テーマと出演者
テーマ:「Z世代から学ぶ未来からの視点」
発言のポイント
1)現在の課題認識とそれに対する自分の具体的取組
・Z世代からの未来の視点を学びたい。ユーグレナでは、小澤杏子さんが2019年に17歳で初代最高未来責任者(CFO)に就任。小澤さんの提言でユーグレナではペットボトル飲料の全廃を決定。小澤さんの発言で驚いたのは「2050年ヴィジョンを掲げる大人が多いが、みなさんは2050年になった時に意思決定をして責任をとれるような立場にいるでしょうか?」という問い。そうでないなら、2030年などもっと手前の目標にコミットしてほしいという提案があった。ユーグレナでは、現時点での意思決定を間違わないように未来の当事者(Z世代)に経営に入ってもらうようにしている。
・山内奏人さん。20歳。WED株式会社のCEO兼Founder。レシートを最大1枚10円で買い取るアプリなどを開発して6年目。最近は、農業と音楽に関心がある。インターネットやプロダクトづくりの力で色々な領域を活性化していきたい。丸井グループと協業し、商業施設向けの売上管理のサービスも行っている。「消費の未来を追及する」ことをやりたい。農業や音楽も消費の一部で、デジタライゼーションに課題がある分野なので切り込んでいきたい。
・丸井グループの社員と話していると、山内さんの名前がよく出てくる。全く違う視点から論点を持ってきてもらえるので刺激になる。
・西林咲音さん。20歳。品川女子学院に通い、中学生の頃からプログラミング学習をはじめ、楽しくて続けてきた。大学に入ってから、自分が興味があるのは教育ではないかと思った。品川女子学院で過ごした時間がとても良く、そこでの6年間やプログラミング学習が自分をつくってくれた。プログラミングの必修化が始まってきたので、生徒の心に寄り添うプログラミング学習は何かを考えている。プログラミングは絶対やらなくてはいけないものだとは思わないが、「楽しい」と思える良い出会い方をしたうえで、続けるかどうかを選択できるようにしたい。具体的には、公立小学校に入って調査をしたり、品川女子学院でプログラミングを教えたりしている。
自分の身近な課題からアプリ開発をしてきた。例えば、自分が片頭痛で学校を欠席し、授業がわからなくなり、落ち込んだりしたのでヘルスケアのアプリをつくった。課題発見や課題解決のツールとしてプログラミングを使うことが多い。
・小澤杏子さん。18歳。ユーグレナ初代CFO(最高未来責任者)。2019年~2020年にかけてユーグレナで経営改革としてプラスチック飲料の全廃を提言。ユーグレナは、環境やサステナビリティを考慮している企業なのに、ペットボトルプラスチックを販売することは矛盾している。就任当時から、理想や夢を語るだけではなく、社会課題の解決への一歩を残したいと考えていた。製品を提供する側である企業が生産のラインナップを変えないと、消費者は飲料を求める限りペットボトルを買わざるを得ない。世の中には、環境問題に意識的に取り組む人もいれば、そうでない人も一定数いる。その状況で持続可能な社会をつくるには、上からの改革が大切だと思う。そのためにペットボトル飲料の撤廃と、いつまでにやるのかをキーとして提案した。
これだけ常識が変わり、情報が溢れる世の中では、はやく良い情報を社会の基盤としていくことが大事。SDGs系の啓蒙は多いが、促しているだけでは環境問題に関心がない人に届かない。リーチできない人にリーチするには、仕組みづくりが重要になる。この春から高校を卒業し大学に入学するので、より学びを深めていきたい。
・ユーグレナにはサミットメンバーとして小澤さんの他に8名いる。そのメンバーと一緒に動いてもらった。ユーグレナでは、ユーグレナが伸びれば伸びるほど社会課題が解決することを標榜し、サステナビリティファーストということを言ってきた。にもかかわらず、ペットボトルを売っているのはどうなのか、という意見はまさに的を射ていた。
・社会課題や環境課題に対して肯定的な人が良いという認識が社会に広がっているように思うが、それがいいとは思わない。日常生活の中で、社会課題や環境課題について議論できることが大事だと思う。課題について意識を持つことを賞賛すべきであり、課題に対する意見はどうであれ構わないと思う。
・違う意見の人をSNSで攻撃するのは違うと思う。例えば、森さんの発言など、今の時代と合わないことを言っていると思うが、自分が80歳になった時に、10代の価値観とは違うと思う。長年培ってきた価値観を数カ月で変えるのは難しく、(80歳の人に)意識を変えてもらうようにするのとは違うアプローチをとった方が、1つの社会として一緒にやっていくにはいいのではないか。
・田中あゆみさん。21歳。一般社団法人lightful代表。品川女子学院を卒業し、現在デジタルハリウッド大学に通う。学校教育が本当に好き。品川女子学院には、自分が好きなことを好きと言って取り組み輝いている人がたくさんいた。そのなかでも生徒の可能性がつぶれる瞬間があったり、先生が忙し過ぎるように見え心配になったりしたことがあった。そこで、さまざまな学校の先生に話を聞き始めた。生徒1人ひとりを尊重し、多様性を引き出す教育が大切になってきているのに学校が対応できていないといわれている。でも、先生たちはすごく頑張っている。Twitterで1年半をかけて先生200名くらいから、どんな課題感を持っているかヒアリングした。「業務に追われて生徒と向き合う時間がない」「キャリア教育をどうやっていけばいいかわからない」という先生が多かった。そこで、生徒より先に先生にスポットライトをあてようと思い、lightfulとして学校の先生のサポートをしている。
2)今世の中を動かしている世代をどう見ているか
・12歳の時に漆先生に出会ったり、16歳で1億くらいの資金調達をしたり、と自分を子どもではなく、一個人として付き合ってくれた大人と出会ってきたので上の世代に対する不信感はない。
・山内さんは、みんなのために何かできないかという発想で取り組んでいたので応援したくなる。起業してから、進学か仕事で迷ったりと、志と年齢のギャップは大変そうだった。
・15歳からずっと事業と生活しているので、ある意味視野が狭まったのかもしれないとも思う。
・教育業界は、行政と現場にコンフリクトが起きがちで、そこに違和感を覚える。批判をしたい気持ちもわかるが、文科省の方と話す機会があり、すごく学校現場のことを考えていると感じた。それだけ学校現場のことを思っているのに、学校現場に受け入れられない状況を変え、一緒にやっていけないか。
・目指すところは実は同じなのに、それぞれの組織の論理を超えて協働することが難しいということ。G1には、経営者、首長、社会起業家等がいて、横のつながりで声をあげて法律をつくっていくなどをやっている。そこにヒントがあるかもしれない。正面切って入っていけないところでも、志のある人は必ず中にいるので協力し声をあげることで動くということはある。
・企業が10年単位でSDGsや環境に関して、ゴールを掲げていることは素晴らしいが、次のステップとして来年、再来年のプロセス目標をそれぞれの企業に掲げてほしい。1年ごとの歩みが可視化できると消費者として、どの企業から購入するかを選べる。
・そこは本当に難しい。短期的目標や株主資本主義を追及しすぎた反省で振り子を振って、遠くの目標を置くようになり、それでサステイナブルなどに目を向けるようになった。ただ、絵に描いた餅ではダメなので、プロセス指数やインデックスをおいていくことは良いと思う。また、消費者視点という意味では2050年には、過半数がミレニアル世代になるので、消費はZ世代が担っていくのだと思う。
3)学び/政治/Z世代
・学びについて。事業と大学の両立が大変で今は休学している。学業と事業をシームレスにいったりきたりできるのは、Z世代の特権かもしれない。大学進学にも高校進学にも最後まで悩んだ。でも、高校3年間の経験が今生きている。勉強よりも、高校生活で味わった感情や友達とのコミュニケーションが生きている。人の感情がわからないといいプロダクトはつくれない。
・政治に対する関心について。政治が関係がないとは全く思わない。今までは、おかしいと思ってもそういう意見もあると思って目をつぶっていたが、森さんの発言はおかしいと思い落ち込んだ。社会の構成員として、おかしいと思ったら声をあげようと思っていたが、今回初めて行動に移した。アメリカと日本を比較すると、日本はふり幅が狭い分、安定しているが窮屈でもある。このまま政府が圧をかけ続けると、頭脳流出が加速してしまうのではないかという不安はある。日本に残る仲間で日本をもっとよくしたい。日本社会を知らないと日本をよくできないと思い、海外大学ではなく日本の大学に進学することにした。
・Z世代っぽさを持っている人は、どの世代にもいる。Z世代は世代であるようで生き方や考え方のこと。
・世代ごとに価値観は違うかもしれないが、Z世代だけでなく、X世代やY世代もそれぞれ素晴らしい。世代は分断するのではなく、つながっていくもの。相互に学び、人を育てることが大事。「世代の責任」として、今大人である世代が解決すべき環境問題や財政については解決できるように活動していく。世界の中で日本はどうあるべきか、日本の中で何をすべきかを考えてやっていく。
ディスカッションに参加してくださった皆様
今後の予定
G1@Clubhouse㊽「病床の確保」高島市長 × 堀義人(Coming soon)
G1@Clubhouse㊾「家族の在り方」高濱さん × 堀義人(Coming soon)
G1@Clubhouse㊿(Coming soon)
G1@Clubhouse51「『科学×ジャーナリズム』コロナ禍で考える、科学をどう正しく伝えるのか?」ジーンクエスト 高橋祥子 × 東北大学 大隅典子 × スマートニュース 瀬尾傑 × 堀義人
G1@Clubhouse52「『日本を良くする』G1に期待すること!」(Coming soon)