COVID-19の「ワクチン開発」「ビジネス変革」「サイバーセキュリティの黄金律」

新型コロナのワクチン開発、ビジネス変革、サイバーセキュリティに関するインサイトを求めて、国際ビジネスマネジメントの学位を持ち、プロセス/ロボティクスエンジニアであるDavid Yeregui Marcos del Blanco博士にインタビューしました。がん・自己免疫疾患と闘うバイオセラピーを専門とするGenhelix社の共同創業者である博士は現在、米州機構(Organization of American States)のプロジェクト「ラテンアメリカおよびカリブ海諸国の民主的プロセスにおけるサイバーセキュリティ」(Cybersecurity in Democratic Processes in Latin America and the Caribbean)のリードコンサルタントを務めています。(原文=Mel Mclvor 翻訳=知見録編集部 )

新型コロナウィルスのワクチン開発は通常よりも早い

―新型コロナウイルスのワクチン開発になぜそんなに時間がかかるのでしょうか。

みなさんは長いと感じるかもしれませんが、新型コロナウィルスのワクチン開発は通常よりも早くできています。

通常の臨床試験プロセスは研究室でのIn-vitro試験(体外試験)から始まり、動物モデルでの前臨床試験へ続きます。その後、健康な人間への試験が行われるフェーズ1(第一相)が始まります。これらのステップがそれぞれ成功して初めて、患者に使われるフェーズ2(第二相)およびフェーズ3(第三相)が開始します。

新しい治療法はIn-vitro試験から始まるため、上市の承認を得るために5〜10年、最大20億ドルかかることは珍しいことではありません。

幸運なことにCOVID-19は有名なウイルスの科に属しています。SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こすウイルス)の遺伝物質は既に配列決定されており、ワクチンの開発に使用されています。もう1つ楽観的でいられる理由は、SARS-CoV-2が2002年から2004年にかけてSARSの発症を引き起こしたウイルスと遺伝物質の約80〜90%を共有していることです。

これらはすべて良いニュースですが、一方でプロセスを端折らず、承認されたワクチンが人間に使用するうえで間違いなく安全で効果的であると確認することが非常に重要です。私の経験に基づいて言えば、最優先事項として指定し、多くのリソースを割り当てても2021年第一四半期までにワクチンが利用可能になる可能性は低いです。

それまで、政府が定める安全規則を遵守し、研究者・科学者たちを信頼しなければなりません。研究者や科学者たちはこれまであらゆる挑戦に立ち向かってきており、私は彼・彼女らが再び勝利を収めると確信しています。必要なものを与え、仕事をしてもらいましょう。我々は優秀な人々に恵まれています。

新型コロナによるビジネス・イノベーション

―コロナウイルスのパンデミックからどのようなイノベーションが生まれると予想されますか?

これは一世代に一度起きるかどうかの出来事です。すべてのセクターに多大なる影響を及ぼす、真のいわゆる「ブラックスワン」です(訳注:ブラックスワン・イベントとは、めったに起こらないが、実際に起こると壊滅的被害をもたらす出来事のこと)。このパンデミックにより、ここ数年来続いている、根底に流れるいくつかの傾向を加速させると考えます:

  1. 仕事、レジャー、教育にリモートアプローチを促進する革新的な技術の導入。
  2. 一見相反するが共存可能な2つの側面を持つ、「グローカル」な消費者動向へのアプローチ:a)eコマースプラットフォームの利用増、と、b)地元企業や店舗の再発見(現在、近接売買と呼ばれているもの)の2つが、各地のコミュニティの経済および雇用に与える直接的な影響について、認識が改まってきています。
  3. M&Aによる統合プロセスのスピードアップ。各セクターにおけるスピードと度合いは、それぞれがコロナパンデミックによりどれくらい影響を受けたかによって異なります。

これらの傾向を受容すれば、すべてのセクターがコロナ禍を生き残ることができますか?

勝者と敗者が出るでしょう、いつもと同じように。

こうした傾向が有利に働く一部のセクターにとっては、新しいパラダイムへの適応はやりやすいでしょう。おそらくバーチャルリアリティ、ドローン、物流、アプリ開発、製薬などがそれに当たるでしょう。

「大勢の顧客が集まること」「物理的な来場」に依存して付加価値を出してきたセクターは、大きな課題に直面するでしょう:スポーツイベント、コンサートホール、映画館、博物館、ジムなどです。これらのセクターが消滅するとは言いませんが、生き残るための戦略変更を余儀なくされることになります。顧客体験を高めるか、リモート利用を可能にするための技術を見つけなくてはなりません。

—かなり大きな課題ではありませんか?

特別目新しいものは何もないのです。イノベーションを通じて変革を引き起こし加速させる、時代を変える出来事がまた一つ起こったに過ぎません(歴史を通じてこのような出来事は他にも多数ありました)。

来たる現実を理解できる人はその恩恵を受け、それを受け入れることを拒否する人は足場を失い、消滅すらするでしょう。

日本語にはこのことを美しく表現する言葉があります。Crisisは「危機」と訳されますが、この言葉はそれぞれ「危険」と「機会」を表す2つの漢字でできています。

どちらを選ぶかは、私たち一人一人次第です。

ソーシャルエンジニアリング攻撃から身を守る「サイバーセキュリティの黄金律」

―リモートワークソリューションのブームがきていますが、博士のサイバーセキュリティの経験に基づいて、我々はより広範囲において、新たな脅威、あるいは既存の脅威に直面する可能性はありますか?

残念ながら、両方ともあります。サイバー攻撃の95%までが人とのやりとりによって起こります。これらは「ソーシャルエンジニアリング攻撃」と呼ばれ、フィッシング、ランサムウェア等が含まれます。

個人や企業は、ストレス下に置かれるとより不合理な行動をとる傾向があります――ましてや健康や生命を脅かす側面がある場合は、特にそうです。このような状況下では、攻撃者に対して衝動的に行動し、機密情報を漏洩してしまう可能性が高くなります。

さらに、ソーシャルメディアの普及により実に多くの個人情報が公開されていますから、新たな攻撃はより詳細に個別にカスタマイズされてくることを予期しておく必要があります。

この不確実な時代に自分を守るための、サイバーセキュリティの「黄金律」を覚えておいてください:

  1. 注意を怠らないこと。あなたは潜在的なターゲットです。
  2. 不明な受信者からのスパム、電子メール、ソーシャルメディアメッセージを開かないこと。
  3. 不明な送信元からの電子メールの添付ファイルは開かないこと。
  4. 個人情報や金融関係の情報は絶対に提供しないこと。
  5. ランサムウェア攻撃の場合、身代金を支払わないこと。その代わり、会社のITチームまたはウイルス対策の会社に報告しましょう。
  6. 直感に従うこと。疑わしい場合は、やめておくこと。それが何であろうと同じことです。深呼吸をして、専門家に相談しましょう。

コロナ禍は非常に重要な教訓を与えました:

我々は体調のみならず、デジタル面も自己管理しなければなりません。我々のオンラインアイデンティティは保護とケアを必要とします――このストレスの多い困難な時期においては特にです。

RELATED CONTENTS