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4ステップ・アプローチ: 交渉に備えるための定石

投稿日:2015/05/09更新日:2019/04/09

このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

『グロービスMBAマネジメント・ブック』からの抜粋最終回となる今回は、「ゲーム理論・交渉術」章から「交渉の準備プロセス:4ステップ・アプローチ」をピックアップしました。交渉の下手な人は往々にして場当たり的に自分の主張を述べることに終始しがちですが、それでは良い結果は生まれません。多面的な視点から交渉の構造を立体的に捉えるとともに、Win-Winの落とし所を探ることこそが交渉上手につながります。

交渉の準備プロセス: 4ステップ・アプローチ

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【POINT】
交渉に臨むときには、交渉を妥結に導く3層構造を理解するだけでなく、交渉の構造や交渉相手、交渉目的などについて十分に理解しておく必要がある。交渉の準備プロセスとして、4ステップ・アプローチを用いるとよい。

◆STEP1: 交渉の構造を把握する

第1ステップは、交渉の構造を把握・再確認することだ。最初に行うことは、交渉者を取り巻く環境の整理である。交渉相手がだれを代表に立ててくるかわからない場合でも、相手組織の分析は欠かせない。

交渉が不得意なビジネスパーソンがえてして見落としがちなのは、「交渉は単純に1対1の当事者間で行われる営みではなく、関係性、構造の中で行われるものだ」ということである。「関係性、構造の中で行われる」とは、当事者の背後に組織内の立場や組織からの要求、組織間の力関係などがあることを指す。その場面だけを見れば1対1の交渉であっても、どのような構造や関係の下に交渉を行っているかによって、交渉の行方は大きく変わってくる。当事者レベルではまとまったかに見えた交渉でも、結局は背後にある組織などを説得しきれず、約束が守られないということも起こりうる。

交渉者を取り巻く環境を整理する方法として、マッピングかある。これは、交渉がどういう関係性の中で成り立っているかを図示する手法だ。たとえば、重要な商談に際して人脈図を作成すると、力関係が明らかになる。

環境整理の次には、問題(争点)の構造を整理する必要がある。争点をすべて洗い出し、自分なりに優先順位を付け、トレードオフ(一方を取れば一方を失ってしまうという関係)を整理しておくことで、Win-Winの決着を生み出しやすくなる。

◆STEP2: 相手の心象風景に立つ

第2のステップは、さらに踏み込んで、交渉相手の置かれた立場や関心事項、心理状態などを理解することだ。まさに観察力・洞察力が問われる場面である。その際には、<15>に示した3層構造が非常に役に立つ。

ここでのポイントは、自分と相手では「何を重要と考えているかの基準が違う」ということをしっかり認識することだ。優れた交渉者は、相手が重要だと感じるものを見つけ出し、それにうまく働きかける。

◆STEP3: 自分のミッションの確認

自分のミッションを冷静に把握することは意外と難しい。とくに複層交渉の場合、自分にどれだけの権限があり、どのようなミッションを与えられているかを認識しておくことは、非常に重要なポイントとなる。また、交渉に有利になるように状況を改善することができることも忘れてはならない。たとえば、十分な権限が与えられていない場合、相手の交渉に先立って上司に掛け合い、権限委譲をしてもらうことが可能かもしれない。さらに、そもそも自分は何のためにその交渉に臨み、交渉が決裂した場合にどのような選択肢があるか(BATNA)、どこで見切りをつけるのか(限界値)などを明確に意識することも重要だ

◆STEP4: Win-Winの妥結点を探る

交渉とは、「一方が勝ち、一方が負けるもの」ではなく、「両者が勝ったと言える妥結点を互いに見つけ出していくもの」である。これこそが、最近の交渉に関する研究が解明した最も重要なルールであり、「Win-Win」と呼ばれる考え方だ(<14>参照)。最近では、さらに一歩進んで、「Win-Win or No Deal」(Win-Winの妥結点が見込めないなら、無理に妥結する必要はない)ということもよく言われる。 Win-Winの状態の中でも、お互いの利得や満足度の合計が最も高い状態にもっていくことを「ジョイント・プロフィット・マクシマイゼーション」(Joint Profit Maximization)と言い、これが最高の妥結点となる。最近の交渉術の研究では、交渉者はこの最高の状態を目指すべきだと説いている。

交渉に備える: 4ステップ・アプローチ

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ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

 

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