6月29日からウィンブルドンが始まり、8月には全米オープンが待ち構える。日本でも、錦織選手の活躍でテニスファンが増えたことであろう。ATPよると、2013年には4,470,000人の観客が試合に足を運んだという*1。スポーツ競技団体にとってファンが増え観戦する人が増えることは、収益向上の点からとても重要になるが、ではいったい1大会、観客のチケット収入はどれくらいの規模になるのだろうか。
そこで役に立つのが「フェルミ推定」だ。
フェルミ推定とは、手元に的確な数値を持っていないときや数字の入手が困難な時に、様々な手かがりを元に論理的に数値を推論し概算する手法である。今回は、全米オープンを例にとって考えてみよう。まず、1大会あたりのチケット収入をどのように計算するかを考えてみる。
まずはこのように「分解」を用いて、「1大会あたりのチケット収入」をどのような数式で計算するのかを考える。次に、白いボックスのそれぞれの数値を個別に予測してく。
会場の収容人員数=20,000
(実際には、テニスのスタジアムは10,000~15,000位が多いが、全米オープンのセンターコート、アーサー・アッシュスタジアムはかなり大きく23,000である。)
座席稼働率=90%
チケット平均金額=150ドル
試合数=28
(全米オープンは試合ごとにチケットが販売されるのではなく、デイチケットパスとサイトチケットの販売になるため、開催期間14日の2倍の28日を「試合数」として読み変えた)
これらをかけ合わせていくと、全米オープンのチケット収入は約7600万ドルとなる。Newsday*2によると2007年は7650万ドル、2013年のチケットセールスは9850万ドルといわれているので、おおよその規模感をとらえるのに「フェルミ推定」は大いに役立つ。
皆さんが新しい企画を提案する際にも、このフェルミ推定という方法を利用して短時間で定量的インパクトも概算し、定性・定量を押さえた提案にしてほしい。
【出典】
*1 ATP WORLD TOUR
*2 Newsdayより「U.S. Open ticket prices rise in past 7 years with steady attendance, report shows」
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