ビジネスの現場では、売上の変化や顧客行動の原因を探る場面が多くあります。そんなとき、「因果関係」という言葉がよく使われますが、実際に正しく理解できているでしょうか?
因果関係を見誤ると、誤った意思決定につながるリスクがあるため、正しい理解が欠かせません。
本記事では、因果関係の基本的な意味から、判断時の注意点、そしてビジネスに活用する際の考え方までを解説します。
※本記事は、GLOBIS学び放題の学習コース、「因果関係 ~原因と結果の関連を理解する~」の内容をもとにしています。実務で活用する方法など、より詳しく因果関係について知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。
因果関係とは何か:基本の定義と例
因果関係とは、「ある出来事や状態(原因)が、別の出来事(結果)を引き起こす関係」のことを指します。
たとえば「テレビで商品が紹介されたら、翌日に売上が増えた」ようなケースは、「テレビ出演」→「売上増加」という因果関係と考えられます。
しかし重要なのは、「変化が同時に起きた=必ず因果関係がある」とは限らない点です。見た目の関連性があっても、慎重に検証する姿勢が必要です。
因果関係のビジネスにおける重要性
因果関係を正しく捉えると、以下のようなビジネス上のメリットが得られます。
問題の本質を見極める
在庫が余っている場合、その原因が「需要予測の精度不足」と判明すれば、改善すべきはプロモーションではなく予測精度ということになります。原因を正確に突き止めることが、無駄のない対策につながります。
成功パターンの再現が可能になる
「人気雑誌で紹介された商品は認知度が高まる」という因果関係が成り立てば、新商品を同じ媒体で取り上げてもらうことで効果が見込めるわけです。これにより、過去の成功を未来に活かす施策設計ができます。
自分の行動の先を予測できる
「ビジネススクールで学ぶことで年収が上がる」という因果関係がデータで確認できるなら、将来のリターンを想定した投資判断がしやすくなります。
因果関係を見極める3つの条件
因果関係が成立するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
1. 時間的な順序が正しいこと
原因は結果の「前」に起きていなければなりません。
たとえば半年以上前から行っていたPRの成果が出ない理由が「最近登場した競合商品」だとすれば、時間の順序に矛盾があり、因果関係は成立しません。
2. 相関関係が存在していること
一方が変化したときに、もう一方にも変化が見られる関係が相関関係です。ただし、相関があってもそれが必ず因果であるとは限りません。
たとえば、A社の売上が増加し、同時にB社が減少していても、それだけでは「A社がB社の売上を奪った」とは言い切れません。
3. 第三の要因(第三因子)が存在しないこと
表面上の関係の背後に、共通する別の要因があるケースです。
たとえば、「人気の本屋の近くにカフェを出せば売上が上がる」と考える人がいても、実は本屋とカフェの立地条件が好立地であることが売上を左右しているとしたら、その立地が第三因子です。
よくある因果関係の誤解とその落とし穴
因果関係は分かりやすそうでいて、実は簡単に間違いやすいポイントが多くあります。
直感だけで結論を出してしまう
「留学経験がある人は有名企業に就職しやすい」など、経験則や印象だけで因果関係を語ると、実際にはデータで裏付けがないことがほとんどです。
第三因子を見落とす
本屋の例のように、因果関係だと思った要素の背後に、別の共通要因が存在している場合があります。これに気づかず対策を打つと、期待した効果が得られません。
原因と結果を取り違える
「コストが低いからシェアが高い」という判断は一見正しそうですが、実は「シェアが高いから大量生産が可能で、結果コストが下がった」という逆の因果である可能性もあります。
「最後のきっかけ」がすべての原因に見えてしまう
「靴下の脱ぎ方が原因で妻に出ていかれた」と思っていても、実際にはそれ以前からの不満が積み重なっていた可能性が高いというのもよくある誤解です。
因果関係を誤らないために意識すべき習慣
因果関係の誤認に敏感になる
「〇〇をすれば△△になる」といった表現は、本当に因果関係があるのか慎重に検証する姿勢が大切です。広告やセールストークでは特に注意しましょう。
立ち止まって考える癖をつける
「時間的順序」「相関関係」「第三因子の有無」という3つの視点を持ち、即断せず立ち止まって確認することが、因果関係を誤らない第一歩です。
まとめ:因果関係を理解することが正しいビジネス判断への鍵
因果関係を正しく理解することで、問題の本質を見極められるようになり、的確な打ち手を考えることが可能になります。
また、成功事例を再現したり、自分の行動の先を予測したりするうえでも有効です。
しかし、因果関係は一見すると明らかに思える場面でも、誤認しやすいポイントが多く含まれています。
思い込みや直感に頼らず、冷静に「なぜそうなるのか」を問い直す習慣が、誤った判断を防ぎ、確かな成果につながります。
仕事での分析や戦略立案、部下への指導など、あらゆるビジネスシーンで因果関係の理解は強力な武器となるでしょう。ぜひ、日常の思考にも取り入れてみてください。
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