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「マトリクス思考」で迷う時間を減らし、動く時間を増やせ

投稿日:2025/04/14更新日:2025/05/19

今年3月発売の『マトリクス思考』から「プロローグ――あるビジネスパーソンの悩み」の一部を紹介します。

マトリクスを用いたフレームワークを見られた方は多いでしょう。マーケティングで用いるポジショニングマップや、経営戦略のPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)やアンゾフの事業拡大マトリクスなどは典型的なマトリクス型のフレームワークです。たった2本の軸を引いて物事を整理できるのがマトリクスの優れた点です。これを用いることで整理や分析が非常に効果的になり、より良い示唆を得たり、別の仕事に時間を使うことも可能になるのです。

 マトリクスは既存の有名なものを知ることも効果的ですが、状況に応じて自分でオリジナルなものを作ることもできます。この使い勝手の良さがマトリクスというフレームワークの型の魅力でもあり、ビジネスパーソンの腕の見せ所でもあるのです。

 (このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)


マトリクスは自由に作ってもいい!

「専務、ありがとうございます。これで皆に迷惑をかけなくて済みます」
「それはよかった」
「それにしても、こんなやり方があるのですね」
「これはアイゼンハワーマトリクスと言って、元アメリカ大統領のドワイト・アイゼンハワーが自身の仕事の優先順位をつけるために考案したと言われているものだ。別名『緊急度×重要度マトリクス』とも呼ばれている」
「2軸を掛け合わせて配置するだけで、効果的に仕事が整理できるのはいいですね」
「この図に限ったことではないけど、2軸を掛け合わせるという方法はよく用いられているよ。マトリクス思考という考え方で、誰もが身につけることができる、非常に有効な発想法だ」
「マトリクス思考? 確かに2軸で4象限に分けた図はたまに見かけますね。そうしたマトリクスはすべて勉強しておくといいのですか?」
「もちろん、ビジネスに応用できる有名なマトリクスは知っているに越したことはない。アンゾフの事業拡大マトリクスとか、アドバンテージ・マトリクスとか、Will-Skillマトリクスなど、ビジネスフレームワーク、つまり物事を考える枠組みにマトリクスの形をしたものは多いからな。ただ、既存の有名なものを用いることも効果的だけど、新しいマトリクスを自分で考えることも効果的なんだ」

 専務の意外な発言に私は驚き、少しだけ大きな声を出してしまった。

 「えっ、自分で作ってもいいんですか?」
「そうだね。少しコツは必要だけど、誰もが自分でオリジナルのものを作って活用できるのがマトリクスのいい点だ。たとえば自分の部下を指導する指針を考えるために部下をタイプ分けするとしよう。2軸を選ぶとしたらどんな軸が考えられるかな」
「そうですね。先ほど専務が言われたウィル、すなわちやる気とスキルの2軸で整理するのはよさそうですね」
「そうだね。他にオリジナルのアイデアはあるかな」

私はしばし考えた。

「そうですね……。たとえば業務の定型度合いと習熟度なんかはどうでしょうか」
「それはいいアイデアだね。定型業務の比率が高くて習熟度が高い部下であれば、そこまで込み入った指導は必要ないだろう。一方で、非定型業務の比重が高く、習熟度も低い部下であれば、きめ細かな指導が必要になる。コーチングで気付かせるアプローチなんかも有効かもしれない。他にアイデアはあるかな」

いろいろな軸は思いつくのだが、どのように組み合わせればいいのだろうか。

「他にですか……。年齢と性別はどうでしょう」
「……もちろんその軸もありえなくはないかな。ただ、この時代に指導の方針を考える上でそんなに外的属性が重要かな?」
「たしかにそうですね。かえって変に型にはめてしまうかもしれません」
「マトリクスは作ることが目的ではなくて、効果的に使えるかどうかが大事なんだ」
「……」

私は数分考えてみた。

 「では、コミュニケーションの度合いと成績の2軸なんかはどうでしょうか」
「うん、それはいいアイデアかもしれないね。成績が悪いのにあまりコミュニケーションしない部下は何を考えているかわからないところがあるから、積極的にコミュニケーション量を増やすといいかもしれないな」
「こう考えてみると、いろいろと自分でマトリクスつて作れるものですね」
「それがマトリクス思考のパワーさ。この考え方をマスターして仕事に活用するといろんなメリットがあるよ」
「ただ、実際に役に立つマトリクスを作るのは意外に難しいですね」
「だからこそ考えがいがあるんじゃないか。マトリクス思考は一見単純だけど奥が深いんだ。論理的思考や創造性を鍛えることにもつながるから、ぜひ日頃から意識して使ってみるといいよ」


マトリクス思考: 2軸で切る、視える、決める
著:グロービス経営大学院 監修:嶋田 毅 発行日:2025/3/19 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

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  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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