしている。今日は30分、タブーに挑戦する言葉で語りたい。(00:48)

日本の形をどのように考え、国際社会にどう貢献していくべきかを考えるためには…、これは安倍総理の言葉だが、「地球儀的発想で世界を見なければいけない」と、私も思う。地球儀を見ると、美しい雪景色と深い森のなかで開催されている和やかな雰囲気のG1サミットとはまったく別の世界が、あの尖閣の海にあると分かる。それが台湾および南シナ海の運命と直結していることもお分かりいただけるだろう。(01:46)

日本を含めた国際社会が今直面している最大の問題は中国の台頭だ。中国は私たちと大きく異なる価値観を持っている。欧米の国々が台頭しても、私たちはそれほど問題に思わない。基本的な価値観が一致しているからだ。この辺、資本システムのあり方などについて原さんからのちほどご反論もあると思うが、それでも国際法の遵守、人権、自由、あるいは民主主義という意味では基本的に一致していると私は考えている。(02:40)

ただ、中国は様相が違う。彼らはどんな価値観を持っているのか。先般、中国では習近平体制が発足し、常務委員会のメンバー7人が同国を建前上は10年引き継ぐことになった。10年続くかは分からないというのが中国研究者の見方ではある。ただ、続く前提で考えるのなら、習近平さん自身の価値観が、少なくとも言葉に表現された次元でどのようなものであるかを把握する必要があるだろう。(03:30)

特徴は、中華思想、共産党至上主義、軍事最優先の三つだ。軍事最優先は今までと同じ。ただ、習近平体制になって以前と顕著に異なる表現が二つ出てきた。ひとつは、紛争が起きたときではない「平時における軍事力の活用」。そしてもうひとつが「軍事闘争に対する備えを最優先する」という表現だ。これは南シナ海と東シナ海の現状を見ると実感出来ると思う。(04:12)

それと『The New York Times』の報道にも触れておこう。昨年10月に掲載された中国の汚職に関する報道は見事だった。社運をもかけるような気迫ある内容だった。私はその記事を初めて読んだとき、国民平均所得が1ドル100円換算として54万円の国で、政府幹部が2700億円も蓄財しているという、その金額に圧倒された。ただ、読み直してふと気がついたことがある。温家宝さんの友人は、「温家宝が腐敗していると言うのなら共産党は皆、腐敗している」と言っていた。また、「いくら『The New York Times』がそんなことを書いても温家宝は罪に問われない。何故ならすべて合法的に蓄財したから」と。つまり中国共産党は法の上、司法の上にあり、すべてが合法になる訳だ。そういう異様な価値観の国が軍事力を毎年増強させ、「平時も軍事力の活用を」と言う時代に私たちは生きている。(04:56)

当然、そういったものから国土や国民を守る必要がある。それで世界は現在、アメリカを中心に二つの方法で対処している。ひとつは、個々の国家がささやかであっても軍事力を整備することだ。そのうえでアメリカと二国間もしくは多国間の強調関係を築き、中国に「暴走させませんよ」という構えを見せることがまずひとつ。(07:01)

そしてもうひとつが価値観の戦いだ。これは今日の主題とも関わる。中国は人権を大事にしているか、人間の自由を担保しているか、法律を守っているか、異民族の宗教・文化・言語を守る余地を残しているか。そうしたことを常に問い続け、中国の自制を促す。この二つが大きな対処の仕方になる。(07:48)

そこで日本は本来、最も大きな役割を果たさなければいけない。ともすると私たちは「日本は小国だ」といったような感覚を持ってしまいがちだ。しかし東南アジアの国々は日本に大国として多くを期待している。日本がアジア側に立ち、姿勢を明らかにして、「出来得るなら我々の先頭に立って中国の暴走を抑えて欲しい」ということを彼らは言う。そのようなことが私たちに出来る一番のことなのだろうと思う。(08:28)

「十七条の憲法や五箇条のご誓文に連綿と続く和やかな国柄を見て取ることができる」

では、そのためにどうすれば良いのか。まずは自分たちの歴史を知ることが不可欠だと私は思う。日本人だから言う訳ではなく、実際のところ日本は大変素晴らしい国であり、素晴らしい文化・文明を持っていると思う。たとえば七世紀。聖徳太子は十七条の憲法をつくった。これは主に社会の上で政治に携わっていた人々の戒めとして考えられたものだ。そこには第一に「和を以て貴しとなす」と書いてある。和は“やわらぎ”とも読む。「諍いはいけませんよ」と。人と人との関係、あるいは団体・部族間の関係でも、すべて和を基調としなさいということだ。(09:13)

それを担保するために、聖徳太子は色々なことを十七条に記した。たとえば社会における諍いを溶くための今で言う裁判は、公正なルールで行わなければいけない。また、「上に立つ人は朝早く起き、夜遅くまで働きなさい」と。非常に高い倫理観を十七条に渡って謳い、私たちの国における統治の基本とした。法律を重んじ、上に立つ人間は頭を垂れ、公正な裁きとともに国民が幸せにする政治を行う。現在の人々からすれば当たり前だが、これが書かれたのは千数百年も前の話だ。(10:40)

同じ時代の世界はどうであったか。中国は隋から唐へ王朝が移る変化のときにあった訳だが、そのときに起きたのは平和な王朝交代などではない。易姓革命という血塗られた歴史が重なった。前政権の人々は天命に背いたから殺されても仕方がないということで、虐殺が起きる。王朝交代のたびに中国の王朝では2〜3割の人が殺された。ときは9割の人が殺されたという説もある。しかし隋から唐への王朝交代時、我が国は十七条の憲法を書いた。その頃、アメリカはまだ国として生まれてもいない。ヨーロッパでも多くの国々で武力による領地・権力争いが行われていた。(11:47)

こうして見ると、私たちの文明は非常に穏やかであったことが分かる。「そんなものは千数百年の歴史とともになくなってしまったのではないか?」と言う方もいらっしゃると思うが、ではそこから千二百数十年が経った明治維新ではどうであったか。(13:08)

我が国は260年あまり続いた鎖国の末、砲艦外交で開国を迫られた。しかし開国をしてみると、日本は非常に貧しく、国際法もよく知らない。すべての面で遅れていた。ときは帝国主義の時代。隙あらば日本を切り取り、植民地にしたいというぎらぎらした思いとともに列強が押し寄せていた。あのとき国の経営をきちんとしていなければ、我が国は間違いなくどこかに割譲されるか、植民地になっていたと思う。(13:36)

そこで私たちの先人は大きな危機感を抱き、皆で心をひとつにした。どのようにしたらこの国とこの民族、そして自分たちの歴史を守り通すことが出来るのか。そこで明治天皇がお考えになったのが、五箇条のご誓文だったと思う。(14:29)

読んでみるとかなり面白い。まず、「広く会議を興し万機公論に決すべし」。問題が起きたときは広く人の意見を聞いて、討論しながら決めなさい、と。「上下心を一にし盛に経綸(けいりん)を行ふべし」。大学生にこれを言うと「先生、競輪ってあの時代にもあったんですか?」と言うが(会場笑)。「身分の相違に関わらず心をひとつにして、盛んに政治経済を論じなさい。貴方の意見は大事です」という話だ。(14:56)

また、「官武一途庶民にいたるまで、おのおのその志を遂げ、人心をして倦まざらしめんことを要す」。官僚や軍人から庶民に至るまで皆が一生懸命になれば、それぞれ人生の志を遂げることが出来ると。さらに、「旧来の陋習を破り、天地の公道に基づくべし」。古くて役に立たなくなった規則は止めなさい、と。これは自民党でも民主党でもTPP反対の方々によく聞いて欲しいと…、(会場を見て)私は思いますよ、世耕(弘成・内閣官房副長官)さん(会場笑)。役に立たなくなった古い規則は破り捨て、世界の普遍的価値観に基づき進みなさいということだ。(15:58)

そして、「知識を世界に求め廣く皇基を振起すへし」。日本だけの狭い価値観で凝り固まらず、広く世界に知識を求める。皇基とは御皇室を中心とする日本文明のあり方だ。権威としての皇室があり、その下に権力を握る人々がいて、そしてその下に国民がいてすべてを支えているという、この三層構造がわが国の国柄と言える。そのなかで皇室は…、歴史のなかで一時的に政治権力を握ろうとしたことはあるが、基本的には常に国家の安寧と国民の幸せを祈ってくださる存在だった。そのような国のあり方を広く世界に知らしめ、広めなさいというのが最後の一節だと思う。(17:15)

明治天皇はこう考えた。開国のあたり、いかにして現時点で2670年続いている我が国を守るのかと。そのときに明治天皇は、「我々の価値観さえ皆の心にきちんと根付けば、必ずこの国を守ることが出来る」と考え、これを出したのだと、私は思っている。(19:00)

「国家とは一家の主のようなもの。自主独立の精神を持たねばならない」

それから七十数年が経ち、我が国は大東亜戦争に負けアメリカに占領された。歴史始まって以来の他国による占領だ。アメリカ統治の下で厳しい検閲が敷かれ、人々は思うことを言えなくなった。そのなかで戦前戦中に日本がしたことはすべて悪いと言われ、民主主義しかり男女平等しかり、新しくて良いものはすべてアメリカが教えてくれたという教育がなされた。(19:45)

しかし昭和21年1月1日、昭和天皇は御詔勅を出され、そこで「我が国は今、国難のなかにあるが、国民は明治天皇の言葉を思い出して欲しい」と、五箇条のご誓文全文を国民に語って聞かせた。その後日本が昭和27年に独立を回復した訳だが、その20年後に那須の御用邸で行われた記者会見にて、昭和天皇はこう仰っていた。昭和21年の御詔勅は人間宣言という風に報道されたが、当の御詔勅では五箇条のご誓文が最初に出てくる。「それは何故ですか?」と、記者が質問した訳だ。(20:22)

昭和天皇は「それが一番大事からです」とおっしゃった。今、国民は我が国にあるすべての良き価値観が他国にもたらされたように考えている。しかしそれらは我が国が数千年におよぶ歴史のなかで実践し続けてきたものであると。その証拠に、明治天皇は五箇条のご誓文のなかでも謳われた。そういう趣旨のお答えをしている。昭和天皇はあのとき、国民に「もっと元気を出してください」と伝えたかったのではないか。「日本国の価値観はこれほど素晴らしい。それを思い出し、もう一度我々の精神で国をつくり直しましょう」というお心ではなかったかと、私は思っている。(21:35)

今我が国をとりまく環境は、明治維新や大東亜戦争での敗北に比してもなお厳しいものがあると思う。中国が大変強い力を持ち、領土拡張の野望を隠さない。アメリカを中心とするアジア諸国は先ほど申しあげた二つの方法でそれに対処しようとしているが、アメリカにも別の変化が起きている。(22:52)

オバマ大統領の二期目の就任演説、上院公聴会の質疑応答におけるジョン・ケリー国防長官の答弁、そして国防長官に就任するとみられるチャック・ヘーゲルさんがこれまで見せてきた予算削減の手腕、等々。これらを見る限り、アメリカは再び内向きになるのではないか。(23:40)

そこで私たちはどうすべきか。中国は先日、火器管制レーダーを海上自衛隊の護衛艦に照射してきた。これは攻撃用レーダーであると日本政府は分析している。普通なら敵対行為として軍事闘争に発展してもおかしくない。そのような状態でも私たちの政府は、「安保第五条は適用されるのか」といった議論に留まっている訳だ。(24:33)

仮に尖閣に関してアメリカに安保第五条適用の意思があったとして、彼らはあの尖閣諸島についてどう思うだろうか。岩だらけの小さい島だ。誰も住んでいない。「何故こんな島のためにアメリカ国民の命が犠牲になるのか」という思いが必ず沸いてくる。対中国戦略を理解している人でも、やはり日本国政府が何かしない限りアメリカも前に踏み出すことは出来ないと思うだろう。(25:26)

国家とは一家の主のようなものだ。一家の父が自分の妻子や両親を守らずに誰が守ってくれるのか。男も、そして今どきは女も自主独立の精神を持っていなければいけないのと同様に、国家もやはり自主独立でなければならない。(26:06)

日本国の自主独立性は五箇条のご誓文に見られる通り、偏狭なナショナリズムに凝り固まったものでは決してない。原丈人さんがのちほど公益資本主義というものについてお話しになると思うが、それと日本の文化・文明・伝統はぴったり合っていると思う。広く開きながら日本国であり続ける。日本国であり続けるために広く開いていく。その勇気を私たちは取り戻さなければならない。(26:36)

「国内では『正確で清潔』という価値観は当たり前のもの。しかしそれが海外では“ズレた”ものになる」(田口)

西村康稔氏(以下、敬称略):ここからはパネルディスカッション形式で進める。本セッションでは日本が持つ強みや伝統的価値を世界でどう生かしていくのかという議論をしていきたい。グローバルな潮流のなかでアメリカ的価値観、そして国家資本主義と呼ばれる中国、ロシア等の新興国の手法と、どう向き合っていくのか。櫻井さんから「二期目のオバマ政権は内向きになる」とのお話もあったが、歴史的に見ても、二期目を迎える米大統領は「あと4年しかない」ということで成果を求め、妥協しがちになると言われる。ブッシュ政権ですら最後は北朝鮮のテロ支援国家を解除した訳で、二期目を迎える米政権との付き合いはなかなか難しい。(28:17)

そのあたりも踏まえつつ、まずは田口さんに伺いたい。3万人の従業員を抱える運送企業のトップとして、特に日本企業の現場が持つ価値のなかでどういったことを大切にしながら成長を目指しているのだろうか。(29:44)

田口義隆氏(以下、敬称略):私の土俵である現場のお話をさせていただきたい。私が最も誇りに思うのは、我々の産業は労働集約型なので人がたくさんいる訳だが、それでも同じ価値観が通用し、世界に誇るサービスを提供出来る点だ。(30:21)

当然、我々が営んでいる運送業では、時間の正確さ、荷物の扱い方あるいはお客さまへの渡し方が重要になる。ただ、日本では当たり前のそうした価値観も、海外では、たとえば現地の提携会社と話をしていても共有出来ない。グローバルに活躍する会場の諸先輩方もこの点では苦労されていると思う。(30:47)

とにかく我々の事業は「正確で清潔」という日本の価値観に守られているのだと、強く感謝するとともに誇りに思うことがある。労働集約として人のまとめ方を考えていくうえで、我々が大切にしているコンセプトは五つほどになる。ただ、日本では当たり前となるそれらのコンセプトが、海外ではまったく“ズレた”ものになると思う。(31:27)

ひとつ目は環境整備。環境整備というとき、日本は掃き清めようとする。ただ綺麗にするだけでなく、そこを聖なるものにしようとするから、魂を込めて拭く。二つ目は礼節中心主義だ。我々とすれば挨拶をしましょうというのは当たり前だが、これも他の国ではなかなか通用しない。たとえば「いただきます」「ごちそうさま」にあたるものも見当たらない。(32:09)

三つ目は全員参加。「皆で経営をやっていきましょう」と。海外であれば現場は現場、雇うほうは雇うほうということで役割分担が決まっているが、日本では全員が参加する。たとえばパートの女性も経営に対して意見を言ってくれる。そういうところも日本人の強みだ。そして四つ目は労使協調体制だ。マネジメント側と被雇用者で、ともに手を取り合ってやっていきましょうということが、特に労働集約産業では強く言われる。そして最後が自己責任。人のせいにしない。これらのコンセプトを、我々は社訓や教育のなかで当たり前のように持ち合わせている。(33:07)

で、この環境整備というものは、やはりものの清浄を好む神道から受け取っていると感じる。また、礼節中心の価値観は武士道からきているのではないかと思うし、全員参加のほうは「すべてのものは仏である」という仏教の教えから来ていると感じる。労使協調も同じだ。十七条の憲法というお話があったが、「和を以て貴しとなす」ということで、立場が違っていても互いを認め合い、理解し合う。自己責任という価値観も武士道から来ていると思う。(34:04)

そんな風にして我々が当たり前のように思っていた価値観を紐解いてみると、それらは日本人が世界に誇るべき精神文化としての神道、仏教、そして武士道からいただいているのではないかと感じる。そこは決して卑下すべきでないと思う。このような精神文化は恐らく日本の自然風土から育まれたのだと思うが、我々はそれを世界に広めていきたいし、それが我々の役目ではないかとも感じる。(34:58)

「短期利益を追求する米国型資本主義から、多様性を活かし、長期に利益と価値を創る公益資本主義の時代へ」(原)

西村:続いて原さんに伺っていこう。短期的な利益を追求するアメリカ的価値観に対して、原さんは「もっと中長期的な利益とともに実現すべき価値がある」として、公益資本主義という考え方をなさっている。日本が目指すべき姿について、世界のなかの日本という視点を踏まえてお話しいただきたい。(35:54)

原丈人氏(以下、敬称略):本セッションのテーマは非常に大きく重要であるから、まずはその前提条件として我が国の独立を守るための要件からお話ししたい。食糧の安全、エネルギー確保の安全、そして防衛上および外交上の安全。この三つだ。これがないと国ではなくなってしまう。(37:06)

そのうえで、我が国の文化や歴史あるいは言語をしっかりと守り、進化させていく。また、他国の文化や歴史も大切にしていく必要がある。世界は多様化の時代に入ってきた。アジア、アフリカ、そしてラテンアメリカが台頭してきており、言語ひとつにとっても英語だけでは上手くいかない時代に入ってきたと思う。(37:45)

西洋列強の時代、世界では文化に優劣がつけられ、列強は劣っているところを従わせようとしていた。英語やキリスト教の強制だ。しかしこれからはそれぞれが違っていることを認めたうえで、自分の考え方を主張していく時代に入る。このことを我が国の礎にする理念に置くべきと思う。では具体的にはどうすれば良いか。(38:38)

今、日本と欧米の先進諸国は金融危機をはじめとした経済に関する諸問題を抱えており、ダボス会議ではそれに対して15におよぶアジェンダが掲げられている。しかし一項目ずつの対処療法を議論するのでなく、根本的な問題解決に向けた議論を日本から起こす必要がある。そこで公益主義という考え方が出てくる。何故、公益資本主義が重要なのか。まず、欧米でも日本でも、技術革新によって新たな産業が生まれにくくなっている。だからフェイスブックやアップルのように技術とは関係のない会社群の時価総額が伸びるような時代になっている訳だ。(39:22)

たとえば山中(伸弥・京都大学教授)さんのiPS細胞に関連して企業が100社、生まれたとする。しかしそうした会社の売上は、最初の5年間はほぼゼロのままだろう。そして100億円とかいう累積損失が溜まっていく。ただ、10年後には時価総額1兆円になる可能性もある。しかし時間をかけて投資していく仕組みが今はない。(40:18)

これを打破するようなシステムを日本で生み出し、世界に広めていけば欧米も喜ぶだろう。先進国に感謝される国 日本が登場する。ここで話す時間はないので割愛するが、私はその具体的な方法もだいたい分かっている。(40:56)

また、途上国についても考えていく必要がある。現在、アジア、アフリカ、そしてラテンアメリカの国々が大きな力をつけてきた。2050年には日米欧にロシアを加えた先進国の人口比率は世界の15%以下となる。85%以上は途上国だ。携帯電話も自動車も住宅も人の数だけ売れるものだ。「貧しい国の人々に買える訳がない」と言う人もいるが、中国はどうだったか。私が初めて中国に1976年当時は本当に貧しい国で、30年後にGDPで日本をしのぐとは誰も思わなかった。(41:22)

アフリカ等にも同じ。貧しいと馬鹿にしていてはいけない。2050年までは主に中国とインドが世界経済の成長を牽引すると見られているが、世紀の後半はアフリカだ。2011年に70億となった世界人口は、国連人口推計によれば2100年、100億人になると予測されている。30億人ぶんの増加ほぼアフリカが占める。(42:11)

そうした地域の雇用や産業を支えていくため、日本はどのように協力すべきか。貧困問題も解決していく必要がある。西村さんからご指摘のあった中国等による国家資本主義に関して言えば、今は成功していると感じる人もいるだろう。しかし実際にはアフリカで大きな不満も生まれている。2年前、ザンビアの大統領が国会演説で「中国人は‘Investors’でなく‘Infesters’だ」と言った。寄生虫だと。大統領が国会でそれぐらい激しい言葉を使うほど、実際には不満が募っている訳だ。(42:46)

この点について西欧はどうだろう。世界銀行やIMF(国際通貨基金)が仲介するやり方は、たとえば「お前の国の鉄道を運営してやる」というものだ。その代わり、「今後30年間の売上はすべてその会社に渡しなさい」と。その国は鉄道を運営して貰えるだけ。しかも民営化で雇用は減るし、「儲けるためには旅客列車でなく貨物列車を充実させたほうが良い」とのことで旅客列車もなくなってしまう。で、住民は貨物列車の屋根に乗る訳だ。(43:45)

ほかにも色々と事例はあるが、とにかくそうした西洋型の開発に対して、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの人々が不満募らせている。だからこそベネズエラにチャベス政権、ボリビアにモラレス政権、エクアドルにコレア政権が誕生した。アメリカの価値観と合わない民族主義の台頭だ。それをアメリカ、特に国務省は共産主義であると勘違いしているのだが、その真空を突いて中国が入ってくる訳だ。こうした流れを解決出来る国があるとすれば、それは日本かもしれない。(44:28)

西村:チャベス、モラレス、コレア、そしてニカラグアのオルテガ大統領もそうだが、皆反米である一方、ものすごく親日的だ。国連の投票行動でも日本を頻繁に支持してくれる。その辺は原さんが仰っていたようなことも関係していると思う。(45:32)

中国のアフリカ援助は無償だ。そしてつくるのは大統領府や国会議事堂であり、そこに「中国がつくってくれた」と、大きく書かれる。一方で日本はというと無償は少なく、大半は円借款による融資だ。しかも道路・空港・港湾といった目立たないものの建設が多い。しかし長い目で見ると日本はインフラ投資をしている。発展したら返して貰うという仕組みだから、その国も必死に仕事をする。従って長い目で見ると日本は大変良いことをしていると思う。ただ、中国の援助は貰いきり。その国の指導者とすれば立派な大統領府が建てば嬉しいかもしれないし、一部はポケットに入っているかもしれない。そんな訳で短期的にはどうしても中国のほうに行ってしまう状況だ。(46:03)

「外交、経済、国防…自主独立について今、真剣に議論しなければならない」(櫻井)

ではもう少し議論を続けよう。国家の礎を議論するにあたり、教育についてもお考えをお聞かせいただきたい。日本が持つ価値で世界に貢献出来るし、色々なことは出来ると思うが、その価値観は若者たちにきちんと引き継がれているだろうか。(47:18)

櫻井:少しだけ、原さんのお話を引き継ぐ形で議論を戻したい。たしかに50年〜70年先の人口動態を含めた資本主義のあり方という大きな枠組みも、私たちは頭に入れておく必要がある。一方、国家としての日本を考えるとき、長期、中期、そして直近という風に課題を分ける必要もあるだろう。そして直近の課題に関して言えば、もう若干議論する必要があるほど厳しい状況にあると思っている。(47:59)

たとえば尖閣についても、これが本当の紛争となる危険性はあると思う。海外でこの問題を議論する専門家たちの多くは「扮装が起きる」という前提で、そのときの対処法などについて考えているが、その議論が日本では驚くほどなされていない。(48:41)

火器管制レーダーを照射しなかったと言う中国に対し、安倍政権が「必要ならばその情報を公開する」と言ったのは大変良いことだ。それ以前の対応とはまったく違う。今までは「言わなくても分かってくれるだろう」と。嵐が過ぎれば収まってくれるだろうということで発信してこなかった。それで今どうなっているか。親日的な人々でさえ、たとえば歴史問題について日本が悪いという立場をとっている。靖国、慰安婦、南京、等々に関して、アーミテージ氏にしてもジョセフ・ナイ氏にしても「日本に非がある。訂正は許されない」と。何故そうなったのか。(49:02)

情報発信能力が違うためだ。中国の対外広報予算は、為替にもよるが毎年1兆円弱。彼らはアメリカで中国版CNNもつくった。日本は何もしてこなかったが、中国は「これからは情報だ」と。それで今はアメリカの優秀な記者たちを高給で雇い、中国版CNNで24時間365日、中国の立場を積極的に伝えている。韓国も同様だ。(50:00)

日本の対外情報戦略予算は、正確な数値は分からないが、年間130億円前後だと思う。比較にならない。外務省も歴史問題などについては決して前面に立って何かを言うことはない。尖閣問題について安倍総理や小野寺(五典・衆議院議員/防衛大臣)さんが情報公開に触れたのは良かったが、とにかく国家として情報発信能力をどう高めていくのか。素晴らしい価値観を持ち、素晴らしいODAを実施しても、現状では誰も気が付いてくれない。この辺の戦略は今ある危機に直結していると思う。(50:51)

また、我が国の自主独立についてもっと考えていく必要がある。自主独立とはどういうことか。そもそも何故TPPに反対するのか。過去20年間も成長力が停滞しているのは我が国だけ。中国経済は20年間で24倍になった。他の国も皆右肩上がりなのに、我が国だけがフラットか、やや下降気味だ。(51:47)

人口減少や少子高齢化が進む国内では消費が伸びない。日本の対外貿易比率は経済全体の27%。ドイツは72%だ。国内市場が縮小しているなら対外貿易比率を高めるしかない。中長期的に考えてもTPP参加は不可避だ。他国も守りたい分野はあるのだから日本も農業等に関しては政治的知恵を絞って守ればいい。ただ、それがTPPをやらない理由にはならない。それなのに今300近い議席を持つ自民党で200人前後がTPP反対って…、「あなた方、一昨日おいで」と言いたい(会場笑)。(52:30)

国防についても同じだ。自衛隊は本当の意味での軍隊ではない。警察官による職務執行法の範囲内で活動しているだけ。自衛隊法改正、集団的自衛権行使、そして憲法改正について皆で議論し、出来るだけ早く実現する必要がある。(53:54)

そのうえで教育について議論したい。戦後、我が国の子どもたちは良い方向に進んできただろうか。素直で優しい反面、自分や自国の将来に自信がなく、夢を描くことも出来ない子どもが増えたと感じる。この傾向はOECDの各種統計でも明らかだ。私たちは彼らに、「あなた方は素晴らしい文化・文明を持った国に生まれた。未来はあります」と言うべきだ。まずは歴史教育を基本に、我が国の倫理観を生活にも滲ませるような教育を実現する必要がある。いくら算数や国語が優秀でも、根本のところで日本国と日本民族の歴史に自信を持たせなければ駄目と思う。(54:29)

田口:価値観の異なる環境で教育を行うために重要なのは、因数分解だ。ゴールは“貢献”だが、手法は因数分解。たとえば車を綺麗にすると、(少しの傷も嫌がって)接近運転をしなくなり、防衛運転に徹する。すると事故も起こさなくなる。「それで事故が起きなくなれば君のためにもなる」と。綺麗な車で行けばお客さまは喜ぶし、褒めていただければ自分も嬉しい。そんな風にして繋げていくべきだと考えている。(56:32)

「成熟した国々がすべて入り新しいルールを作る…。日本はそこで主体的な役割を果たす必要がある」(西村)

原:短期的視点について私も触れておきたい。とにかくアメリカは中国を大変な脅威と考えている。オバマ政権二期目ということで国務省と国防省のスタンスが大きく変わる可能性もあるが、その考えは基本的に変わらないだろう。(57:23)

中国はTPPをなるべく経済問題に留めておきたいと考えているが、TPPは単にUSTR(米国通商代表部)と経済産業省の問題ではない。西側による中国封じ込めだ。アメリカは、軍事的には日本・韓国・フィリピン等と個別に軍事同盟を交わしている。しかし現在は太平洋上の公海で中国艦船の往来も増えてきた。太平洋上の諸国にすれば大きな懸念事項だ。そこで米国側に立つ国々と中国側に立つ国々で分かれてはいるが、現在は日本およびアメリカ側についている国々がマジョリティになっている。そこで日本とアメリカは中国への対抗としてTPPを位置づける必要がある。(57:50)

尖閣に関して言えば、中国は日米間に不信感を起こそうと躍起になっている。日米安保では日本が攻められときにアメリカが守ることになっているが、それは「日本の施政権が及ぶところ」という前提条件あってのこと。日本の領土であっても施政権をロシアと韓国に奪われている北方領土と竹島は対象に入っていない。(59:09)

で、昨年は日本の領海領土に船や飛行機を送り込む、あるいは天気予報に尖閣を含めるといったことをしてきた。尖閣が中国の施政下にあるという主張を国際的に広める狙いがあったためだ。しかし、結果としてアメリカでは「日本の施政権を脅かすいかなる活動に対しても米国上院は断固たる措置をとる」ということが決議され、国務省もそれを追認した。(59:44)

それで中国側の目論見は潰れた訳だが、今度は日本とアメリカの船や飛行機が守っているような状態のなかに中国が入ってきて、追いかけるといったことをはじめた。今後は実験的に日本とアメリカの軍艦を撃ってみる、あるいはレーダーを照射してみるといったことをしてくると思う。(1:00:22)

そうなると今は集団的自衛権が行使出来ない状態だけに、米国の船が撃たれた際も自衛隊がそれを守ることは出来ない。中国がその状態を、たとえば先ほど櫻井さんが言われた中国版CNN等で広く世界に伝えたらどうなるか。アメリカ人は「アメリカは守っているのに日本はアメリカのことを守らないのか」と考えるだろう。いくら日米安保や憲法第九条を持ち出しても、そういった世論が出来たらおしまいだ。(1:00:49)

そうならない仕組みをつくりあげる必要がある。一方ではTPPの枠組みで、アメリカが困っている金融危機などへの解決策を提案する。具体的にはそこで公益資本主義という話になる訳だが、それをTPPのルールにする。そこで初めて日本がルールメーカーになる訳だ。こういった方法でグローバルな問題を解決していけば、軍事面だけでなく経済面でもアメリカと協調出来ると思う。(1:01:29)

櫻井:日本と中国のどちらが頼りになるかと言えば、アメリカは恐らく中国だと考えるだろう。中国は言ったことについては大国として責任を持って実行するが、「日本は普天間ひとつ動かせないじゃないか」と。そんな思いがあると思う。(1:02:11)

しかし今、そんな日本にも初めて信頼を勝ち取るチャンスが巡ってきた。真の意味で自主独立国家となり、民主主義や法治といった世界共通の価値観に、「私たちこそが立っている」と示す良いチャンスだ。そのためにも原さんがおっしゃる通り、TPPを単なる経済的枠組みで考えるのではなく、全体的な価値観の問題として捉える必要がある。それが出来なければ死活的なダメージを受けるのではないか。(1:02:39)

西村:来週予定されている日米首脳会談では、TPPだけでなく集団的自衛権や普天間問題に関しても議論がなされるだろう。今、我々は大変重要な局面にいる。今後アメリカはEUともEPAの議論をはじめるであろうし、日本もEUとは議論していく。成熟した先進国がすべて入る形で新しいルールづくりが行われていく。当然、日本はそのなかで主体的な役割を果たす必要があると思う。ここで会場から質問を。(1:03:34)

「日本文化の素晴らしさを天皇家にすべて帰結させるのは危険では。守り、活かす主体は国民や政治家にある」(会場)

会場(北岡伸一・国際大学学長):3点ほど申しあげたい。まず、日本文化の素晴らしさということで明治天皇を引き合いに出されたが、五箇条のご誓文が宣布されたとき、明治天皇は15歳だった。つくったのは由利公正であり木戸孝允だ。法治や人権といった近代西欧の価値観とほぼ同じものを日本が独自につくりあげてきたこと自体は素晴らしいと思う。ただ、それは公家や武家などの価値観を規範に日本国民がつくりあげたのであり、それを汲み取るようなビヘイビアをされてきたからこそ皇室も続いてきたのだと思う。従って「皇室がこうだったから」といったところに話を還元するのは危険だと考えている。国民や政治家が自身の問題として努力すべきところだ。(1:04:52)

2点目。中国に宣伝で負けているのは間違いない。ただ、それに対して「日本は侵略をしたことがない」「南京虐殺はなかった」といったことを言ってしまった途端、日本は今の100倍の宣伝費をかけても世界で勝てない。何故なら、それはあったからだ。我々には挙証責任がある。ないと言うならそれを証明しなくてはいけない。「たしかにそういうことはあった。ただ、中国が言うような規模ではないし、中国側にも責任はあった」という風に言ったとき、我々は初めて議論の土俵に乗り、世界で多くの支持を得ることが出来るのだと思う。(1:06:44)

そして3点目。たしかに日本の安全保障能力を高めるというのは緊急の課題だ。それで憲法第九条や同第九十六条を変えるというのは良いのだが、本当に緊急であれば予算をつけて自衛隊法を変えれば良い。今の自衛隊は合憲だからだ。憲法改正に何年かかるのか。観念論に陥ってはいけないと思う。(1:07:29)

会場(田村耕太郎・ランド研究所研究員/前参議院議員):日本がものを言わなくなったのは、日米同盟が出来て思考停止してしまってからだと思う。日米同盟は大事だが、それに頼りすぎず自分の頭で考える外交を実現する必要がある。中国脅威論に関しても同じことが言える。中国も内側はぐらぐらしている。以前、中国共産主義青年団の幹部は、「20年間ゼロ成長の国でデモが起きないなんて本当に羨ましい」と言っていた。嫌味かもしれないが、中国では経済が成長しなければデモだらけになるのは事実だ。軍事だけでなく諜報活動も自分たちで行うべきではないか。自分の頭で情報を集め、分析する。で、仲間となる国を自分たちに引き入れつつ、中国の内政に仕掛けていく。あまりお金もかからないのでぜひやっていただきたい。(1:08:35)

会場(湯崎英彦・広島県知事):大きなフレームワークでご示唆をいただいたが、一方で日本の企業や自治体は中国とどう付き合うべきか。外交上の考えも交えつつ少し距離を置くべきか、あるいは草の根で繋がるネットワークから、逆に安全保障でもお役に立てるような付き合いをしていくべきか。個人的には後者かなと思うが。(1:10:12)

櫻井:北岡さんからいただいたご指摘の1点目についてはその通りかと思う。私が申しあげたかったのは、日本国民の総意として、天皇および皇室が権威ある存在として位置づけられていたということだ。その下で権力を行使したのは、時代によっては貴族や武士であり、今は政治家であると。ただ、私たちは権力を超越した存在として、日本国民と国家の安寧を祈る存在として、天皇および皇室を必要としてきた。その意味で十七条の憲法等に触れたつもりだ。(1:11:51)

それと歴史問題だが、たとえば南京事件に関して言えば我が国は1937年12月、南京に入った。で、中国側の言い分によれば、翌年2月末までの3カ月で我が軍が30万人を殺した。このことについて南京軍事法廷で用いられた『陥都血涙録』という資料には、「日本軍が入ってきてから朝から晩まで銃声が響き、30万人が殺された」といったことが記されている。書いたのは国民党の軍人だ。(1:13:16)

このことについて、立命館大学教授である北村稔さんの著書『「南京事件」の探究—その実像をもとめて』(文春新書)に興味深い一節がある。『陥都血涙録』を書いた人の個人的な日記が見つかった。彼は当時南京市内の安全区に住んでいたが、日記によれば1937年12月25日、彼はクリスマスパーティーを開いている。翌年1月のある日は一日中碁を打ち、2月のある日は「今日も平々凡々と過ぎた」と書いていた。「朝から晩まで銃声が響き、30万人が殺された」と書いた人物が、だ。どちらを信じるか。私は日記のほうを信じたい。とにかく日本は歴史問題に関して、冷静に、事実をもって反論すべきところは反論しなければならないと思う。発言しないということは、中国・韓国等の言い分がそのまま通ることを意味する。(1:14:50)

私は日本のしたことがすべて正しかったと言うつもりはない。我が国も間違いを犯しただろう。それを認めたうえで、「しかし事実はこうでしたね」と、粘り強く、日本語以外のさまざまな言語でも発信すべきだ。それを我が国の外務省がしてこなかった結果、今、歴史的不名誉の淵に立たされている。歴史問題を頭から否定するという、そんな野蛮なことをするつもりはない。しかし、第一に事実、第二に冷静さを持ち、静かに諄々と事実は説いていく。南京事件に関して、通常の戦闘行為による犠牲者はたしかにいたと思う。ただ、日本軍が虐殺をし続けたのかということについては、これから多いに議論して反論したい。そのようなことはなかったと私は思っている。(1:16:20)

そして3点目だが、憲法第九十六条改正は日本の死活問題だと思う。自衛隊法から変えていくべきという優先順位に関して言えば、まったく賛成だ。ただ、現実的な法改正とともに憲法改正も並行して議論すべきではないか。私としては、民主主義的なルールで半分以上の方々が賛成をすれば憲法を改正出来るという形にするのが、正しいあり方ではないかな考えている。(1:17:50)

田口:次世代に、誇りのある経済環境、日本の思想、そして国のあり方をどのように伝えるかという点で言えば、事実を正確に伝えるとともに、その目標を伝えていくべきだと思う。その辺はずれないようにしておきたい。(1:19:32)

原:会社は株主のものというのがアメリカの一般的な考え方だ。そのなかで、現在は「同じ利益ならば10年かけるよりも5年。今日投資したら明日儲ける」という風になってきた。そこに経済の大きな問題がある。こうした株主資本主義をどのように正し、中長期的な成長を促す仕組みをつくりだすか。そこで公益資本主義という話になる。このことについては時間も足りないので皆さまに資料を別途配布させていただいた。それを読んでいただきたい。そのうえで、ご質問にもお答えしていく。ぜひ皆さまとはまた改めて議論したい。(1:19:59)

西村:新しい世界秩序のなか、日本の価値、そして果たすべき役割は必ずや大きなものとなるだろう。また、そこで新しいリーダーとして世界から尊敬される国になることも出来ると思う。今日はそのための課題もいただいた。ぜひそれを会場の皆さまとともに乗り越えていきたい。本日はありがとうございました(会場拍手)。(1:21:00)

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