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『ROICツリーで読み解く経営戦略』――実践的な経営分析の視点を身につける

投稿日:2025/04/14

実践的な経営分析の視点を身につける

財務指標を経営の意思決定にどう活用すればいいのか?アカウンティングを学び始めたばかりの人にとって、大きな疑問のひとつではないだろうか。財務諸表の構造を理解し、財務指標が計算できるようになっても、それをどのように経営に活かすのかが分からないと、知識を実務に結びつけることは難しい。

そんなアカウンティング初学者にとって、実践的な経営分析の視点を身につけるのに最適なのが本書である。本書は、事業活動に投下した資本からどれだけのリターンを生み出せたかを示すROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)という財務指標を中心に、企業の財務状況を分かりやすく分析する方法を解説している。特に、ROICをツリー構造で分解する「ROICツリー」を使うことで、様々な事例を通じて、企業の経営戦略を視覚的に理解できるのが特徴だ。

ROICはなぜ注目されているか

本書で取り上げるROICは、最近注目を集めている財務指標である。2023年3月、東京証券取引所(東証)は上場企業に対し、資本コストを意識した経営と企業価値向上の取り組みを求める方針を発表した。特に、PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)が1倍を下回る企業に対して改善策を求める姿勢を強めている。

ROICは先述の通り、企業が投資した資本に対してどれだけの利益を生み出しているかを示す指標である。これと企業の資金調達に伴う資本コストとの比較によって、投資家の期待を上回るリターンを生み出せているのかを測ることができる。資本効率が低いとされるPBR1倍を下回る企業の多くは、東証の要請や海外投資家の関心の高まりを受けて、ROICを改善するための経営改革に乗り出すケースが増えているのだ。

様々な事例を通じて、視覚的にROICの理解を深める

アカウンティング初学者が活用方法と共に戸惑うのが、たくさんある財務指標の関係性である。一つひとつの計算方法や表すものが理解できても、各指標を点として捉えてしまい混乱する。そこで本書のテーマであるROICツリーだ。ROICツリーは、財務指標のつながりを視覚的に理解することができるのだ。

そして、つながりの理解よりもさらに重要なのが、冒頭の「数字をどのように経営の意思決定に活かすのか」である。この疑問を持つ初学者は多いにも拘らず、アカウンティングの入門書でそこまで踏み込んでいるものは多くない。本書のようにROICをツリー構造に分解すると、具体的に何を改善すればROICが向上するのかという視点で分析でき、経営の意思決定への活かし方を学ぶことができる

また、テスラとトヨタの比較を始め、村田製作所、ニデック(旧日本電産)、信越化学工業、レゾナックなど、実際の企業の事例を使った分析が示されているのもポイントだ。各社の経営戦略の特徴が描かれており、興味を惹く内容である。加えて、ROICツリーを使った粉飾決算の分析も面白い。財務指標にすることで見えてくるものもあるのである。財務データの裏側(企業の事業活動)を読み解くことができる。

経営の意思決定に役立つ財務分析を学ぶのに最適な一冊

ROICツリーを活用することで、数字の比較にとどまらず、企業の実態をより深く読み解くことができる。単なる計算知識ではなく、 経営の意思決定に役立つ財務分析を身に付けたい方に最適な一冊である。ぜひROICツリーを活用した経営戦略の分析を学んでみて欲しい。


ROICツリーで読み解く経営戦略
著:野瀬 義明 発行日:2024/4/17 価格:2640円 発行元:中央経済グループパブリッシング

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