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堀義人のダボス会議2026(7)ダボス会議のまとめ

投稿日:2026/01/24

ダボス会議とは、官民連携のための国際機関である世界経済フォーラム(WEF)の年次総会の通称です。毎年スイスのダボスにて開催され、世界の政治・経済を中心としたトップリーダーが様々なテーマでセッションを行います。

グロービス代表・堀義人は今年で18回目の参加。リアルな様子を現地からレポートします。

18回目のダボス会議を終えて機内で、「ダボス会議のまとめ」を執筆し始めた。

今回のダボス会議は、本当に面白かった。最後に参加した地政学セッションで「今回のダボスはサーカスみたいだ。毎日10回ぐらいサプライズがある」とミュンヘンセキュリティ会議のイシンガー元会長が表現していた通り、役者も揃ったこともあり、地政学もテックの面でも実に刺激的な展開が多かった。

トランプ大統領を筆頭にG7のうち6カ国、全体では60カ国以上の元首・首脳が参加した。国連、IMFを含めて国際機関のトップがほぼ全員が参加し、ダボス会議に初登場のイーロン・マスク氏など世界からおよそ1000社のCEOも結集した。参加者は過去最高の約3000名。まさに世界の政治、経済の中枢が全てスイスの雪山に集まったのだ。

始まる前は、創設者のクラウス・シュワブ氏の不在を心配する声が多かったが、ブラックロックのラリー・フィンク氏とロシュのアンドレ・ホフマン氏の暫定共同議長とボルゲ・ブレンデ氏のリーダーシップもあり、結果的には過去最高のダボス会議になったと思う。 

やはり、ダボス会議には世界を動かす主要な人々が一堂に会することが重要だ。そういう意味では、ベネズエラ、イラン、グリーンランド、ガザ、さらにはウクライナなど地政学的な変化の中心人物であるトランプ大統領が参加したことが、ダボス会議に大いなる求心力と発信力を生み出したことは、紛れもない事実だと思う。

米国からの参加者が言っていたが「トランプ大統領のダボス会議のスピーチに世界中が注目していた」のだ。会議場内にいた人だけでもパワフルだが、中継で見ていた人も多い。僕は、euronewsのパネルへの登壇があったので途中で退席したのだが、会議場外でのパブリックビューイング的な集まり、街中での中継など皆がトランプ氏の言動に注目していた。内容が良いか悪いかは別として、世界のアテンションを得ることには大成功したと思う。

ジェーン・ハーマン氏が「トランプは世界のアテンションを独占していた」と指摘していた通り、翌朝の新聞もトランプ氏を含めて、ダボス会議の記事がトップ記事どころか紙面全体の半分は占めていた。18回参加したが、これだけの注目・発信があったのは初めてだ。

一方、テーマは「A Spirit of Dialogue」だったが、日本のメガバンクのトップは「Monologueだろう」と言っていた。確かにだ。でも、トランプ氏以外は、しっかりと対話ができていたと思う。僕も個人的には、世界からの参加者と対話をして、毎日ワクワクしながら過ごすことができていた。

ダボス会議2026年のポイント5つ

さて、前置きが長くなったが「ダボス会議のまとめ」として対話を通して気がついたことを、5つにまとめていきたいと思う。

1)トランプ対欧州:

まずはなんと言ってもトランプ大統領でしょう。欧米諸国が中心となって戦後に築き上げてきたルールに基づく自由で民主的な世界秩序を自らが崩壊させ、力による「ジャングルの掟」、つまり帝国主義的な時代に逆戻りさせた張本人だからである。

直前に「グリーンランド」問題で英独仏を含むNATO8カ国に対して10%追加関税をかけると発言したことは、欧州を揺るがせて、金融市場の株式、為替、債券のトリプル安となった。また、トランプがグリーンランド獲得のためには軍事力行使も否定しないと発言したことは、NATOの崩壊を意味していた。数多くの国際機関から離脱すると表明し、一方的にSNSで発信して、世界を激動の渦に巻き込んだ。

米国のリーダーの多くは、トランプ大統領の手法・発言には明確に反対している。従って、「米国対欧州」というよりも「トランプ対欧州」という構図になっている。

今は、まさに同盟関係に亀裂が入っている。フォン・デア・ライエン欧州委員長は、「欧州の独立」という言葉を使っていた。過去の欧州の栄光というノスタルジアから決別して、強い危機意識を持ち、経済的にもテクノロジー的にも防衛的にも強い欧州を確立するのだと言う強い意志を感じた。

そしてカナダのカーニー首相は「ルールに基づく国際秩序が衰退し、大国間の対立が激化している時代。ミドルパワーが協力して新しい秩序を作る必要性がある」と訴えた。マクロン大統領は、「力の論理に屈することなく、法の支配・敬意を選ぶべきだ。いじめっ子にはノーだ。欧州がいずれの大国にも従属することは受け入れられない」と強調した。

その裏では、ロシアや中国が存在感を発揮している。プーチンは、「トランプがグリーンランドを手に入れたら歴史に名を刻むだろう」と称えて煽ったり、米国が作り出した真空状態に漁夫の利を得て存在感を上げているのが中国だ。

トランプ大統領は、スピーチ以外にも3つの大きな地政学的な議論をダボス会議の場で行っており、20カ国近くの首脳と会っていた。

  • ルッテNATO長官とデンマークについての協議
  • ゼレンスキー大統領とのウクライナ和平についての協議
  • 「平和協議会」の設立

さらには、主要なビジネスリーダーを集めた会合とディナーだ。まさにサーカスを見ているかの様なサプライズが起こり続けているのだ。世界の注目がダボスに集まっていた。

2)AI時代の雇用と教育:

「2つのダボスがある。一つが地政学。そしてもう一つが民間主導のテックやAIである」とジェーン・ハーマン氏が指摘していた。ご指摘のとおり民間人の議論は、AIが中心だった。今回は、主要なAI学者やビッグテックのリーダーが集結していた。グーグル傘下のDeepMindのデミス・ハサビ氏、Anthropic社CEOのダリオ・アモデイ氏などだ。さらには、xAIのイーロン・マスク氏やマイクロソフトのサティヤ・ナデラ氏、アップルのティム・クック氏などだ。

Anthropicのアモデイ氏は、 AIがホワイトカラーの初級職の最大50%を消す可能性を予測し、労働市場全体に深刻な転換点が来ると警告していた。ハサビ氏は、AIへの脅威については、全て人類の意図と意志によって良い方向にも悪い方向にも使われると弁明していた。AI脅威論が、議論の中心だった。

IMF専務理事のゲオルギエワ氏は、AIの進展が労働市場に “津波” のような影響を及ぼすと強い表現で警告した。先進国では約60%の仕事がAIによって変容・消滅し、世界全体でも約40%の仕事が影響を受ける。特に、エントリーレベルの仕事はAIで置き換えられるリスクが高く、若者の就職機会が狭まる可能性を指摘した。

これらを聞くと暗澹とするが、リクルートの出木場さんは「AIは仕事をすぐに奪うわけではない。生成AIは単純作業を自動化したり効率化したりするが、複雑な実務・専門知識を完全にAIが代替するわけではない。むしろ、生成AIによって、求人広告におけるAI関連スキルの比率が増え、AIが”新しい仕事”やスキル需要を生み出しつつある」 と指摘していた。コロナの時もリモートワークができたホワイトカラー労働者は20%程度でしかなく、80%程度の労働者は現場で仕事をしていた。AIで雇用が急激に減ることは考えにくいと指摘していた。

実際に、タレントコミュニティに参加した人材企業の多くは、「現時点で求人が減っている兆候は無い」と断言していた。むしろAI関係の職種で求人が急激に増えている。プロフェッショナルサービスの会社も、AIによって需要が生まれると予測している。エントリーレベルのホワイトカラーを減らすことも考えていない、むしろ20%採用を増やすと表明していた。またエントリーレベルの育成も、AI時代に適して加速させることができると断言している。実は人員を削減することなく、むしろ雇用を拡大させている会社が多いことに驚かされる。報道と実際の経営者の発言に乖離があることに驚かされた。

一方、教育については議論が分かれた。妻が出たセッションでは、「7歳までデバイスを与えて教育をした場合には、その後の成長が伸びないというデータがある」との意見があった。どうやら、スマホやiPadを使った教育や対話型AIなどは、即応性、個別最適性や承認的反応が強く、幼少期にこれに慣れると集中力の持続が困難、待つ力が育たない、刺激耐性が下がると言うのだ。また、AIが正解を提示すると「考えて迷う」「失敗する」経験が減ってしまうのだ。少なくとも小学校、場合によっては中学校までは、教育現場からAIを排除することが重要な気がする。

結局教育で一番重要なのは、規律ある姿勢、人間関係能力とクリティカル・シンキングだ。AIに頼らずに、規律ある姿勢を育み、協調性を生み出す機会を与え、徹底的にロジカルに考える力を鍛えることが重要だということだ。

「AIによって雇用が喪失する」と過度に恐れることなく、「AIを教育現場に入れないと遅れる」と過度に焦ることなく、どういう人間が将来必要となるかを議論して、教育を設計し、雇用を産み出していくことが重要だ。今の日本の初等教育はとても良いのでそのまま継続することができたら、世界の中で突出して良い人材を輩出し続けられるかもしれない。性急な議論で、日本の良さを見失ってはいけないと強く思った。

3)AIは企業を進化させるチャンスだ!:

AIの企業での活用方法についても活発に議論された。マッキンゼーのglobal managing partnerであるボブ・スターンフェルは、「AIの活用法として70%が生産性の向上で、30%が新たなビジネスモデルやプロダクトやサービスによる成長」と挙げていた。

AIは、もう既に各社では当たり前に導入されている状態だ。だが、数多くの経営者は、「費用の削減などが利益に直結していない。むしろAI投資の方が増えている」と嘆いていた。

PwCのモハマッド・カンデ会長は、 約56%の企業がAI投資から具体的な利益を得られていないと指摘している。課題は、AIに適した戦略や組織設計が行われていないことだ。従い、「どこで価値が生まれているか」を徹底的に検討して、顧客接点がある部署は人員を削減せず、バックオフィスやエンジニアの業務プロセスや役割定義を変更して生産性を上げつつ人員を削減し、新たな成長ドライバーとなる新たな事業に人材と投資を加速させることが重要なのだ。

「AIはツールではなくリーダーシップの問題 」だ。CEOがオーナーとなってAIを使う企業文化、ビジネスモデル、人材育成を同時に進めることが重要だというのがコンセンサスだった。

僕は、さまざまな場でグロービスが行っているAIによる教育を積極的に事例として発言してきた。要人が多い中で英語で発言するのはなかなか勇気がいるが、グロービスほどAIに真剣に取り組んでいる大学院は無いと確信しているので、堂々と手を挙げて発言した。

「グロービスは、テクノロジーの進化によって競合が変わってきた。最初の競合はハーバードとかスタンフォードだったが、eLearningが出てきたらソフトウェア会社が競合になり、その後コーセラなどのプラットフォーム会社、そしてUdemyなどのサブスク会社が競合となり、今やAI会社が競合になりつつある。

グロービスは、テクノロジーの進化のたびごとに対抗してビジネスモデルを進化してきた。今やビジネススクールとして異例だが2つのAI特許を持っている。しかも、ChatGPTで「世界最大のMBAはどこ」と聞いたら、「グロービス」と言われるまで成長している」これを説明すると大概「ワオ!」となる。

AIについて参加者が一様に言っていたのは、国、企業が使わないことのリスクだ。生産性の向上ばかりでなく、ビジネスモデルを進化させて企業成長に直結させることが重要だという結論に達していた。

4)信頼と対話:

僕が、取締役を務める世界最大の独立系PR会社であるエデルマン社は、世界の28カ国で33000人を超える人々に調査を行い、「信頼度指数」というものを過去25年にわたってダボス会議の場で発表してきた。毎年火曜日の朝に発表するので、ダボス会議のトーンを設定する役割を果たしている。

この25年間で信頼度は、どんどん低下して、「二極化」から「憤り」へと変遷して、今年は「孤立」へと悪化している。以下が主な調査結果だ。

  • メディア、政府、企業への信頼が低下する一方、会社の仲間や経営チームへの信頼は上がっている
  • 7割の人が、思想や政治信条が違う人を信頼しない
  • 7割の人が、未来は今より悪化すると考えている

つまり、未来は暗く、政治信条が近くて、身近にいる仲間やリーダーだけを信じるという結果だ。メディアも政府も企業も信頼されていない。つまり、信頼する対象がタコツボの様に孤立していっているのだ。出会う人、見る・読むメディア、SNSでフォローする人が画一的な人ばかりで、違う考えの人とは会うこともなくなっていくのだ。それが信頼度の「孤立」と言う現象だ。その孤立した状態が蔓延すると、社会全体の絆が減り、多様性の理解が減り、過激な活動に進みやすくなる。つまり、社会が不安定になるのだ。

この状況への解決策としてエデルマン社は、「Trust  Broker」と言う新たな役割を提唱している。Trust Brokerの役割は、多くの人に違う意見を聞く機会や意見を表明する場への参加を呼びかけることだ。何かを提唱したり説得することが目的ではない。対話により違いを認めて相手を理解する機会を作ることが重要だと言う。違う意見・人に触れる機会を作っていわゆる「ガス抜き」的に発言してもらうことが重要なのだと言う。

そのTrust Brokerの役割としては、すでに信頼されているリーダーやインフルエンサーが重要になる。彼らが、違う意見を聞き、相互理解を深めるという模範的な振る舞いをすることによって、二極化、憤り、孤立を和らげることができると言うのだ。重要なことは、各人が自らが心地よい思想や政治信条などが同じ仲間のみと交流するのでなく、可能な限り違う人と交流をすることだ。それが、社会全体のTrustを上げて、社会の安定性を高めることになるのだ。

エデルマン社のリチャード・エデルマン氏が立派だったのは「私は違う意見を持つ人に積極的に会って、Trust Brokerとしての役割を自らが果たす」と最後に宣言していたことだ。格好良かったですね。僕も、社会全体の信頼度を上げるために、可能な限りSNSやコラムで発信をしていきたい。日本という素晴らしい社会をさらに良い方向に向かっていく一助となれば、幸いだ。そのためにもG1の場で大いに議論をしていきたい。

5)巨大化するスタートアップとVC:

イーロン・マスク氏がダボス会議に初登場した。テスラ、Space X、xAIやロボットなどの刺激的な意見が興味深かった。何よりも、イーロンの最後のメッセージが秀逸だった。

「楽観的になって間違える方が、悲観的になって正しいよりも、よっぽど人生の質が高いから、楽観的でいましょう!」

イーロンとの会話を聞いていると、SFの世界を実現していくんだという強い意志を感じる。まさに「可能性を信じる」力がある人だ。

それらの新たな社会を実現するのに不可欠なのが、リスクキャピタルを投じるVCの役割だ。スタートアップの規模が拡大するにつれて、VCの規模化も重要になる。ダボス会議でベンチャーキャピタルコミュニティが発足してから4年間、僕は一度も欠かさずに参加している。まさに世界のトップVCと連携して、新たなイノベーションを創出するためだ。

ベンチャーキャピタルコミュニティに初回から参加している他メンバーにGeneral Atlantic, NEA, LightSpeedというVCがある。何と彼らの最新のファンド規模が700億ドルから1500億ドル規模だという。つまり1兆円から2兆円を超える規模となる。グロービスの7号ファンドはたったの727億円だ。せめて1000億円規模は、必要になるのではないかと思い始めた。

世界のスタートアップの規模化は半端ない。今年Space XやAnthropicが上場すると噂される。それぞれ200兆円とか数十兆円の規模が想定されている。
日本では米中に比べてユニコーンが少ないと言うが、考えてみたら当たり前だ。経済規模が違うからだ。米国が27兆ドル経済、中国が17兆ドル経済。日本はたった4兆ドルだ。米国と7倍の差がついてしまったのだ。そして米国トップ起業が世界市場を狙える可能性を考えたら、米国トップと日本トップの企業とでは、最低でも10〜20倍時価総額が違ってくるのだ。日本の時価総額100億円超の会社が米国ではユニコーンになっている感覚だろう。

ダボス会議に参加していると米国のスタートアップ企業が元気なことを痛感する。プロムナードというメインストリートは、米国のスタートアップが占拠している。セールスフォース社は、ビリー・アイドルを呼んでライブをするし、クラウドフレア社は夜のPIANO BARをスポンサーして来客者に無料でお酒を振る舞っている。

ダボスを歩きながら強く思ったことは、「日本だけで知られていても、世界においては無価値だ」ということだ。グロービスは世界で尊敬される会社・大学院になって初めて価値が生まれるのだ。だからこそ、GLOBIS NIGHTを開催しているし、Japan Nightをスポンサーしている。また、積極的にリーダーと会って発言して交流し、EuroNewsにも出演しているのだ。

日本だけで頑張っていても全くダメだと思う。もっと世界で暴れまくって、存在感をガンガンに出さないと行けない。機内で執筆しながら、さらに強くそう思うに至っている。世界No.1を目指さないと全く意味がないのだ。

姿を消したテーマと語られ始めたテーマ

と、「ダボス会議のまとめ」として5つ執筆してきた。他に気になったことも紹介したい。

今回特徴的だったのは、今までのDEIやSDGの議論が全く無くなったことだ。気候変動の議論は後退し、AIなどの規制緩和の議論もほぼ無かった。ダイバシティやサステイナビリティは既に禁句になっている。また、NPOや発展途上国の存在感が薄かった。

経済全般については、とても強靭だという評価だ。よく聞かれた言葉が、「Resilience」だ。コロナ、トランプ関税、ウクライナ・中東の戦争を経ても経済は予想を超える成長を遂げている。民間企業の強靭性が際立っている。だから、ダボス会議も活気があったのだろう。

また、今年のダボスでよく聞かれた言葉が、“Sovereignty“だ。日本語では「主権」と訳されるのだろうか。昨年まではほとんど耳にしなかった言葉だ。米中の超大国且つAI先進国、そして露を含めた軍事的覇権国に対して、ミドルパワーや小国はどうやって主権を守るべきなのか。国際法で守られていた時代から、強者が弱者をいじめる「ジャングルの掟」に移った時に、相対的に弱い国々はどうやって主権を守っていくのか。AIを自らが持つべきかなのか、軍事力はどうするのか。サプライチェーンはどうやって確保していくのかという議論の時に使われていたのが、このSovereigntyという言葉だ。

日本の主権はどうだろうか。隣国の強大な中国に対して、信頼できるかどうかが不明になってきた同盟国の米国。やはりカナダ、豪州、欧州そしてアジア諸国との連携が重要になってくるのであろう。日本の主権をどう守るべきなのかをG1サミットの場でも徹底的に議論していきたい。

あとよく聞かれた言葉が、武器化(Weaponization)だ。トランプが国内で行った「司法の武器化」、他国に脅しをかけている「関税の武器化」や中国のレアアースなどの「サプライチェーンの武器化」などで使われていた。レイ・ダリオ氏はさらに「資本の武器化」に警鐘を鳴らす。「対立を考えるなら、資本戦争の可能性を無視することはできない。言い換えれば、米国債を買おうとする意欲が以前と同じではなくなるかもしれないということだ」とCNBCで語っていた。

イアン・ ブレマー氏は、「世界の地政学的不安定の源は米国だ」とXに記した。まさに、トランプ大統領の登場によって世界秩序が崩壊し様変わりしたダボス会議だったが、むしろ活気に溢れて面白くなっているのは皮肉なことだ。イーロンが言った通り全てを楽観的に捉えると良いのかもしれない。

トランプ大統領の登場で欧州が目覚め、それぞれの国が主権を守ることを真剣に考え始め、強くなる努力を行い、行き過ぎてしまったかもしれないDEIやSDGが修正されると思ったら良いことなのかもしれない(日本でも行き過ぎた働き方改革の修正が行われている)。また、予測可能性が下がっている時代は、むしろサーカスの様にサプライズが多くて面白いのかもしれない(当事者にとっては面白くないであろうが)。楽観的に捉えると、見方も変わってくる。

おわりに

今年は日本から、4大臣が登場した。史上初めて財務大臣と防衛大臣がダボスに参加したのだ。小泉進次郎大臣、片山大臣、赤澤大臣、松本大臣、ようこそです。
ダボス会議では、日本への関心は、いつにも増して高かった。日本については、僕が登壇したeuronewsの以下セッションが参考になると思います。

軽い気持ちで引き受けたセッションだが、意外にも欧州全域で見られている様で、イーロンのスピーチの最中に「今パリにいるのですが、ビジョンに堀さんが!!」と LuckyFes に3年連続で出演したハラミちゃんから写真付きで連絡をくれた。なんだか照れ臭いけど、嬉しかった!

ふとフライトマップを見ると、ウクライナを横目にロシア南の黒海、イラン北部のカスピ海を抜けて中国上空に差し掛かっている。
行きは北極海を通ってグリーンランドを横目にロシアの北側からミュンヘンに入った。まさに地政学的な変化によって、長いフライトとなっている。

おかげで、「ダボス会議2026のまとめ」の執筆が終わった。せっかく書いたので、多くの人にシェアしてくださいね!

2026年1月24日(土)
羽田に向かう機内にて執筆
堀義人


【ダボス会議2026速報】
堀義人のダボス会議2026(1)ダボス到着前のミュンヘン&リヒテンシュタインでの活動
堀義人のダボス会議2026(2)世界のトップたちと“対話”を重ねた初日
堀義人のダボス会議2026(3)ダボス会議に4大臣登場!
堀義人のダボス会議2026(4)トランプ大統領登場
堀義人のダボス会議2026(5)イーロンマスクが初登場 そして最後の夜へ
堀義人のダボス会議2026(6)学び、対話、発信の達成感を胸に18回目の帰路

【ダボス会議2025速報】
堀義人のダボス会議2025(1) 今年のダボス、主役は「トランプとAI」
堀義人のダボス会議2025(2)実り多いプライベートセッション
堀義人のダボス会議2025(3)久しぶりのGLOBIS NIGHT開催
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  • 堀 義人

    グロービス経営大学院 学長/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

    京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事を経て、1992年株式会社グロービス、1996年グロービス・キャピタル設立。2006年グロービス経営大学院を開学。2008年に「G1サミット」を創設。2011年には復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げる。2016年に茨城ロボッツ、2019年に茨城放送オーナー就任。2022年にLuckyFesを立ち上げ、現在総合プロデューサーを務める。2024年よりBARKSオーナー、世界最大のPR会社の米国エデルマン社 社外取締役。

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