競争環境が激化する中、組織が生き残るには「変革」が不可欠です。しかし、どれほど必要性を訴えても、現場はなかなか動いてくれない……。そんな悩みを抱えるリーダーにこそ知ってほしいのが、クルト・レビンが提唱した「組織変革プロセス」です。本記事では、変革が成功するまでの流れと、その背景にある心理的な仕組みを解説します。
※本記事は、GLOBIS学び放題の学習コース、「レビンの組織変革プロセス ~組織の変革を成功に導くプロセス~」の内容をもとにしています。実務で活用する方法など、より詳しくレビンの組織変革プロセスについて知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。

変革のカギを握る「3段階モデル」とは?
レビンの組織変革プロセスは、変革の流れを「解凍」→「変革」→「再凍結」の3段階に整理したシンプルかつ汎用性の高いモデルです。
このモデルの核心は、「人と組織は、安定状態にあるときには変わろうとしない」という前提です。変革を促すには、まずその安定状態を崩す=「解凍」から始めなければなりません。この段階で危機感や課題感を共有できなければ、後のプロセスが空回りします。
第1段階「解凍」——なぜ現状を揺さぶる必要があるのか?
変革の最初のステップは、「解凍(Unfreeze)」です。この段階では、過去の成功体験や慣習を手放し、変わる必要性を納得してもらうことが重要です。
たとえば、業績悪化を数字で示す、競合の動向を共有する、トップが強い言葉で危機感を発信するといったアクションが効果的です。重要なのは、「もうこのままではいけない」と組織全体が実感すること。逆に言えば、「なんとなく今まで通り」が続く限り、変革は始まりません。
第2段階「変革」——共通の未来像を描けるかがカギ
「変革(Change)」の段階では、変化の方向性を明確にし、新たな行動や思考様式を組織に浸透させていきます。しかしこのプロセスは、最も摩擦や混乱が起きやすい時期でもあります。
この段階で問われるのは、「変わった後の姿が明確か」「その未来に共感できるか」です。ビジョンが不明瞭だと、不安だけが広がり、現場の抵抗感を強める結果となります。そのため、リーダーがビジョンを繰り返し語り、部門を越えた対話の場を設けることが効果的です。
第3段階「再凍結」——変化を“当たり前”にする仕上げ
「再凍結(Refreeze)」では、新しい行動様式や価値観を、組織の標準として定着させることが求められます。ここでの目的は、変化を一過性の「施策」で終わらせず、持続的な成果に結びつけること。
たとえば、新しい制度をマニュアル化する、評価基準を変える、成功事例を表彰するなどの仕組みが「再凍結」の具体策です。このステップを怠ると、変革前の状態に逆戻りしてしまう可能性が高くなります。
なぜ人と組織は変革に抵抗するのか?
変革に抵抗があるのは当然のことです。人間は「変わること」よりも「変わらないこと」に安心を覚える生き物だからです。スティーブン・ロビンスは、この抵抗を「個人の要因」と「組織の構造的要因」に分けて説明しています。
- 個人要因:習慣、安全欲求、経済的不安、未知への恐怖、選択的情報処理
- 組織要因:文化の慣性、限定的な変革、権力構造や資源配分の崩壊リスク
これらの抵抗の背景を理解しないまま、ただ押し通そうとすると、変革は失敗に終わります。
抵抗にどう対応するか?コッターの6つのアプローチ
変革をスムーズに進めるためには、抵抗への対処戦略が欠かせません。ジョン・コッターは、以下の6つのアプローチを提唱しています。
- 教育とコミュニケーション
- 参加の促進
- 手助け(スキル習得支援)
- 交渉と合意形成
- 戦略的懐柔
- 強制力の行使
状況や時間的余裕に応じて、柔軟にこれらを組み合わせることが成功のポイントです。
まとめ:変革とは「動かす」だけでなく「根付かせる」こと
レビンの組織変革プロセスは、単なる「変化の実行手順」ではなく、「変化を文化として定着させる仕組み」でもあります。
現状を揺さぶり(解凍)、新たな方向を示し(変革)、それを新たな安定状態として固める(再凍結)——この流れを丁寧に踏むことで、組織は初めて本当の意味で変わることができます。
この学びがもたらす実務上のメリット
このプロセスを理解し実践することで、以下のような実務上のメリットが得られます。
- 組織内での合意形成がスムーズになる
- 抵抗があっても感情的対立に発展しにくくなる
- 変革が一過性のイベントで終わらず、継続的改善へとつながる
「変革の失敗」は、戦略やツールの問題ではなく、「人の納得感のなさ」に起因するケースが多いのです。だからこそ、レビンのフレームワークが今でも実務において有効なのです。
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