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WEBは政治を変えるか

投稿日:2013/05/02更新日:2019/04/09

「ネット選挙解禁により、政治文化の成熟を牽引したい」(柴山)

津田大介氏(以下、敬称略):公示期間中のインターネット選挙運動が与野党合意のうえ、どうやら参院選前には解禁となりそうだ。ただ、それで色々な状況がすぐに変わるとは思わないし、たとえばネガティブキャンペーンのような問題も出てくると思う。本分科会ではまずそういった正の効果と負の効果の両側面について、短期・長期の両視点で考えていきたい。ネット選挙運動の解禁でウェブと政治の関係がどう変わっていくか。(01:29)

また、ネットを使った政府からの情報発信等によって人々と政治との距離を縮めるという、いわゆるオープンガバメントのあり方も今日は議論したい。日本なりの進め方を考えながら、最終的には将来に向けた明るい話に出来ればと思う。まずは自己紹介も兼ねていただきつつ、ネット選挙に限らずウェブと政治の関わりについて全体的なお考えをそれぞれお伺いしたい。(02:42)

柴山昌彦氏(以下、敬称略):総務省の所管事項は幅広いが、主に私は副大臣として放送行政や情報通信、そして郵政部門を担当している。情報通信を利用したオープンガバメント等も私の所管だし、選挙活動も総務省所管になる。で、インターネットによる選挙活動の解禁について言えば、恐らく議員立法という形で成立へ向かうだろう。総務省はそれを側面からしっかりサポートしていく。(03:29)

まずこれまでの議論を少し振り返りたい。この問題で最初に立ち上がったのは民主党だ。以前の自民党政権下、平成10年、同13年、同16年と、民主党がインターネット選挙運動解禁を盛り込んだ公職選挙法(以下、公選法)の一部改正案を提出した。当時の提案は行為者主体について幅広く認めており、手段についてもウェブサイトと電子メールの両方を認めるものだった。(04:28)

で、それに対して自民党からは特にベテラン議員たちを中心に慎重論が噴出したのだが、「今後は与党としても自分たちの主張を幅広く、誤解なく伝えるためにインターネットというツールが大切になる」と。自民でも若手議員の一部はそう考えていた。それで現官房副長官の世耕弘成さんを中心にインターネット選挙運動に関するプロジェクトチームを立ち上げ、民主党に呼応する形で議論を進めていった。(06:06)

そして野党になってから、本格的にインターネット選挙運動の解禁を内容とする公選法の一部改正案をまとめた。これは民主党案にかなり近い。主体の制限もなく、メールもある程度認める法案だ。野党だったからこそまとまった。与党の民主党に対する色々な批判をウェブ等で見て、「あ、この批判を取り込めば我々もだいぶ早く政権に復帰出来るかな」と(笑)、ざっくばらんに言うとそんな意図もあった。(06:56)

ただ、なりすましや誹謗中傷といった問題が大きなネックになっていたのは確かだ。特にメーリングリストについては慎重だった。商業用などの各種リストをすべて利用し、一括送信しても良いという形にすると大量の文書が出回ってしまう。それで反対する方もいた。そこで「“選挙運動のメールを送ってきても良い”と意思表示した方にだけに送信出来るようにしよう」と。アドレス等の表示も明らかにするという制度設計になっていった。(08:00)

我々の提案に基づいて各党間協議もまとまってきた。で、当初は自民党と民主党がかなりオープンな提案をしていたのだが、協議では「まずは小さく産み出そうよ」という話になった。具体的には選挙運動を行う主体としての第三者と、そして電子メールはとりあえず止める形となっている。一方、我々はバナー広告は止めようと言っていたのだが、各党協議では公職の候補者に限り解禁ということで、逆に少し広がった部分もある。また、みんなの党はすでに法案を2回提出している。我々の案をかなり参考にしていただいた案だ。(09:13)

そして現在は参院選前の巻き直しということで、ウェブサイトに加えてツイッター等のSNSでも、そして第三者も情報発信が出来る案になっている。どちらかというと当初の理念に従った制度設計だ。最終的にどうなるかは分からないが、いずれにせよ弊害防止のための制度設計をかなり事前に詰めたうえでスタートさせる方向でまとまってきた。(10:52)

津田:公示期間中に候補者が「ニコニコ生放送」(以下、ニコ生)に出演する、または自身のチャンネルで演説するといったことは可能だろうか。(11:43)

柴山:メール以外の動画を含めた文書図画は、責任者を明らかにすれば可能という方向だ。その辺も協議で詰めるが、基本的にはOKになると思う。(12:17)

津田:柴山さんご自身は解禁という立場で良いのだろうか。(12:56)

柴山:私個人の意見は申しあげにくい…、が、G1サミットなので敢えて申しあげると、ぜひ解禁することで我々の政治文化成熟に繋げたい。(13:02)

「ウェブはすでに政治を変えている」(鈴木)

鈴木寛氏(以下、敬称略):現在、民主党の広報委員長とインターネット選挙活動に関する委員会で委員長を務めている。私は明解に賛成だ。慶應のSFCにいたときから、民主主義のプラットフォームとしてネットを最大限活用し、そこで熟議が起きる社会をつくりたいと思ってやってきた。世耕さんともずっと一緒にやってきたし、なんとか参院選から実現させたいと思っている。(13:49)

で、まず「ウェブは政治を変えられるか」というテーマだが、「ウェブはすでに政治を変えている」という例をいくつか紹介したい。私は文科副大臣を2年間務めていたが、1年目の編成で同省の予算は国交省の予算に追いついている。2年目には上回った。これは民主党が良かったとか悪かったとかいう話ではない。当時は「政策コンテスト」というものをやっていたのだが、そこで我々も驚いたことがある。そこにノミネートされた190の予算にはおよそ35万通の意見もメールで寄せられのだが、なんと190のうち1位から8位がほぼ人づくりに関する予算となった。それらの意見があって予算配分の省庁順も変わった訳だが、これは戦後の政策形成過程で初だ。まさにネットが政治を変えた例だと思う。しかも、うち17万通は10歳代〜30歳代の若手から寄せられた。民主主義の本質は参加と思うが、まさにネットがその参加を引き出したわけだ。(15:02)

もうひとつは東日本大震災での事例だ。ご存知の通り、原発事故直後はどれほどの線量が原発から出ているか分からずに大変な混乱となった。それで「とにかく放射線を実測しよう」と、モニタリングチームが決死の思いで計測に行ってくれた訳だ。しかし当時は回線が切れており、衛星電話が繋がるたびになんとか口頭でモニタリング情報を伝えていく状態だった。(17:05)

で、私のほうはその結果を直ちに文科省のウェブサイトへ載せようとしたのだが、「これは(サーバが)落ちるな」と。世界で最もアクセスが集中すると予測されたからだ。それで、何時だったか忘れたが村井純(慶應義塾大学環境情報学部長)さんに電話して、「計測結果をアップするまでに、文科省のサーバを世界で最も落ちないサーバにしたい。協力してください」とお願いした。そこから村井先生がすぐさま日本中のISPにお願いしてくださったのだが、当時は企業・大学問わず皆が素晴らしい協力をしてくれた。(17:52)

個別に紹介している時間もないが、そんな風にしてパブリックな仕事を皆さんがやってくださったことで政治のありようも変わったと思う。平時ならそこで許可をとるのに大変な手間がかかっただろう。しかしああいった有事で、瞬時に、良い意味での政治主導が実現出来た。(19:41)

夏野剛氏(以下、敬称略):全体会で小泉(進次郎・衆議院議員)さんの「不要な敵をつくるな」という話を聞きながら、「ああ、俺の人生と真逆だなあ…」と(会場笑)。もう性格は変えられないのでこのまま突っ走ろうと思うし、ネット選挙に関してもそうなると思うが、とりあえずこの2年間で状況は大きく変わってきたと思う。柴山さんからご紹介のあった案が出てきた当時は、まだニコニコ動画(以下、ニコ動)も政治に関して現在ほどのプレゼンスを持っていなかった。(20:30)

で、ニコ動をやっていて面白いと思うのが、ネットでは国のリーダーやリーダーになる可能性がある人たちの、リアルな人間性が如実に出てしまう。選挙期間中やその直前には政治家の方々とお会いする機会も増えるのだが、はっきり言うと選挙活動中に相当いい加減なことを言っている人が多い。(20:15)

先日、恐ろしいことを言っていた参議院議員の方がいた。「IAEAはアメリカの手先です。言いなりになったらロクなことはありません」と言う。国連の機関をして米国の手先とは「え? 北朝鮮の政治家ですか?」と聞きたいぐらいの感じだ。そんなことを応援演説等で堂々と言っている。ただ、それが報道されない。公示期間中は個別の話が報道出来ないからだ。また栃木ではある先生が「国からお金を持ってきまーす!」と(会場笑)。「地元の人はそれで良いのだろう?」と思うかもしれないが、そういう話ではない。あまり炎上していないから問題になっていないだけだ。(21:49)

マスコミが偏向しているという話はあるが、「いや、そもそも偏向している国会議員がたくさんいるよ」と。しかし選挙活動中に支持者へ向かって言っているので大っぴらに報道出来ない。結局のところ、今は情報を知らしめないためにむしろ選出過程を歪めてしまっているのが実態だと思う。(23:21)

そこにインターネットが出てきて、きちんと考えて喋る政治家とそうでない政治家が見事に分かれた。後者はG1にも来ないしニコ生にも出ない。その意味では、石破茂(衆議院議員)さんが自民党幹事長になったことにはニコ生がかなり貢献したのではないかなと(会場笑)。石破さんはニコ動で大人気だ。ご本人もご自身が見た目だけではあまりアピールするほうではないということは言っておられるが、ニコ動がなければまた少し違った結果になっていたのかもしれない。ただ、喋っていることは常にロジカルだ。小泉さんも同じ。とにかくそんな風に様相が変わってきた。国会議員やリーダーの資質がさらけ出されるという意味で絶対に良いことだと思う。(24:16)

それともうひとつ。インターネット選挙に関して、メディアの側面と単なるコミュニケーションツールの側面に同等の網をかけようとすると齟齬が起こると思う。その辺についてもあとで皆さんと議論したい。(25:14)

松田公太氏(以下、敬称略):今は副幹事長と政調副会長、そして広報委員長としてネット選挙運動の解禁を担当させていただいている。先ほどの「栃木県で云々」というお話を聞いて一瞬どきっとしたが(会場笑)、ちなみに(栃木3区選出でみんなの党代表の)渡辺喜美代表は逆だ。今も農業王国である栃木で「TPP交渉に参加すべきだ」と、それこそ石が飛んでくるような状況でも堂々と言い続けている。それでも結果的には圧勝した。ただ、残念ながらそういった部分がマスコミでとりあげられなかった。ネットではそういった良い部分を皆さまに見ていただけるきっかけになると思う。(25:44)

私は2年前に出馬を宣言したのだが、当時はインターネットを選挙に使えないことに大変驚いた。政治家の使命は自分たちの考えを国民に伝え、国民の声に耳を澄ますことだ。その点でこれ以上ないほど優良なツールが何故使えないのか。他の先進国や民主主義国家ではすべて使える。このことについて当時は三木谷(浩史・楽天代表取締役会長兼社長)さんと、「もし既存の小売業者が強力な団体を結成して立法権を持ち、それで“小売業はインターネットを使ってはいけない”ということにしたらおかしいよね」と話していた。つまり、ネットと立法権を持つ政治家たちとのあいだで、何かしら既得権に絡んだ関係があるのだろうなと。絶対に変えなくてはいけないと思った。(26:53)

私としては公選法全体がおかしいと思っている。たとえば政治家の事務所ではお茶はいいがコーヒーを出してはいけない。元々珈琲屋だった私はエスプレッソを出そうと思っていたのだが(会場笑)、止められた。でもお茶は良いと。もう訳が分からない。お茶もペットボトルに蓋をして出したらアウトで、開けたら良いという。そんな細かい話が沢山ある。公選法は弁護士から見ても大変分かりづらい法律で、これも直していく必要があるだろう。(28:14)

実は前回の衆院選で私はひとつチャレンジをした。フェイスブックやブログは選挙期間中一切更新出来ないが、運営者でなくアクセスしたユーザーによる何かの操作によってページが変化するのはどうなのだろうと。それでみんなの党のフェイスブックページを開設して、そこに投票機能を実装した。で、たとえば「みんなの党は期待出来るか」といった項目で投票出来る形にした。(28:59)

そうすると公示以降も、たとえば投票数に対応したページ上のグラフが少し動いたりする訳だ。「これぐらいはさすが大丈夫だろう」と思った。で、総務省にも公示前に確認をしたが、彼らは当初、「うーん…、なんとも言えない」と言うだけだった。しかし実際にそれを使いはじめた三日後ぐらいに彼らから選対本部へ連絡があり、「あれはグレーですよ。警告しましたからね」と。2回も連絡が来た。本当に公選法は分かりづらい。従って賛成か反対かということで言えば、我々は法案も提出している訳であるし大賛成だ。言論の自由ということもあるし、自由に使っていただきたいと思う。(29:49)

「情報の非対称性は民主主義の敵。ネットを使えば人間性も論理性もより詳らかになる」(夏野)

津田:ネット選挙運動の解禁で政治はどう変わっていくのか。まずは短期的な視点で議論しよう。ネット選挙の解禁が云々という話以前に、昨今の選挙はデータ重視になってきた。小選挙区制になり、データ解析による選挙予測がかなりの精度で行えるようになったためだ。アメリカではそれが顕著だ。オバマ大統領は前回の選挙からデータ分析のチーム人員を5倍に増やしており、今回はそのデータマイニングによって勝ったとも言われている。(31:05)

そうなると「結局、お金を持っている人間が一番強いんじゃないの?」と。以前はネット選挙運動の解禁で、いわゆる“地盤・看板・カバン”に頼らずとも新規参入がし易くなるというメリットが叫ばれていた。しかし海外の現状を見ているとむしろメディアコンサルタントが幅を利かせ、メディア対策にもお金がかかっている。たとえば「ブログとツイッターはどう違うか」から説明しなければいけないような議員の方も未だにいる。では今後、メディア対策秘書のような人員を雇う、あるいはマーケティング会社に依頼するといった話になるのだろうか。すると短期的にはお金がかかってしまう懸念もある。(32:20)

鈴木:それは正直あると思う。実際、ご自身でツイッターやブログが操作出来なくてもウェブサイトは私のところより素晴らしいものをつくっている先生がいる。お金がかかっているから。とはいえ、オールドメディアでもお金を持っている人が強いのは事実だ。そこへ一矢報いるため…、お金だけの問題ではないので、ボランティアでさまざまな知恵や時間を提供くれる人たちをより広く集めることが出来るという意義もあると思う。(33:58)

ちなみに先ほど前提として(ネット選挙の議員立法は)「上手くいくだろう」と仰っていたが、2月5日までは上手くいくと私も信じていた。この日、三木谷さんたちが運営しておられる新経済連盟でネット選挙に関するシンポジウムが開かれ、そこに各党の法案責任者も出席した。そこで基本的にはウェブサイトもSNSもメールも、そして政党も候補者も第三者もすべてOKという話になった。それで細かい違いはあったものの、「そこはまた協議しましょう」という話だったのだが、なにかこう、昨日ぐらいから様子が変わってきたとの情報も入ってきている。(34:41)

松田:そう。自公協議の結果、第三者はメールを使えないようにするという話になったそうだ。私はそれを聞いて自民党の平井(卓也・衆議院議員)さんに確認したのだが、「公民権停止等の危険性が出てくる」とのお話だった。そのリスクを排除するため、第三者を省くことにしたと。その真意が私には少し分からなかったのだが…、副大臣は何か聞いていらっしゃるだろうか。(36:00)

柴山:平井さんのもとでプロジェクトチームは自民党案をまとめた訳だが、各党間協議にあたって「今後は何が想定されるかをきちんと考えよう」という意見が出ていたと聞いている。鈴木さんのお話通り、来週が各党協議の山だ。(36:48)

で、今のお話と併せていくつか誤解が生じているような部分についてご説明をしたい。まず、実は今の法律でもネットは政治活動に使える。では政治活動と選挙運動で何が違うのか。一番違いはやはり期間の問題だ。公示という一定の時点より前なら…、さすがに「私に投票してください」といった露骨な表現はまずいが、かなり色々なことが発信出来る。つまり国民が候補者や政党の情報を最も求める選挙期間中に情報更新や新規発信が出来ないだけで、すでにオープンな情報にはアクセス出来るし、検索等で情報も色々と手に入る。(37:13)

ご指摘の件で重要なのは、選挙期間中に第三者から大量の中傷メール等が殺到した際や、類似の書き込みが大量に行われた際の対応だと思う。「結局お金のある人が有利では?」という部分については法定選挙費用に含めることである程度乗り越えることが出来ると思う。私自身は完全にフラットだが。(38:34)

津田:他国では第三者の呼びかけも含めてメールをすべてOKにしたら、公示期間中にそれだけでメールボックスが埋まってしまった例もある。メール規制はそういった文脈と聞いている。(39:36)

柴山:おっしゃる通りだ。ただ私としては、そうは言ってもやはり解禁したほうが良いと思う。今の仕組みだけではあまりにも足りない部分が多い。国民が政治に最も関心を持つ選挙期間中、「某所で集会をします」という話すら今はネットで公開出来ない。イギリスでは選挙期間中に選挙カーが走ることもないそうだ。どの候補者がどこでどんな活動をしているか、インターネットで伝える手段が完備されていることもあるのだろう。国民の関心が最も高いとき、正確な情報をフェアに伝えていく仕組みはやはり必要だ。(39:56)

夏野:ちなみに少し誤解もあると思う。まず、お金をかけてすごいフラッシュを実装した豪華サイトにすれば票を得られるかというと、そんな訳はない。メールも同じ。同じ候補者から大量のメールが来たらその人には投票しなくなる。そういうことが分からないまま議論している政治家が多いと思う。そういった方々にまず去って貰わないと駄目だ。議論に参加する人はウェブ検定か何かを受ける必要があるということにすれば良いのではないか(会場笑)。(41:45)

津田:長期的に考えるとソーシャルメディア等にどんどん発言が蓄積されていく訳で、色々な政治家の色々な側面を知ることが出来るようになる。それによって、最終的には地盤だけで勝っていたような議員が淘汰されるような結果をウェブ選挙はもたらすと思う。(42:32)

夏野:もたらして欲しい。情報の非対称性は民主主義の敵だ。民主主義が成り立つためには、誰もが同じように情報へアクセス出来るようにならなければいけない。で、そのときに将来のテクノロジー進化を制限するような形にしてしまってはいけない。従って細かい「大量送信があったらどうするか」といった事後対応で処理出来る話と、事前にきちんとやっていかなければいけない話をぜひ分けて議論して欲しいと思う。(43:07)

鈴木:今晩が大事だと思う。とにかく私としては議員という立場を超えた個人としてもぜひ実現したい。『YES!プロジェクト』や『One Voice キャンペーン』等、堀(義人・グロービス経営大学院学長/グロービス・キャピタル・パートナー代表パートナー)さんをはじめ色々な人たちにも助けて貰っている。だから柴山さんにも教えて欲しいのだが、平井プロジェクトチーム案に関して細かい部分では色々あるけれども、あれが出来るのであれば僕らは乗ります。「僕ら」って…、みんなの党を勝手に入れたらまずいが(会場笑)、少なくとも私は乗るし、民主党は絶対にまとめる。だから平井プロジェクトチーム案を進めるにあたって何をどういう風にしていけば良いのかというご提案やヒントを伺いたいと思っていた。(43:45)

「落選運動やネガティブキャンペーンにはネットで反論すればいい」(松田)

津田:とりあえずあと二つほど伺いたい。まずは選挙期間の報道に関して。テレビ報道はかなりの配慮をしていて、たとえばどこかの党をニュースにしたら他党もすべて取りあげる。特定の候補者や政党だけに焦点を当てた報道はしない。あれは公職選挙法というよりも放送法のしばりで、「テレビは不偏不党でなければいけない」という自主規制だ。(44:56)

ではネット選挙解禁後、たとえばニコ生も自由にやって良いとなるとどうなるのか。選挙特番等は企画されると思うが、ニコ生には放送禁止用語もない。自主規制基準が大きく変わるなかでどんな番組づくりをするのだろう。(45:41)

夏野:そこはポリシーの問題だと思う。ニコ動は不偏不党だし、そもそも自分たちが主義を持っていない。自分たちをメディアと認識してもいない。完全にプラットフォームだ。ただ、公式コンテンツに関して言えば…、これはニコ動全員の意思ではないが、先日の党首討論を見た私としては政権を獲る可能性がない政党を呼ぶ必要はなかったと正直思う。反論のための反論に時間が使われて、まともな議論にならない時間もあったからだ。テレビはそれでも良いと思うが、ネットであればそうではないプラットフォームがあっても良いのではないか。特定政党を応援する意図でそれをやったら困るかもしれないが、そういう意図は透けて見えるものだ。(46:15)

津田:米FOXのように、応援先について旗幟鮮明なメディアもある。(47:22)

夏野:ニコ動はそういう対応をとらない。そんな自信もないし、「すべてはユーザーが選ぶ」というスタンスだから。ただ、そういう放送局が出てきても良いと思う。皆もそれはそういうものだと思って見るだろう。それぐらいの見識は日本国民も持っていると思う。(47:31)

津田:ニコ動はプラットフォームでもあるし、もし特定の政党を応援をする人たちいればご自身でチャンネルを開設して貰って…。(47:49)

夏野:それで勝手にやればいい。今の公選法は国民を馬鹿にしている。ペットボトルの蓋次第で投票先を変える国民がいると本気で思っているのか。もう少し国民のレベルは高いという視点で法制度も見直して欲しい。(47:56)

津田:ネガティブキャンペーン対策についても議論したい。自民党案にはプロバイダ責任制限法の修正も含まれている。現在の同法では、たとえば悪意ある中傷と認められたものでも削除に1週間ほどかかる。選挙期間は2週間弱だからネガティブキャンペーンは致命傷だ。従ってその期間だけ、政治家への悪意ある中傷等も1〜2日で削除可能にする案が今は出ていると思う。(48:21)

ただ、グーグルには予測検索つまりサジェスト機能がある。あれはどうなるのか。議員の名前を入力すると、現在は議員にまつわる過去のネガティブな出来事やデマが予測結果として表示されることも多い。選挙期間中に選挙区の議員を調べようとして、初めて検索窓にその名前を入力したとき、ネガティブな言葉が並ぶのであれば中傷と同じようなものだ。これはプロバイダ責任制限法でどうこう出来る問題でもない。(49:05)

実際、去年はそれで裁判も起きた。ネガティブなデマを差し止めして欲しいという個人の訴えに対し、地裁がグーグルに差し止め命令を出した。しかしグーグルは「日本の法律には縛られない」と拒否した。しかも予測検索の情報はブログやツイッターに掲載された情報と違うため、この種の問題に対応出来ない。さらに言えば、ネットに巨大なプラットフォームを持っているのは、グーグル、アマゾン、フェイスブック、ツイッター、等々、ほぼすべてがアメリカ企業だ。そこで日本の法制度と相当な齟齬が生じる部分もあると思うが。(49:49)

松田:現行法でも落選運動は規制されていない。その辺は柴山さんのお話通り、政治活動か選挙運動かという部分で分かりづらくなっている結果だと思う。ただ、我々の提案でも落選運動は規制していない。落選運動やネガティブキャンペーンに対し、我々もネットで反論出来るようになるからだ。たとえば法廷選挙費用内の有料広告内に誹謗中傷に反論するバナーを貼るであるとか、そういうことをやっていけば良いのではないか。基本的には自由にして、問題が起きたらその都度考える形にすることでまず前に進めるべきだと思う。(50:46)

鈴木:最悪のケースも良いケースもいくらでも考えつく。ただ、今までは最悪の結果になる可能性がゼロにならなければやらないという形だった。そこはある程度、比較考量で思い切りが必要になるだろう。(52:08)

今でも虚偽表示罪はリアルとネットのどちらも対象になる。従って我々としては、善意の人がネットで何かを言いたいというのであれば、「どうぞ言ってください」と。ただ、虚偽であると知りながら悪意を持ち、しかも何度も中傷等に及ぶのであれば虚偽表示罪で罰するという話になる。まずはそんな形ではじめるべきではないか。3年ほど経ったのちに皆で一度振り返り、さらに洗練していけば良い。個人的にも民主党としてもそのように整理している。(52:28)

津田:どの議員も何かしらネガティブキャンペーンに遭っている。それはそういうものなのだと、意識を変えて時代に合わせるという感じだろうか。(55:32)

鈴木:民主党にもネガティブキャンペーンに遭っている人は数多くいて、「こういうことをやられたから心配だし反対だ」という話にいつもなる。それはたしかに分かるし、その可能性をゼロに出来るかと訊かれたら「出来ません」となる。ただ、それを上回る反論も出来る訳だし、やはり政治を有権者に近づける有力なツールとしての価値に掛けようという話を今はしている。(53:48)

これは会場の皆さんにもお願いしたいのだが、とにかく「やっぱりネットを使って良かったね」という形に皆でしていきたい。マイノリティだけどモンスターといった人たちはどこにでもいるが、日本はノーマルなマジョリティが彼らにモノを申さない。しかしネットの世界では見殺しにしてはいけない。そうでないと健全な議論が進まないし、叩かれながらも勇気を持って最初に立ち上がった政治家まで「ほらみろ」と言われてしまう。進化させながら継続させていくためにも、マジョリティにはぜひ立ち上がって欲しい。(54:26)

津田:それを、今ニコ生でコメントしている人たちに出来るかなというのはあるが(会場笑)、いずれにせよエールを送ることは出来る。ユーザーがニコ生でコメントし、それが政治家の方々に届けば「あ、こうなんだ」という感じで対話がはじまるのもソーシャルメディアの力だ。(55:27)

「投票以外にネットの集合知をパブリックコメントとして政治反映させていく道も」(津田)

柴山:放送メディアが今のままで良いかという問題については私も強く感じている。「公正中立でなければ候補者の公平な競争を害する」というのは分かるが、実は公正中立を装って不公正な報道をすることも結構ある。従って、たしかに電波は有限だが「うちはこの政党を応援する」というところが出てきても良い時期かなと思う。それを国民も分かったほうが、むしろ最終的には良い結果が出てくるのではないかなという気すらしている。(55:48)

それと先ほどのネガティブキャンペーンについてだが、夏野さんがおっしゃる通りだ。それをやったからすぐさま有利になるとか不利になるとか、そういうことはないと思う。私も今回の選挙で膨大な怪文書を撒かれたが、それでも圧勝した。有権者がある程度成熟した社会であればきちんと反論も出来るし、事の真偽をウェブで調べることも出来る。ただ、そこへいくまでには若干時間がかかるのかなとは思う。ネットの作法、あるいは自分でしっかりと調査あるいは健全に批判精神を持つというような能力を、有権者の方々に持っていただけるようなプロセスが必要だろう。とにかく私も現在の自民党案でやっていただいて良いと思うが、その辺については来週の政党間協議を、固唾を呑んで見守ることになると思う。会場の皆さまにもぜひ世論をつくって欲しい。(57:06)

津田:アメリカ企業にプラットフォームがほぼすべて握られている状況についてはどうだろう。(58:40)

夏野:夏野剛と入れると“離婚”とか出てくる(会場笑)。もう止めてくれよと(笑)。ただ、プラットフォームの国籍はあまり関係がないかなと最近は思っている。あちらにしてみれば日本の政治に関心なんてほとんどないと思うから。グーグルというアメリカの民間企業が米政府の意図で何か操作をするといったようなことを言う人もいるが、それはSF。彼らが考えているのは「どれだけ効率的に世界で情報インフラをつくることが出来るか」といったようなことだけで、政治に関して言えばむしろ中立で良いかもしれない。(58:55)

津田:もうひとつ、オープンガバメントについても議論したい。ウェブで政治との距離を縮めるという意味では、民主党政権だったここ3〜4年で政府の情報というか、データが数多く公開されるようになった。それを官民が利用することで政治との距離も縮まってきたと思う。民主党政権には色々な評価があると思うが、こと情報公開やオープンデータの領域では本当に進んだと思う。特に事業仕分けのなかで、5000におよぶ国の事業に関してお金の流れを明らかにした「行政事業レビューシート」。あれは大きな成果だったと思うが、自民党政権で続くのだろうか。現在の自民党は民主党がやっていたことを否定するところから入るような側面もあるように感じるが。(01:00:23)

柴山:行政管理については総務省の所管だが、行政改革一般については行革担当大臣が別にいる。ただ、実は行政レビューシートというのは、自民党の若手がパイオニアとなって…河野(太郎・衆議院議員)さん、平(将明・経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官)さん、あるいは私が、構想日本で最初につくりあげたものを蓮舫(参議院議員)さんが事業仕分けに活用したものだ。あれを、たとえば決算委員会や決算行政監視委員会、あるいは総務省の行政管理セクションで活用するという考え方はあると思う。方法次第でよりフェアに生かすことが出来るのではないか。それが政府の共通認識になるかは分からないが。(01:01:41)

いずれにせよオープンガバメントは情報通信に関わる分野だし、まさに我々が今後進めていかなければいけない。当然、民主党がやったことだから否定するのではなく、よりバージョンアップする形にしていきたい。(01:02:56)

津田:政治参加という意味で言うと投票以外にもうひとつ、政府方針等へのパブリックコメントがあると思う。ただ、実際にはほぼ結論が出た段階での募集が多く、コメントによって結果が変わることは今まで一度もなかったとも思う。そうではなく、たとえば行政や自民党内でリアルタイムに行われている政策議論の一部をニコ動等で公開していくといった方向性はどうだろう。論点を絞りつつ、「こうしたほうがもっと良くなるのでは?」という風にして限定的に参加させ、熟議する。そんな政治参加の形もあると思う。(01:03:14)

鈴木:事例を紹介したい。研究費というのは以前であれば単年度主義で3月に使い切る必要があったのだが、これについて、文科副大臣時代にはじめた「熟議カケアイ」というプログラムで議論した。これは、現場で研究している20〜30代の博士やポスドク、あるいは助教授ぐらいの人たちに集まって貰い、リアルとネットの両方で熟議するというものだ。そこで「予算の使い方に関してひとつ制度改革を要求したい。何が一番必要だろうか?」と、議論のプロセスも公開しつつネットで意見を募った。すると「研究費を繰越出来るようにして欲しい」という要望が上がってきた訳だ。(1:04:14)

それで、繰越が出来るよう若手向けの科学技術研究費に関する法改正を行った。これは一石三鳥だ。困ったのは財務省だけ。研究者たちは「繰越が出来るなら2%予算が減ってもいい」とまで言ってくれていた。3月末に研究を止めて使い切るとなると、それで1カ月も時間が取られてしまうし、彼らとしても「税金を使って研究をさせて貰っているので良心が痛む」という思いがあったからだ。それをしなくて済むから研究者も嬉しいし、納税者も100の予算が98に、あるいは100の予算で102のパフォーマンスなるから嬉しいと。小さな事例だが、ご指摘のようなことはすでにはじまっていると思うし、10万人が支持すれば法律ができてしまうということには言及しておきたい。(1:05:16)

津田:直接民主制ではないにせよ、集合知のようなものが間接的に影響を与える環境がネットにはある。それもひとつの可能性だと思う。このあたりでフロアからも質問をお受けしよう。(1:06:21)

「真の政治参加誘因にはネット投票導入も不可避」「政治献金やエンフォースメントの議論も必要」(会場)

会場(郷原信郎・郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士):新しい選挙ルールをどのように守らせるかというエンフォースメントの議論も重要だと思う。諸外国では専門機関で悪質性を判断し、そのうえで罰則を適用する形が多いが、日本では直罰というか捜査機関の裁量で適用可能だ。検事としての経験から言っても恣意的で不公平になると思う。それを放置したままネット選挙運動を解禁すると、真に志ある人が狙われることにもなりかねないのではないか。捜査機関の介入が出来ない仕組みをつくらないといけないと思うが、どうお考えだろうか。(1:07:23)

会場(加治慶光・内閣参事官):今日お話を伺って「沈黙は改革の敵である」と感じた。本セッションをご覧になっていらっしゃる方々に向けて、ぜひスピークアップするための良き動機を一言ずつ挙げていただけないだろうか。ネット選挙運動の解禁が日本にもたらす効果を皆さまからそれぞれいただければ、皆も勇気が出るのではないかと思う。(1:09:35)

会場(神谷宗幣・自民党大阪府衆議院第13選挙区支部長):ここまでの議論は“選ばれる側”の論理に多少寄っていたと思う。有権者の便益で考えるとどうかという観点から伺いたい。たとえば私は選挙前に動画を撮り溜め、公示前に「選挙期間中はこれを見てください」と言ってサイトに載せる。それを公示後に観て貰えば違反にならないからだ。従って選挙運動に論点を絞るのでなく、特にネットを使う若い方々の投票率を上げるための施策が必要だと思う。で、そうなるとやはりネット投票が必要ではないか。将来のネット投票に向けてどんな整備が必要になるとお考えだろうか。(1:10:33)

会場(佐藤大吾・NPO法人ドットジェイピー理事長):政治参加の方法としては政治献金もあると思う。しかし現在、ネット政治献金に関して二つの問題がある。まず、議員側から要望を受けた三木谷さんらが大変尽力され、大変なコストをかけてプラットフォームをご用意された訳だが、はじめてみると議員の方々があまり活用しておられないと感じている。もうひとつはモバイル。キャリア3社ともネット政治献金をモバイル決済したがらず、内部規定で禁止になっている。法律上は問題ないと確認した。あとはモバイル会社の話になると思う。この2点はどうだろう。(1:11:51)

会場(瀬尾傑・講談社『現代ビジネス』編集長):ネット投票について賛成か反対か。理由も併せて一言ずつ伺いたい。(1:13:35)

柴山:公選法を恣意的に運用させないための仕組みづくりは本当に重要だと私も思う。ただ、運用が難しい。表現の自由ということもあるので、あまり厳しい規制は出来ないのかなと。特に「お金が絡む部分では候補者間の差を少なくしていこう」という部分がセンシティブだ。従ってそこは原則自由とする。で、お金の差についてはネット献金の推進、あるいは…、公的費用をどんどん入れようという意味ではないが、場合によってはある程度の政党助成金等で色をつけるとか、そういう形にする。そこで表現に関しては自由とする一方、第三者機関が明解な形で取り締まりをしていくという方向が良いと思う。(1:14:08)

夏野:モバイルの政治献金に関する問題は単純だ。どこからどこまでが政党または政治的グループかという主体が掴みにくい。キャリアにはなんの悪気もないし、「正当なコンテンツが提供された対価に支払われるものならやりましょう」と。政治がそれを担保してくれるのならいくらでも提供すると思う。ただし政治と宗教…、これは難しい。後々になって、「何故お前たちはこんなところの献金プラットフォームをやっているのか」と言われるのが怖いのだと思う。従って「ここは献金してもOK」と認定するような中立機関等をつくり、コンセンサスを形成していくほうが話としては早いと思う。(1:16:05)

津田:短期的にはネット投票に反対だ。e-Taxの利用者が少ないのは、電子化すれば楽になると言われていたものの結果的には余計面倒になってしまったからだ。ネット投票も同様で、マイナンバー制やバイオメトリクス認証による本人確認の技術等が追いつかないと余計煩雑になるだろう。むしろソーシャルメディアなどで投票を呼びかけていくほうが短期的には有効だと思う。(1:17:10)

松田:みんなの党はネット投票について法案にも書いているし、もちろん賛成だ。ただ、たしかに現在の技術では難しい。法案に書いたのも実はプログラム法と言われるもので、「将来的な解禁に向けて調査やR&Dをはじめよう」という形だ。いずれにせよ将来は技術的にも可能になると思うし、マイナンバー制などの制度論を含めて解禁の方向で議論したい。昨年の韓国大統領選はネット選挙とも言われ、大変な数の人々がネットに書き込みをしたが、実際にはネットで有利だった筈の文在寅さんが負けてしまった。ネット上で声を挙げる若い層と、投票する層がまだ一致していなかったからだ。そういう部分を一致させていくうえでもネット投票は絶対に必要だと思う。(1:17:59)

それとエンフォースメントについてだが、しっかりとしたガイドラインをつくっていくとともに、ノーアクションレター制度が必要になると思う。これについては質問主意書にも書かせていただいた。企業はノーアクションレター制度を活用出来るが、公選挙にもぜひ適用したい。(1:19:17)

鈴木:今のマスメディアは基本的には商業メディア。どうしてもステレオタイプな情報を流すようになってしまっている。良い悪いという話ではなく、そういうものだ。私はむしろSNSのソーシャルという部分に大変期待している。たとえばネットに動画を投稿する場合、そこには視聴率獲得以外にも色々な動機がある。世の中を良くしたいという動機で投稿する過程でさまざまなコミュニケーション生まれないかなと。そうすると、実は党派よりも世代間相違等のほうが大きいということも感じる訳だ。(1:19:50)

ただ、とにかく現在は特に国政選挙にあたって、マスメディアから流れてくる、党ごとの違いのようなステレオタイプな見方で投票先を選ばざるを得ない。そこでネット選挙運動が解禁になれば、あるいはネットで皆がさまざまな意見を言ってくれるようになれば、議員個人を見て「この人はこういうことを考えていて、この役割が得意だ」という風にもなるだろう。それが政党政治自体の枠組みも進化させていくと思う。だからこそネット選挙解禁、あるいはウェブが政治を動かすという部分に関して非常に期待している。(1:20:46)

柴山:ガイドラインを決める必要があるというのはその通り。ただ、ご質問のエンフォースメントでは行政の指導で何かをさせるのではなく直罰が適用されるので、ノーアクションレターには少し馴染まないように思う。(1:21:35)

松田:とにかく政治にありがちな総論賛成各論反対にならないよう努力したい。基本的には各論もだいぶ近づいている。ただ、今は鈴木さんが先ほど懸念されたように、若干、第三者のメールユースというところに危惧を感じている。ぜひここをなんとかして…、柴山さん個人は賛成ということをお聞きしたので安心したので、必ず実現していきたい。(01:22:03)

夏野:皆で一度、ゼロベースで考える必要があると思う。公選法ひとつとってもそうだ。警察が動くのはおかしい。ノウハウがない訳だから。ネット選挙運動にしても同様だ。たとえば解禁されるタイミングで第三者機関のようなものをつくり不偏不党に進めるとか、そういうことをしない限り、とにかく過去の延長線上に未来はないのではないか。周りに気を遣いながら少しずつ改革を進めるには、もう時を逸した。思い切ってゼロベースで考える。そのために政権交代も起こったりしているのだと思う。ぜひ皆でやりましょう。(01:22:34)

津田:ネット選挙運動を解禁すべきという議論から、今日は一歩前に進むことが出来たと感じる。これからウェブと政治の距離は縮まっていくと思うし、今この瞬間もニコ生で色々なコメントが来ていることを見るにつけても、ネットが政治と人々とを繋ぐ新しい窓口になると改めて感じる。1年後は状況が大きく変わっている可能性もあるので、また来年のG1でもこういった議論をしていきたい。今日はありがとうございました(会場拍手)。(01:23:22)

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